皆さん、こんにちは! アクティブ野菜ソムリエの岩本 香です。
秋まっさかり! 急に肌寒い日があったり、体調を崩しやすい季節ですね。冬に備えてビタミンたっぷりの野菜を食べて乗り切りたいですね。
さて今回のテーマは‥
「調味料のひみつ」についてです。今までは、特に野菜に注目をしてきましたが、実は、調味料の効果を知ることで、調理の巾を広げ、適した下準備が出来るのです。ぜひ、知って、使って欲しいと思います。調味料は野菜を食べやすくするサポートをしてくれるのです。
塩は、調味料の基本ですね。下ごしらえから最後の味付けまで、欠かせないものです。
では、塩は、野菜と関わると、どんなことが起こるのか、考えてみましょう。
野菜を塩揉みすると、野菜の細胞膜が壊れます。塩との浸透圧の効果で野菜から水分が出て、野菜の表面に水の膜を作ります。
水分が出たことで、野菜の臭みや青臭さ、エグ味を出す効果がありますし、水の膜が出来たことで、揮発性の成分がマスキングされ、臭みを感じにくくする効果が出ます。
強過ぎる、野菜独特の味や香りを、食べやすいと感じるように和らげることが出来るのです。
さらに、人の味覚の感じ方ですが、塩の主成分ナトリウムが、ある種の苦みを大幅に緩和する効果があるともいわれています。
そんな理由から、昔から下ごしらえに使われています。
キュウリ・ナス・白菜・キャベツは、塩揉みで青臭さやエグ味を和らげてくれているのです。
油の調理でも、野菜を食べやすく変身させてくれます。油を少し加えるだけで、味がまろやかになるのです。
これは、油が、野菜の苦みやエグ味をマスキングする為です。
例えば、普通の野菜の具材のお味噌汁と、野菜を軽く油で炒めてから作ったお味噌汁を食べ比べてみるとよくわかります。
少し油が加わると、とてもまろやかに、甘みを感じるのです。
エグ味が気になる、「ナス」も、素焼きの焼きナスと、油を使った揚げ茄子を食べ比べると、
揚げ茄子の方が、まろやかで、甘みを強く感じることがあります。
これは、ナスの特有のエグ味を油が抑え込み、ナス本来の甘みが引き出されたと考えられます。
エグ味が比較的強い野菜、例えば、山菜をてんぷらにすると美味しいものうなずけますね。
他にも、下ごしらえで使われる酢も、苦みに対して効果があります。
酸味と苦味は、互いにその味を減らしあう効果があるからです。
エグ味を取りたい時の下ごしらえに、酢洗いや酢で煮るのもこのような理由からです。
ウドも、短冊に切った後に、酢水につけるのは、味をまろやかにするための下準備たっだのです。
日本料理に欠かせない「出汁」、カツオ節、昆布などを組み合わせる「合わせ出汁」は、
野菜のエグ味を弱める効果があると言われています。
だから、日本料理の野菜の煮物は、やさしい、ほっこりした味になるのかもしれませんね。
【三色ピーマンの塩昆布】
生のピーマンの縦切りを塩昆布で揉んで、オイルを少しかけます。
塩で青臭さを抑えつつ、昆布でマスキング、そしてオイルで味をまろやかに。
理にかなった調理法でした。
【参考文献】
◎塩と健康 塩協会ニュースレター2010 モネル化学感覚研究所
◎精進料理における美味しさの科学的解明(出汁と油の役割について) 浦上財団研究報告書Vol.16(2008)高岡素子 神戸女学院大学
◎調理科学 食酢の調理特性 菅野幸一 日本調理科学会
岩本 香 【アクティブ野菜ソムリエ・食育インストラクター・栄養士】
記事テーマ
「子供に野菜を美味しく食べてもらうこと」‥毎日の食事作りでは苦労されることも多いはず‥野菜ソムリエ、また二児の母として、野菜とお子さんが仲良くなるヒントをお伝えします。普段、当たり前のように調理している野菜たち‥見る角度を少し変えるだけで、新しい味が生まれてきますよ!食育インストラクターとしても、大人から子供への食の大切さをお伝えします。