3歳を過ぎた頃の息子の苦手な野菜…【緑色の野菜】葉物・ブロッコリー・枝豆以外の豆類・そして、トマト。
これらの野菜を、生でも加熱でも、食べ物に入っているのがわかると、受け入れてくれませんでした。
何かの<きっかけ>で、彼の中に【緑色】というだけで、「おいしくない食べ物」という方程式が出来てしまったからだと思います。
大人なら、<苦手な食べ物>について、ただ「きらい・苦手」という言葉だけではなく、「どんな所が、自分の口に合わない」ということを細かく表現し伝えることが出来ますよね? ですが、年齢が低くなれば、それを伝えることは難しいことだと思います。
実際、その当時の彼が、どんな野菜を食べた時、「どんなところが口に合わなかったのか?」 何を感じたのかを、私は知ることは出来ませんでした。
その当時の私は、野菜ソムリエでもなく、ただの主婦で母親でした。
「このまま野菜ぎらいをほっておいてはいけない、どんな形でもいいから口にしてほしい」
普段の食事で拒絶を繰り返されていた私は、オヤツという形で食べてもらうことにしました。
それが、【ほうれん草マフィン】だったのです。
よくニンジンをお菓子に使って、色鮮やかな美味しそうなレシピを見かけたことがあったので、それを「ほうれん草」に置き換えて作ってみたところ、ほうれん草の緑が、とっても活かされたマフィンに仕上がりました。
味は、ほうれん草の香りがしますが、マフィンなのでほっくり甘く、食べやすく仕上がりました。
ただ、この【緑色】を息子は受け入れてくれるのか??
最初は「ほうれん草」とは説明せずに、オヤツに出したところ、気にせずにパクパクと食べてくれました。
食事ではなく、オヤツとして出したことで、まさか「野菜」とは思わなかったのかもしれません。
「これは、ほうれん草で作ったんだよ~」と後で話すと、少し驚いていましたが、「おいしかった!」と一言。
私の最初の作戦は成功! そして、このちいさな<きっかけ>が、野菜ぎらい克服への最初の一歩となったのです。
そんな息子の野菜ぎらい克服への道の、最初のレシピとなった【ほうれん草マフィン】の作り方をご紹介いたします!
簡単に短時間で出来るので、ぜひ皆さんにもチャレンジしていただきたいのです。
<材料> 底部分5~6㎝のマフィン型 6個分
茹でたほうれん草(かたく水気を絞ったもの) 60g
薄力粉 120g
ベーキングパウダー 小さじ 1/2
卵 1個
溶かしバター 60g
砂糖 60g
牛乳 大さじ 1
スライスアーモンド(トッピング用) 約20g
<作り方>
①茹でたほうれん草・卵・牛乳・砂糖・溶かしバターをフードプロセッサーに入れ、1~2分回し、なめらかなペーストを作る。
②薄力粉・ベーキングパウダーを一緒にふるって、ボウルにいれ、(1)のほうれん草ペーストを流しいれ、泡だて器でよく混ぜる。
③型に流しいれて、スライスアーモンドをのせ、170度のオーブンで22~25分焼く。
彼の中で、【緑色はおいしくない!】の方程式は崩れ始めていました。
ですが、すぐに野菜を使った食事を食べてくれるようにはなりませんでした。…野菜ぎらいはそんなに甘いものではありません!
グラタンにほうれん草を入れたり、お味噌汁にキャベツをいれてみたり…いろいろチャレンジしていました。
…そして、数ヵ月後。私がどうしても食べたかった【モロヘイヤの天ぷら】を夕食のおつまみに…と揚げてると、その天ぷらの香ばしいにおいに誘われて子どもたちが寄ってきました。緑鮮やかなモロヘイヤの天ぷらを、パクっ!!とつまみ食い。
「おいしい!もっと食べたい、もっとつくって!」「この葉っぱ、なに?」あれだけ、苦手としていた葉物を、簡単にクリアしてしまったのです。
モロヘイヤの天ぷらです!
またしても、小さな<きっかけ>をへて、食事の中でも、【緑色野菜】…ほうれん草のお浸しや、レタスのサラダ、茹でたブロッコリーに
チャレンジする気持ちが生まれました。「野菜だと認識して、受け入れて口に入れる」ということが、出来るようになったのでした。
「野菜ぎらい克服は、一日にしてならず…」
小さな<きっかけ>が、いくつも重なり、彼の中の誤解をといて、受け入れられるようになっていったのだと感じています。
毎日の食事の中で、健康の為に食べてほしい!というお母さんの気持ち。
頑張っているのに空回りしてしまうことがあると思いますが、少し視点を変えて、「食べてくれないかもしれないけど」と気持ちを緩めて
進めていってほしいと思います。
岩本 香 【アクティブ野菜ソムリエ・食育インストラクター・栄養士】
記事テーマ
「子供に野菜を美味しく食べてもらうこと」‥毎日の食事作りでは苦労されることも多いはず‥野菜ソムリエ、また二児の母として、野菜とお子さんが仲良くなるヒントをお伝えします。普段、当たり前のように調理している野菜たち‥見る角度を少し変えるだけで、新しい味が生まれてきますよ!食育インストラクターとしても、大人から子供への食の大切さをお伝えします。