お子さんの野菜嫌いが原因で、「ある特定の野菜が食卓にのぼらない」というお話を耳にします。最近は、核家族化が進み、夕食はお母さんとお子さんだけ(お父さんは夜は帰りが遅いので別に食べる)状況もあるのでしょうか? そんな中、お子さんの得意でない野菜を使った料理を出して、「食べなさい。」「やだよ!」の会話をするのは、楽しくあるべき食事の時間が台無しになってしまいますよね。
野菜が苦手なお子さんに、野菜を食べてもらうこと。ゴールは「食べる」ということですが、野菜ぎらい克服へのステップには【食べないステップ】が存在していると考えています。
人は野菜を「食べる」という行動の中で、【五感】…視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚…を使ってそれらの野菜を感じ、味わっています。
トマトやピーマンの鮮やかでつややかな色を目で見て感じたり、キュウリの表面のトゲを手で触れて感じたりしています。また、食べ物を口にした時の香りや食感は、「その食べ物がおいしい」と感じる大切な要因となっているのです。
(この写真は、昨年の夏、自宅で育てたキュウリのトゲトゲを写したものです。子供たちと「痛いほどトゲトゲ!!」といいながら収穫しました。)
例えばピーマン。ピーマンは苦い…と多くの人が感じていますが、実は味覚だけで「苦み」を感じているわけではなく、その香りと合わさって、ピーマン独特の風味を出しているのです。簡単な実験ですが、目隠しをして鼻をつまんでピーマンを食べてみると、何を食べているのかわからない人もいるのです。(風邪をひいて、鼻がつまってしまい食べ物の味がわからなくなるのも、同様ですね。)
目で見て、その野菜の香りをかぐ…そんな些細なことでも、野菜に少しずつ親しむための大切なステップなのです。
例えば、数種の野菜の炒め物。食卓に出し「無理をしなくていいよ、食べられるものだけね。」と言いながら、お子さんが食べられる野菜だけを取り分けてあげましょう。全ての野菜を食べられなくても、一緒に調理をしているので、香りを感じることも出来ますし、目で見ることでその野菜に少しずつ慣れて行きます。
前回もお話ししましたが、私の息子も大の野菜ぎらいでした。イモ類と肉にしか箸を伸ばさないので、先ほどの方法「取り分け」で少しずつ進めてみました。最初は、炒め物の中の「肉」しか食べることが出来なかったです。ですが、苦手な野菜でも普段から食卓に出ていて、そして、お姉ちゃんもママも普通に美味しそうに食べている…と慣れてきたところで、次のステップ【口に入れてみる】へと進んでいったのです。
お子さんが野菜を苦手だと感じる要因は、一つではなくとても複雑です。たくさんの「きっかけ」というスイッチがあると考えられます。
ですが、意外なほど簡単なきっかけで、「食べられた!!」となったりもするのです。それぞれのお子さん、十人十色です! お母さん方も「絶対食べて!」と気構えることなく、ゆっくりと進めてみてください。
岩本 香 【アクティブ野菜ソムリエ・食育インストラクター・栄養士】
記事テーマ
「子供に野菜を美味しく食べてもらうこと」‥毎日の食事作りでは苦労されることも多いはず‥野菜ソムリエ、また二児の母として、野菜とお子さんが仲良くなるヒントをお伝えします。普段、当たり前のように調理している野菜たち‥見る角度を少し変えるだけで、新しい味が生まれてきますよ!食育インストラクターとしても、大人から子供への食の大切さをお伝えします。