「抱き癖」こんな言葉ができたのは、数十年前に日本にも広まった、欧米式の育児法が原因です。日本ではもともと、母子密着型の育児が行われていました。家事をするときはおんぶひも。自分が抱けない時は、家族の誰かがおんぶや抱っこ。母乳も、泣いたら欲しいだけあげる。毎日添い寝。赤ちゃんと、ずっと一緒。
でも、昭和40年代初めに入ってきた欧米式の育児法は全く反対。「赤ん坊が泣いても、簡単に抱っこしてはいけない」「放置することで、人間的な自立をうながす」というものでした。これは、女性の社会進出に伴い、家事も大変な母親の手間を減らすために作られた「都合の良い育児法」だったんです。
この育児法は、のちに「スキンシップは大事」「いっぱい抱っこしましょう」というように、訂正されました。それはなぜでしょう...?!
放置されて育った子は、数年して影響が出始めたからです。強い不安感・他人への無関心・人間関係がうまく築けない・キレやすい、等...。問題行動が目立つ子が多かったのだそうです。笑いも泣きもしない、いわゆる「サイレントベビー」も増えてしまいました。
母親が子どもとスキンシップをとっているほど、子どもの衝動性が低く、突発的にヒステリックに泣く事が少ない、ということも、のちの調査で分かりました。特に、よく抱っこされていた子ほど、情緒が安定していたのです。
私の例をお話ししますね。ふたり子どもがいますが、特に下の息子は、いっぱい抱っこしていました。2人目なので手をかけられない部分、手を抜いてしまった部分はいっぱいありますが。
息子は結構穏やかで、笑顔が満開です。今でも抱っこ大好きですが、自分で歩くのも走るのも大好き。好奇心旺盛で、すぐにあっちこっち行ってしまうので大変です。きっと、「パパとママは、ぼくのこと、だいすき」という、ゆるぎない安心感・自信があるからかな、と思います。
赤ちゃんが泣いても、手が離せなくて、すぐに抱っこできない時はあります。そんな時は「ちょっと待っててね」「すぐ行くからね」と声をかけてあげましょう。そして「待っててくれてありがとう!」そう言って、あったかく抱きしめてあげると、きっと赤ちゃんも嬉しいですね。「ママは、きてくれた!」って。「愛されている」という自信があれば、きっと笑っていつか巣立っていける。自分の足でしっかりと。
いつか抱っこされてくれなくなります。それまでの期間なんて、ホントあっという間です。今、あったかさをいっぱい伝えてあげたい。そのあったかさは、きっと我が子から誰かへと伝わっていく。だから、いっぱいふれあっていたい。
「抱き癖」なんて、ありません。こんな素敵なスキンシップ、「癖」なんてつけないでほしい。そう私は思います。
※参考文献
子供の「脳」は肌にある(光文社新書) 山口創 著
抱っこ育児を楽しくするベビーダンス♪
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東山 弥生 【ベビーダンス・抱っこ姿勢「やさしいはな」主宰】
記事テーマ
赤ちゃんを育てるうえで欠かせない「抱っこ」「タッチ」などのふれあい。 でも、時として、ママのカラダや心に負担をかけることも…。 大人になってもスキンシップは必要。 その入り口であるこの時期を、親子でもっと長く楽しめるには、どうしたらよいか。 ベビーダンスや抱っこ姿勢の講師として、そして2児の母の目線から、お伝えします。