パン作りをしたことがない方は、「パンを作るなんて難しくて無理無理!」と思いますよね。でも私のパン教室に来てくださった方は、一度レッスンを受けると「すごーい!待ってるばっかりで意外と簡単!」とよく言ってくれます。お菓子やパンを作ったことがなくて、料理も得意ではない方も、です。なのでまだ未経験の方も、ぜひ気軽に作ってみてください!
さて、過去の記事ではパンのつくり方や、美味しい食べ方など、パンの素晴らしい点をたくさんご紹介してきました。
今回はパン作りのレシピではなく【ポイント・コツ】を掘り下げて細かくお伝えし、みなさんのパン作りがより失敗なく美味しくできればいいなと思っています。
お伝えするのは、
1.なんだか最近生地が固い?パン作りをする季節と水分の関係
2.発酵終わりがわからない・・・発酵時間と発酵環境
3.焼き色がつかない!オーブンのことあれこれ
の3点についてです。思い当たることはありましたか? 早速1からいってみましょう!
春にはじめてパンを作った方が、夏になった頃に私へメールをしてきました。「同じ分量でやっているのに最近生地がベトつきます」と。その原因は「気温」です。気温が高くなれば、室温も(クーラーをかけているとはいえ)高くなり、自分の体温も高くなり、こねている間にパン生地自体の温度も上がります。ごはんでもそうですけど、炊きたてはふんわりやわらかで、冷めるとパラパラで固くなりますよね。そのイメージです。パンも気温が高いと生地がゆるく柔らかめ、気温が低いと引き締まって固くこねにくい感じになります。
ここがパン作りの難しいところ。
【気温によって水分の温度を変える】
というのがポイントです。夏は氷を入れた冷水で、冬はお風呂よりぬるめのお湯で、生地をこねる必要があります。厳密に温度計で計るレシピもありますが、私は面倒なのでしません。ただ、春と秋は難しくて、日によってかなり温度差もあり、常温の水でいい日もあれば、氷を足す日もあります。まあでも、「寒いな」と思う春秋は常温、「暑いな」と思う春秋は氷1つ落として冷水、という感じでやっています。
こうして書いているとわたし結構適当ですよね?でもポイントをちょっとだけ気をつければ、あとは少し適当でもちゃんとパンになるんです!
色々書くとややこしくなりますが、水分の温度を変える以外にも、「水分量を変える」方法もあります。小さじ1、5cc程度の差なのですが、夏は少なめ、冬は多めがいいです。
こね終わって一次発酵をし、そろそろいいかな~と生地の大きさや状態を確認する時、何をもっておしまいなのかがわからない、とよく言われます。
そう、確かにわかりにくいんです。たいていの本には「約1時間、生地の大きさが2~3倍になったらおしまい」のように書いてありますが、それがよくわからない。
そんな方は、【透明の密封容器にいれて発酵させる】方法をおすすめします。
ご家庭でのパン作りはたいていボウルに生地をいれ、ラップや濡れ布巾をかぶせて発酵させますが、ステンレスのボウルのように上からしか生地が見えないと、2倍なのか3倍なのかがよくわかりません。
そこで透明の密封容器の出番! 透明密封容器のいいところは、
1.中が見えやすい
2.四角くて生地量がわかりやすい
3.フタがある
ということです。
密封容器の中の生地が上からも横からも見れると、生地がどれくらい膨らんだかが分かりやすいです。ボウルは湾曲しているので、ボウルに対しての生地の量がわかりにくいですよね。
またフタがあるのもいいです。ラップだと隙間から空気が入って乾燥してしまう危険もあるし、濡れ布巾は湿度が低いと発酵中に乾いてしまうので、フタで密封すれば乾燥を防ぐこともできて一石二鳥です。
この透明密封容器は3年前にIKEAで買ったものですが最適ですね。
透明な密封容器がなかったら、せめて透明なボウルで発酵させましょう。
↑この右側の色白なベーグルたち
↑両はじのほんのり小麦色のウインナーロール
いくら焼いても焼き色がつかない、という事がよくあり相談されます。原因はいくつかあります。
1.オーブンの温度が低い(予熱が足りない)
2.オーブンの温度が低い(パンを入れる時にオーブンの扉開けすぎ)
3.発酵しすぎて生地の糖分がなくなった(※糖分は焼き色がつく元となります)
基本的に、オーブン庫内の温度が低ければ、もちろん焼き色がつきません。
1は各家庭のオーブンによってまちまちなので一概には言えませんが、いつも焼き色つかないな~と思う方は、【予熱を50度高く設定】もしくは、【予熱完了してもすぐパンを入れずに10分放置】してみてください。180度で焼くパンなら、230度を予熱温度に設定します。そして、オーブンが予熱完了を教えても、設定した温度になっていない事が多いのです。
追い打ちをかけるのは2です。パンをのせた天板を入れる時、オーブンの扉をあけてからノロノロしていると、あっという間に庫内の温度が30度も50度も下がり、予熱が台無しです。
オーブンに入れる時は、【右手に天板を持って、左手でオーブンの扉をそっと、でも手早く開けて、ささっと入れる】のがポイント。あんまり勢いよく扉をあけると、その勢いで庫内の熱い空気が一気に外に出るので注意しましょう。
そして、一次発酵、二次発酵の時に発酵させすぎると、酵母がエサである糖分をどんどん食べちゃうので、生地の中の糖分が減っていきます。カラメル作る時に砂糖を焦がすように、糖分は色づく元になるので、糖分がなくなれば、焼き色も付きにくくなっていきます。
結構適当な部分もあるけれど、実はとっても化学的なパンの世界はいかがでしたか? ちょっとマニアックな部分もあったかもしれませんが、すべての失敗には理由があります。「なんとなく」「だいたい」でOKなところと、しっかりポイントを理解しなきゃ失敗しやすくなるところと、両面です。
でも、たくさん覚えなくていいんです。基本的なことをやって、もし失敗したりうまくいかなかった時に、原因を探して次に活かせばいいんですから。はじめから全部覚えるのではなく、とりあえずやってみる!が大事。きっと「う~ん、なんかいまいちかも」というパンも、お子さんやご家族は美味しい美味しいと言って食べてくれますよ◎
大阪市の自宅で子連れパン教室を開催しています。
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大阪市での子育て情報(子連れランチ、イベント、病院情報、遊び場など)や、おいしいパン屋やスイーツの話など、毎日ブログで更新してます。
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島村 麻美 【アレルギーっ子も食べられるパン教室 主宰】
記事テーマ
0歳~1歳児に特に多い、卵・乳の食物アレルギー。市販のパンには卵や乳成分が入っているものが多く、それらが入ってないのはバケットのような固いパンばかり。だったらおうちで作っちゃおう! 私が息子に作っている卵や乳製品なしでもおいしいパン作りのレシピやコツ、アレルギーっ子のパン作りで気をつける事、パンの材料の選び方などをお届けします。