こちらでコラムを書かせて頂くようになって1年が経ちました。このコラムから始まる2年目も「おうち花育」をテーマに、季節に寄り添った花との過ごし方を綴っていこうと思います。暮らしの中に一輪でも花のある時の幸せな気持ちを、1人でも多くの方にお伝えできるといいなと思っています。引き続き、読んで頂ければうれしいです。
節分・立春が過ぎると、暦の上では一気に春がやってきます。まだまだ冷たい風に冬の寒さを感じる日々の中で、楽しみな日本の行事といえば3月3日ひなまつり。桃の節句とも言いますね。昔は「節供」と書いていました。今と同じように、女の子の成長を祝う行事として美しい雛人形を飾り、ごちそうなどでお祝いするようになったのは江戸~室町時代の頃から。それより前の奈良・平安時代の頃には、よもぎの草もちを食べ、桃花酒を頂き、人形(ひとがた)を水辺に流す厄除けの行事だったそうです。ぷっくりとピンク色で可愛らしい桃の花は、私たちのけがれを祓ってくれるものでもあったのですね。
桃の節句を迎えるために雛人形を飾ったら、桃の花も一緒に飾ってみましょう。雛人形を飾らないおうちやお子さまが男の子のご家庭でも、昔むかしに思いを馳せながら、桃の花を愛でてみませんか?しっとりと艶のある茶色い枝には優しいピンク色のまん丸なつぼみたち。ふくらんで花開けば、丸みのある花びらが重なり、なんて愛らしいことでしょう。一枝だけを花瓶に飾るのではなく、こんな風に春らしい花と一緒に飾るのもステキ。こちらは花育キッズクラスの生徒さんのアレンジメント。お雛さまの着物のイメージで花器をピンクの和紙で包んでみました。
童謡「ひなまつり」の歌詞にもある桃の花。「一枝、飾ってみませんか?」とお勧めするのには理由があります。それはお子さまに、本物の桃の花を見せてあげて頂きたいからなのです。歌詞の中にある通りに、お子さまと一緒にお雛さまの傍に桃の花を飾って頂きたいから。もちろん庭に桃の木があるなら、ぜひ、それを飾ってみましょう。「桜の花とは花びらの形も、色もちょっと違うね」「プクプクしたつぼみは、こんな手触りなんだね」と、親子でそんな会話をしながら、桃の節句の準備をするのも楽しいですね。まだ幼いお子さまたちには、「これが桃の花なんだ」と、はっきりと記憶に残すのは難しいかもしれません。けれど、そうであっても、どうぞママ、パパご自身が幼いお子さまの代わりに覚えていて下さって、少し大きくなった頃にお話ししてあげてくださいね。やわらかなピンク色の桃の花とともに過ごす桃の節句。。格別、楽しいひとときになりますように。。!
〈桃の花を長く楽しむために〉
花を長く楽しめるように、お世話するときのポイントをお伝えしましょう。まず、桃の花は寒さに弱いので適度に暖かい部屋に置いてあげましょう。寒いところだとつぼみが黒ずんでしまったり、咲く前に落ちてしまいます。また空調が直接、花にあたらないほうがいいですね。
● 参考文献 ●
・『三省堂 年中行事 事典』 田中 宣一 (編集), 宮田 登 (編集) 三省堂 1999年8月
・『行事としきたりの料理』 千 澄子 (著), 宮田 登 (著), 城戸崎 愛 (著) 婦人画報社 1993年10月
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西野 佳衣子 【花育士・フラワースタイリスト】
記事テーマ
花に触れている時の子どもたちは、瞳がキラキラしていて穏やかで優しい笑顔…本当に愛らしいのです。花はみんなを笑顔にしてくれます。家族の笑顔があふれるよう、気軽に花を暮らしの中に取り入れてみましょう!親子で過ごすひとときを花と一緒に楽しむため、日本&海外の花行事、季節の旬な花選び、小さなお子さまとも楽しめるアレンジなどもお伝えしていきます。