前回、家庭での野菜育てのすすめをご紹介しました。
お庭がなくても、ベランダなどを利用すれば、プランターで立派に野菜を育てる事ができます。小さなタネが芽を出し、食べられる野菜へと成長する様子を間近で観察し、水やりや陽当たりなどのお世話をしてあげると、野菜に対しての愛情もぐんと増してきます。講座では野菜のタネや苗を渡すと、その苗に名前を付けて(ピーマンならピーちゃんなど)大事に育ててくれるお子さんも多くいて、観察した様子を日記に書いて、嬉しそうに見せて報告してくれます。色鉛筆でカラフルに、芽が出た様子や花の形などをスケッチして、家庭でも楽しく野菜に親しんでいるんだなと、とても嬉しくなります。
この経験がきっかけとなって、苦手野菜が好きになったお子さんもいるんですよ。
でも、育ててはみたいけど、土や虫など園芸自体が苦手とか、マンションなどの住環境で、日当たりや風向きが育てる環境にないなど。土での栽培が難しい場合もあります。そんな時は、お野菜のもっているパワーを借りて、土以外でも野菜の成長を観察する方法をお伝えしています。野菜のパワー!!・・・さて、どんな栽培方法でしょうか?
野菜のパワーを知るには、お料理で使ったお野菜の残りの部分を使います。まずニンジンを例に紹介しますね!
切り落とした軸の部分を器に入れ、お水につけておくと、2~3日後には軸の部分からニョキニョキと緑の芽がでてきます。
ニンジンは太陽の光がとても好きな野菜なので、日当たりがよい場所だと、成長も早く芽が伸びてきます。捨ててしまうニンジンの軸の部分も、こうやって観察すると、生きて成長している様子を見ることができますね。葉はどんな形をしていますか?成長しているので、お水は毎日替えてくださいね。切り口が黒ずんで腐敗しやすいので、湿らせたキッチンペーパーの上に楊枝を2本おき、その上にニンジンを置くといいですよ。
同じように、切り口を水につけておくだけで成長したのはカブ!!
2日後に葉が出てきました。ニンジンと比べて、葉の形、大きさは違いがありますか?良く見ると、どのカブも真ん中から伸びて来ていますね。
そして、もう一つは、豆苗(とうみょう)。豆苗はエンドウの若芽です。豆から発芽し根がついた状態で発売されているものは、カットした後に残る根を水に浸しておくと、徐々に芽が伸びてきます。
いずれも伸びてきた芽は、また食べることができます。ニンジンの葉はサラダや、お料理の彩りに。カブや豆苗はお味噌汁の具などにぴったりです。
野菜が育つ環境を見て、生きている姿を知る事はとても大事な事。そう教えてもらったのは、出前授業で生徒さんから言われた一言でした。「お肉になるのは牛、豚、鳥、でしょ。魚は海や川で泳いで生きているけど、野菜は生きているのを見たことないよ。だから生きてないよね。」この答えにビックリすると同時に、「そうだね」と変に納得する自分もいました。
肉食になる動物や魚は実際に動いて生きている姿を見る機会もありますが、野菜の場合、動いているわけでもなく、鳴き声もなく・・・。だから「生きている」実感がないのも事実なんです。
だったら野菜が生きていることを知ってもらおう!自分で育てて、観察してみよう!!と始まったのが、野菜を育てるコンテンツなんです。芽や葉が伸びることは、一番生きている姿を実感できる成長ですよね。さわってにおいをかいで味わう事で、食に関する五感も育まれていくし、何より、自分が作ったものが食卓にならぶのは、とても嬉しい事です。生きている野菜を食べるから、元気な野菜のパワーをいただき自分が成長することができることを、野菜は教えてくれます。野菜に親しみを持つことは、野菜ぎらいを克服するステップに大いに有効ですよ!
香月 りさ 【アクティブ野菜ソムリエ 野菜ぎらい克服塾講師】
記事テーマ
子育てにおいての大きな悩みのひとつは、子供の食生活。離乳から成長期にかけての偏食や好き嫌いなどは、身体や心を育む上で影響を与えてしまいます。「野菜ぎらい克服塾」の現場から、それを克服するヒントをご紹介します。 キッズ野菜ソムリエの母で「野菜」「話す」のプロが、食べる喜びや野菜のおいしさなど、身体と心を元気に育むベジフルライフをお伝えします。