みなさん、こんにちは! 野菜ソムリエの岩本 香です。
もう3月! 春は子どもたちにとって、新しい生活のスタートの時ですね!
今回は、私がお手伝いをしている、子どものための【野菜ぎらい克服塾】の活動のひとつ、《幼稚園・保育園での出前授業》でのお話です。
【野菜ぎらい克服塾】では、通常の講座とは別に、幼稚園・保育園で、野菜にもっと興味を持ってもらえるような《出前授業》を行っています。
授業の内容は、野菜を身近に感じてもらう楽しいワークと、旬の野菜(きゅうり・ニンジン・大根など)1種類を切り方をかえて試食してもらうのです。
この試食では、基本的に味付けはしていません。野菜本来の味を、しっかりと感じてほしいからです。
大人でも、この野菜の食べ比べに向き合うと、食べなれた野菜であっても、いろいろな発見があるものなのです!
この、《同じ野菜でも味が違う》を感じてもらい野菜に興味を持ってもらうことで、子どもたちの野菜との付き合い方が大きく変わってくるのです!
(昨年、豊島区のS幼稚園での出前授業の風景です。講師の香月さんの問いかけに、たくさんの手をあげてくれています。)
幼稚園・保育園では、1テーブル6名ほどで友だちと向き合い、試食のプレートを皆で順番に食べていきます。
これは、ニンジンの食べ比べプレートです。紙皿に番号がありますが、順番に「タテ切り・輪切り・ヨコ切り」が並んでいます。
下の半分は、加熱したニンジンです。時に、違う種類のニンジンを試すこともあります。
とある幼稚園での出来事です。
授業前に、担任の先生とお話をしていて「Aちゃんは、今日試食予定の野菜が苦手」という話をうかがっていたことがありました。
出前授業では、こんな時は無理に食べるようにはせず、色の違いを見てみたり、「どんなにおいがするか、かいでみよう!」と促しています。
食べなくても、色々な発見が出来るからです。
さて…苦手な野菜がのったプレート…なんの味付けもしていない野菜…Aちゃんはそのお皿を前にしてどんな風に感じるのでしょう?
私は少し気になって、試食の時間、Aちゃんの座るテーブルの様子をうかがっていました。他の子どもたちは、積極的に試食をしながら、とてもストレートな表現をしていきます。
「サクサクって音がするよ!」
「こっちの方が甘い気がする~」
「口の中に水が出てきたよ!」
「これ、まずいよ~」
たくさんの言葉が聞かれます。そんな中、Aちゃんはチャレンジ出来るかな?と見ていると…
ゆっくりゆっくり、手を伸ばし、口に入れている姿がありました!
この時、Aちゃんは苦手な野菜に向き合うことが出来ていたのです。そのチャレンジ出来たAちゃんの気持ちに、本当に感激をしたのでした。
この時、普段、なかなか食べられないAちゃんに、どんな変化があったのでしょうか?
同じテーブルのお友だちの、ストレートな感想も、もちろんAちゃんの耳に届いていたのでしょう。
そして、なかなか進まないAちゃんを見て、周りのお友だちが「ねぇ、これ甘いよ!たべてみて」と声をかけていました。
周りのお友だちの楽しそうな笑い声・話し声、そしてお友達からの声かけ、そして「みんなと同じ野菜のプレート」…Aちゃんの気持ちを後押しする原動力になったのだと思います。
まさに【集団の力(ちから)】が働いたのです!
(実際の試食の様子です。パクパクと食べ進めてしまう子もいますが、ゆっくり味わって行くお子さんもいます。)
このワークの後、Aちゃんの保護者の方から言葉をいただく機会がありました。
「あの野菜は、家では口にしたことがありません! なぜ、あの時食べられたのか、本当に驚きました。」
このような状況は、一度ではなく、いくつもの幼稚園・保育園でみられた出来事なのです。
お子さんの野菜ぎらいを、お母さんの力だけで直そうと思わずに、お友だちの力を借りることも重要だと思います。
まだ幼稚園などの集団生活に入る前のお子さんは「幼稚園に入る前になおしておこう」と思わずに、ゆっくりと構えてもよいと思うのです。
集団生活が始まれば、子どもたちはたくさんの刺激を受けて成長していきます。
<親子で野菜と向き合って行こう!>という気持ちをお母さんが持ち続けることで、きっと《野菜を食べようとするスイッチ》を見つけられるはずです。
1月の記事「食べないステップ」や2月の「簡単お手伝い」を参考にしながら、ゆっくり進めていってくださいね!
私は【野菜ぎらい克服塾】での活動を通して、子どもの野菜ぎらいをなおす為のアプローチは、たくさんの方法があると実感しています。
たくさんのスイッチを、一つずつ探していきましょう!
岩本 香 【アクティブ野菜ソムリエ・食育インストラクター・栄養士】
記事テーマ
「子供に野菜を美味しく食べてもらうこと」‥毎日の食事作りでは苦労されることも多いはず‥野菜ソムリエ、また二児の母として、野菜とお子さんが仲良くなるヒントをお伝えします。普段、当たり前のように調理している野菜たち‥見る角度を少し変えるだけで、新しい味が生まれてきますよ!食育インストラクターとしても、大人から子供への食の大切さをお伝えします。