「お手伝い」は、家事のやり方を、親から子どもへと伝える、良い機会となります。家事に込めた、家族への想いやりも、同時に伝えることが、出来るのです。
さて今回は、「食事作り」という家事での具体的なお手伝いを紹介します。大がかりなことをやろうとしなくても、また、全てをやろうとしなくても、大丈夫。出来るところから、楽しんで取り組んでみましょう。
年齢や性別よりも、その子どものできる事、興味に合わせた家事で、ステップアップしながらお手伝いを進めていきます。
食事作りは、食材を準備することからが始まりです。冷蔵庫に何が入っているかを確認する作業を手伝ってもらい、一緒に買い物に出かけます。
スーパーでは、指定したものを取りに行ってもらうことは、小さなお子さんでもできるでしょう。「人参を一袋、お願いね」といった、簡単なことから、始めます。買い物をしながら、旬の野菜、肉の部位、新鮮な品物の選び方等を、伝えましょう。
食品を選ぶ時に、注意している事を、伝えます。賞味期限や消費期限、産地や原材料、添加物、旬など。ここに、ママが家事に込めている家族への思いがあらわれます。
食材を選んだら、レジで会計後、袋に詰めます。大きなもの、重たいものから始めると詰めやすい事や、パンや卵のように、つぶれたり壊れたりしやすいものは、上にのせることを伝えながら、一緒にやってみましょう。
料理はまず下ごしらえから。刃物を使わなくてもできることもあります。葉っぱを一枚ずつに分ける、マメを莢から出す、筋を取る、スプーンでこんにゃくをちぎるなどは、簡単です。包装してあるものから出してもらうだけでも、助かりますよね。
慣れてきたら、包丁を使った作業もやらせてみましょう。初めはママが手を添えて。慣れてきたら、手は離して、見守ります。何度かやっているうちに、子どもは上達していきます。そして同時に、包丁の持ち方、動かし方、扱い方、手入れの仕方なども、伝えます。
調理では、火を使わない作業もあります。調味料をはかる・混ぜる、電子レンジのスイッチを押す、ガスを止める。慣れてきたら、火を使う調理へうつります。鍋の中をかき回す、炒める、つぶす、などをお願いしましょう。
火や、熱い調理器具に気を付けることができるようになったら、調理の全てを任せてみましょう。慣れてしまえば、5~6歳の子どもでも、ホットケーキや卵焼きを焼くことができます。
料理が出来上がったら、食卓を拭く、食器を準備する、ご飯をよそう、皿に盛られた料理を運ぶ、といった簡単なことからお願いしてみます。箸の上部が利き手側になるような配慮や、ご飯と汁物の位置、大勢で食べる時の注意点なども、伝えましょう。
簡単な配膳に慣れてきたら、できあがった料理を器に盛り付ける、汁物をよそう、などもできるでしょう。
食事の後には、食器を流しに持っていく、残り物を一つにまとめる、食卓を拭くこと等は簡単ですね。
食器洗いは、5~6歳からは1人でできる家事です。洗剤を使って汚れを落とす作業と、お湯で洗剤を洗い流す作業とを、隣り合って兄弟姉妹で協力して行っても良いですね。
「ひどい汚れは、軽く落としておいてね」と伝えたいときに、ひどく汚れたままの食器を洗うことは他のモノに汚れが移ってしまい大変であることは、実際に子どもが自分で洗ってみると、体感して納得できることです。各個人での、ちょっとした一手間が、家族の家事を楽にすると知ることは、家族への思いやりを持つことにも繋がります。
子どもは気まぐれです。お手伝いをお願いすると、喜んでやってくれる時もあれば、「今日はイヤだ!」という時もあると思います。「お手伝いは良い事だから、何が何でも子どもにやらせなくちゃ」と考えてしまうと、ママも子どもも、楽しめなくなってしまいます。
まずは身近にある家事を、ママが一緒に楽しんで行うことが、子どもにお手伝いをさせるコツです。
お手伝いをさせるのは、「子どもの生きる力になる」ことはもちろんですが、その他に「子どもに家事を伝えられるから」「子どもとコミュニケーションがとれるから」「子どもが家事を身に付けられたら、後でママが楽だから」と、ママが楽しめる要素を見つけて、家族で楽しんで取り組んでみてくださいね。
高麗 朋子 【1級家事セラピスト/整理収納清掃コーディネーター】
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掃除や片付けって、苦手な方が多いです。でもね、ちょっとしたコツを知るだけで、負担を減らすことができるんです!片付いた部屋では、ママの家事がはかどり、パパや子どもも、お手伝いがしやすくなります。ママの笑顔は、家族の笑顔。私たちの、最も身近にある「暮らし」に目を向けて、ママが輝き、家族が笑う、『暮らしやすく』のコツをお伝えします!