長いようで、あっという間の夏が過ぎて行きました。心身ともに成長する時でもある夏休み。楽しく素敵な、心に残る経験や思い出はできましたか?
夏休みといえば付き物なのが「宿題」ですが、野菜を使っての自由研究のお手伝いや、研究テーマで野菜に注目してもらおうと、各地で幼児から小学生向けの野菜講座を行いました。
夏に旬を迎える、トマト、ナス、ピーマン、キュウリを中心に、野菜を探る実験やクイズに食べ比べを行う講座では、毎回「うわ~!」や「すご~い!」「楽しい!」そして「美味しいね!!」のにっこり笑顔が溢れ、私も嬉しくなる瞬間が何度もありました。
感じて、楽しんで、少し遊び感覚を取り入れ、五感を存分に使いながら野菜に親しんでもらった野菜教室がきっかけで、苦手な野菜に興味を持ち、食べられるようになったお子さんもたくさんいました。
「いつも食べている野菜は、どうやって育って、どうやって食卓に並ぶんだろう?」
野菜をより好きになってもらうきっかけになれば・・・・と、野菜のストーリーもご紹介しました。
「野菜はどうやって届くのかな?」
先日、とちぎ野菜サポーターとして現地に取材に行ってきました。栃木県南東部に位置するJAはがの管内の畑では、旬を迎えた夏秋ナスが立派に育っています。主に首都圏に向けて出荷される「ナス」が、どのようにして食卓に届くのか?夏秋ナスの産地の一つとして、スクリーンで写した写真を子どもたちに見てもらいました。
ここが、ナスが育つ圃場です。
ナス科の植物は毎年同じ場で作付けすると、病気などになりやすく連作障害を起こしてしまうので、1年ごとに育てる場所を変えています。こちらの畑では、半分をナス畑。もう半分を稲作にし、毎年交互に作付けしています。美味しいナスを育てるために、苗を支える支柱の移動などの重労働も農家さんの仕事です。
実になる野菜は天候の影響も大きく、突然の豪雨や雹などで、大きく育ってきた実に傷がついてしまうこと。害虫の「テントウムシダマシ」がナス皮を舐めると表面に傷がついて茶色くなり、見た目がとても悪くなってしまうこと。「ボケ果」といって、茄子紺の皮の部分がつや消しのようになってしまったり、「しなび」になると、果肉がボサボサになり食味に影響してしまったり。
出荷できる良品に育てる農家さんには、本当に頭が下がります。
この他に、収穫したナスを選別したり、袋詰めするパッケージセンターで働く人。
他にも、袋詰めしたナスをダンボール箱に詰める。箱に詰めたナスをトラックで運ぶ。市場で働く人がいて、スーパーや八百屋さんでお野菜が売られます。
それを買ってきて料理を作ってくれるお家の人がいて。「いただきます!」と食べるまでに、野菜にはたくさんが関わっていて、多くのストーリーがあるんですね。 畑から食卓まで、何人の方がナスに関わってきたでしょうか?
野菜ぎらいさんを、野菜に好きにするきっかけの一として、野菜そのものに興味や関心も持ってもらうことも大切です。好き嫌いがあって食べ残しをしようとした時に、命や食べ物の大切さを知るきっかけとして、こうした野菜が食宅に並ぶまでのストーリーも一役買ってくれるかと思います。最近はお店で買う他にも、宅配で自宅に届いたり、直売所で生産者さんから直接野菜を買うこともできたりと、野菜を選ぶ方法も様々です。直売所やマルシェなどの場合、生産者さんと直接接することができるので、旬や育ち方、食べ方を聞くことができるので、野菜への愛着も増してきますよ。
お子さんと買い物に行ったら「この野菜はどこからきたのかな?」と一緒に確認してみましょう!私は各地で野菜を作る生産者さんを取材する機会がたくさんあります。野菜ソムリエとして、その野菜のストーリーを、しっかり伝えて広めていきたいと思います。
香月 りさ 【アクティブ野菜ソムリエ 野菜ぎらい克服塾講師】
記事テーマ
子育てにおいての大きな悩みのひとつは、子供の食生活。離乳から成長期にかけての偏食や好き嫌いなどは、身体や心を育む上で影響を与えてしまいます。「野菜ぎらい克服塾」の現場から、それを克服するヒントをご紹介します。 キッズ野菜ソムリエの母で「野菜」「話す」のプロが、食べる喜びや野菜のおいしさなど、身体と心を元気に育むベジフルライフをお伝えします。