前回は、片付けを「子どもに伝える」ということをお伝えしました。今回は、具体的な進め方をご紹介します。
まず最も大事なことは、「親子一緒に」片付けを行うことです。親が勝手に片づけをしていませんか? モノを持つのも使うのも、子どもです。「モノは価値観のあらわれ」 とも言える様に、子どもが選ぶ「モノ」には、その子の価値観があらわれています。「モノ」を否定することは、その子の「価値観」を否定することにもなりかねませんので、親がむやみに捨てさせないように注意しましょう。その反対に、子どもの選ぶ「モノ」を見ることで、子どもの価値観を見ることもできます。親にはガラクタにしか見えないモノでも、子どもには大切にする理由があるのです。
○ お友だちからの手紙→お友だちとの関係性を大切にしたい
○ 自分で作った作品→自分にとって、よくできた
○ 何年も前にもらった、幼稚園の先生からのお手紙→幼稚園の先生との思い出や、励ましの言葉に支えられている
○ 拾ってきた石→自分にとっての、宝物
今は大人になってしまった私たちにも、子どもだった頃がありました。子どもの頃、どんなものを大切にしていましたか? 思い出してみてください。シールやメモ帳、可愛い鉛筆などを、使いもしないのに集めていた、川で拾った石ころを箱にまとめて集めていた、牛乳瓶の紙蓋を集めていた、給食献立表を終わってしまった月のモノまですべてとっておいた。大人には、何の役にも立たないけれど、子どもには意味のある大切なモノ、私たちにも経験ありますよね。「なんでこんなもの・・・」と思った時には、自分の子どもの頃の、子どもの心を思い出してみましょう。
子ども片付けのやり方は、大人の片付けと同じです。
まずは、収納場所から全部出しましょう。そして、全てのモノに目を通します。その中で、これから使うモノを、選びます。使うと選んだものは、収納場所にしまいます。今後使うと判断しなかったものは、手放します。子どもは、「使えるモノは捨てたくない」というのが、共通して持っている思いです。ですから、手放し方に注意しましょう。なんでもごみに捨てることは、「要らないモノはなんでも捨てて良い」と、子どもが間違った解釈をしかねません。
リサイクルショップに売る、知り合いに譲る、フリーマーケットに出品する、寄付する・・・など、「モノを大事にする」こととは、「モノが生かされること」であることを示しましょう。
もし「全部とっておきたい」と言ったなら、収納場所という枠を示して、「この中に入る分だけ選んでね」と言うのも、効果的です。「収納場所を使いやすくするために、モノの適正量がある」ということを教えることが、大切です。あれもこれも欲しいけれど、自分が心地よく暮らすためにモノの量を守る必要があることを、伝えましょう
では、具体的なモノの選び方を、見ていきましょう。まずは、洋服です。
洋服を選ぶ時のポイントは、子どもの好みを優先させることです。親が着てほしい洋服と、子どもが着たい洋服は、違う場合も多々あります。「高かったから」、「きれいだから」、「親の好みだから」は、子どもの「着たい」という動機づけにはなりません。親の意見や思いを伝えることも大切ですが、最終的な判断は子どもに任せましょう。
また、収納場所いっぱいに洋服を持っていては、子どもが洋服を選びにくくなってしまいます。引き出し収納の場合では、一枚洋服を取り出すときに、隣の洋服まで一緒に飛び出してしまいます。ハンガーでかけるタイプなら、重なり合って持っている洋服の全てを見ることができなくなってしまいます。子どもは大人よりもさらに、収納場所に余裕をもってしまえるように、モノの量を絞りましょう。
「使う」と選ばれないモノの、次の行き先が決めやすいのは、洋服片付けの特徴です。まだ綺麗なモノであれば、リサイクルショップへ。着用感が出てしまったものでも、友人へのお譲りとしても喜ばれます。友人へ譲る場合は、「気に入らなければ、無理に使わないで」と忘れずに伝えましょう。そうすることは、譲られた先で「友人から譲られたものだから、捨てられない」と困ることがなくなります。シミができてしまったり、穴が開いてしまったものは、小さく切って掃除用ウエスとして使い切ることもできます。
次に、幼稚園や小学校へ上がると、頭を悩ませるのが、日々増える教材です。特に小学生になると、授業で使ったプリントやテスト使い切ったノート、学年が変われば教科書等が、「使わないのに持っている」モノとして多く見られます。
テストやプリントは、今後授業で使わないのであれば、処分します。正解できなかった問題や、理解できていない問題の載っているモノだけを取っておくことで、「やらなくてはいけないこと」がはっきりしますし、「これさえやれば、大丈夫」という自信にもつながります。ノートや教科書は学年が変わると使用しないことがほとんどです。万が一、前の学年の学習内容が知りたくなっても、参考書やインターネット等、必要になった時に情報を手に入れる方法は、たくさんあります。
「もしかして使うかも」と心配して取っておくのではなくて、「必要になったらその時に手に入れる」ということを、子どもに伝えましょう。「モノの整理は頭の整理」ともよく言われるように、教材の整理は、自分に今必要な学習内容を、整理することでもあります。理解していることを何度も繰り返すのではなくて、これから理解する必要のあることを見極めて、効率的に学習できるという効果も期待されます。
教材を処分する場合には、今後使う予定がないか、子どもを通じて学校に確認するなど、必要なモノを処分しないように注意してくださいね。
高麗 朋子 【1級家事セラピスト/整理収納清掃コーディネーター】
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掃除や片付けって、苦手な方が多いです。でもね、ちょっとしたコツを知るだけで、負担を減らすことができるんです!片付いた部屋では、ママの家事がはかどり、パパや子どもも、お手伝いがしやすくなります。ママの笑顔は、家族の笑顔。私たちの、最も身近にある「暮らし」に目を向けて、ママが輝き、家族が笑う、『暮らしやすく』のコツをお伝えします!