桜のつぼみも少しずつ大きくなってきて、春の訪れを感じるようになってきました。4月からの新生活やお子さんの進級のための準備など、ワクワクしながらも、いつもとは違う忙しさを感じるときでもありますね。
新生活に向けて、お弁当箱を新調した方も多いでしょう。新しいお弁当箱には、どんなおかずを入れていきますか?学校や仕事で頑張る家族に「おいしい!」と喜んでもらえるお弁当作りをしたいですよね。
おかずの彩りとして欠かせないのが、真っ赤なミニトマト。甘みが強くて一口サイズですが、お弁当箱に入ると目立つので、小さくても存在感がとても強い野菜です。
トマトは日本には江戸時代には伝わったとされていますが、真っ赤な色があまりにも美しいので、当時は観賞用だったそうです。
ミニトマトは3~4㎝くらいで重さが2~30ほどの小さなトマトで、1980年代から普及し始めました。
トマトは一年を通じてお店に並んでいますが、夏のトマトは熟しすぎないように早めに収穫するので、全体が真っ赤に色づいていないトマトを見たことありませんか? 果実は大きくて水分が多めなのが特徴です。
逆に春や秋のトマトは太陽の光をゆっくり浴びて成長するので、小ぶりでも味が濃くて甘みがあり、うまみ成分もぎゅっと詰まっています。
トマトの原産地のアンデス地方の気候に日本の春は近くなるので、高温多湿が苦手なトマトは日本の乾燥した春は育ちやすいのです。
花が咲いてからゆっくり時間をかけて育つのでフルーツのような甘みが広がり、噛むと旨味がジュワッと溢れ出してくるので、それぞれのトマトの持つ個性を味わうことができます。
春先は特に関東地方に愛知や熊本、高知産トマトが多く並ぶので、どこの産地があるのかを調べてみるのもよいでしょう。
食べ比べで使用したのは、愛知県豊橋市で作られたミニトマトです。
それぞれの特徴と、克服ポイントをご紹介します。
●赤(麗 れい)
真っ赤な宝石のような赤のミニトマト。この麗は真っ赤に完熟するまで木で育てるので、とても甘みが濃いのが特徴です。通常のミニトマトの糖度は平均6度、完熟ミニトマトで8度以上ですが、麗は9度以上という厳しい条件をクリアして出荷されています。
第17回野菜ソムリエサミットの食味評価部門で大賞に選ばれました。
・全体的に甘みがあるので、酸味が苦手な方におすすめです。
●黄(甘恵黄味 あまえぎみ)イエローミミ
糖度は7度以上でフルーツのような甘みがあります。皮がやわらかく、トマト独特の青臭さがありません。
・トマトの皮の舌触りや、青臭さが苦手な方におすすめです。
●オレンジ(ピッコラカナリア)
太陽の様なオレンジが特徴のミニトマト。高糖度でとろけるような甘みとトマトが持つ独特の香りがあります。
・元気な色がお弁当の彩りにはぴったり!
酸味はあまりないけどトマトの香りがあるので、しっかりした味わいが好きな方におすすめ。
●緑(みどりちゃん)
外見からは想像できませんが、完熟状態で緑色をしています。完熟するととても甘くさわやかな酸味があり、昔ながらのトマトの味わいがします。
・薄切りにしてサラダにしたり、ピクルスにまた。完熟前のものは皮がしっかりしているので、加熱調理にも向いています。
またゼリー部は他のミニトマトに比べしっかりしているのが特徴で、グニュっとしたやわらかいゼリー部分が苦手な方にはおすすめです。
●茶(ブラッディータイガー)
赤に緑が混ざり茶色のように見えるユニークなトマト。糖度が高く甘みがあり、皮はパリッとした食感です。
ブラッディータイガーを訳すと「血まみれの虎」!! トマトのリコピンを浴びた野生の虎をイメージして名づけられたそうです。
・甘さと酸味のバランスがよく、酸っぱさがやがて甘みに変わっていく複雑な味わいを感じられます。酸っぱいだけのトマトが苦手な方におすすすめです。
今回の講座でもトマト嫌いの子が何人かいましたが、色が違うトマトが並んだお皿を見て「キレイ!」、「かわいい!」とまず見た目で興味を示してくれました。
こんなにカラフルなトマトが出てきたら、大人でもテンションがあがりますよね。
そして手を伸ばしてそれぞれの個性に気付くと、「これが好き!」とか「やっぱりトマトの○○なところは苦手だけど、こっちは食べられた」など自分が一番好きなトマトはドどれなのか好みを教えてくれました。
ミニトマトの場合、やはり甘みがあって皮がやわらかいものが好まれるようです。
甘みが強くて高糖度、しかも一口サイズなので、今後デザート感覚で食べられるようになるかもしれませんね。
ご紹介したミニトマトはほんの一部ですが、多くの品種が出回っているので食べ比べすると自分が好きな味を見つけることができます。
お店によっては1パックに数種類入ったお得な食べ比べセットなども販売されていますので、家族や友人とコメントしあいながら食べてみると、
お互いの好みや自分が知らなかった味わい方などを知ることもできて、食の会話も広がっていきます。
ただし、冷やしすぎたトマトを一度にたくさん食べると、身体を冷やしお腹をこわすこともあるのでご注意くださいね。
「色を食す」
そんなことができる野菜ってそんなにある訳じゃないから、ミニトマトは小さくてもとても偉大!
色彩豊かなカラーは目の癒しになり、食べると元気になるエネルギーパワーをたくさん与えてくれるでしょう。
愛知県豊橋市 JA豊橋のミニトマト
香月 りさ 【アクティブ野菜ソムリエ 野菜ぎらい克服塾講師】
記事テーマ
子育てにおいての大きな悩みのひとつは、子供の食生活。離乳から成長期にかけての偏食や好き嫌いなどは、身体や心を育む上で影響を与えてしまいます。「野菜ぎらい克服塾」の現場から、それを克服するヒントをご紹介します。 キッズ野菜ソムリエの母で「野菜」「話す」のプロが、食べる喜びや野菜のおいしさなど、身体と心を元気に育むベジフルライフをお伝えします。