4月からひと月が経ちました。この春から新たに働き始めた方も、入園・入学と新たな局面を迎えた方も、いよいよこれからというところでしょうか。実際に子どもを持ちながら働いてみると、働いている自分自身も、子どももいくつものハードルを迎えて、その度に乗り越えていくことになります。せっかく働き始めて両立していても、自分自身も 「本当にこのままの働き方でいいの?」 と迷うこともあると思います。
もっと子どもの側にいた方がいいのでは? と思う時もあるかもしれませんし、親戚や周囲からの声もあると思います。よく聞かれるのが、「子どもを預けるのはかわいそう?」という声。果たして本当にそうでしょうか。そもそも、子どもを祖母や保育園に預けていて、後ろめたさを感じる瞬間 って、どんな時でしょうか。
・預けるときに、ママの抱っこから離れた瞬間、体をのけぞって大泣きする姿を見た時
・子どもの初めてを見られない。自分の知らない間に子どもが成長している時
・身内や、他のお母さんから預けるなんてかわいそう・・・と言われた時etc.
特に子どもを預ける朝、「ママ行かないで!」と子どもの声、言葉が話せない赤ちゃんだと、体をのけぞって泣いて表現します。泣き顔を見て離れがたくなる気持ちもありますが、ママが思っているほど、子どもは泣き続けているばかりでも無い様です。ママが仕事に向かった後は、泣き顔なんてどこに行ったのかという位、おもちゃへの興味でいっぱいだったりもします。年齢を重ねれば、友だちと思いっきり遊び、けんかもして、刺激も受けて学ぶことも多いでしょう。
確かに、子どもとずっと一緒に居られないということは、いつの間にか歩けるようになったり、コップが使えるようになっていたり、いつの間にか話せる言葉が増えてくるということです。子どもの初めてを見ていたい、という気持ちはありますが、私たちがが全てを見ていなくても、子どもは育っていきます。子どもを自分だけでない、 「周囲の手も借りて一緒に育ててい」 くという考え方も大切です。手を借りることの良い面にも目を向けてみてください。子育ての先輩に、子どもを預けて良かった面を聞いてみるのもいいでしょう。
仕事と子育てを両立しているお母さんに、一つお伝えしておきたい話があります。「三歳児神話」です。「子どもは三歳頃まで母親自身の手元で育てないと その子どもに悪い影響があるという考え」 を指しますが、この説も実はあまり根拠がないと言われています。
もともとイギリス人の心理学者ボウルビィが1948年~1950年に行った調査結果が基になった考え方と言われますが、本人の主張とは違った形で捉えられたり、恣意的に言葉が拡がった背景があって、一般的に言われてきた意味とは異なる面が多いそうです。
<※東洋大学 鈴木佐喜子教授 談話より>
三歳児神話のもとになる考えも、本来は「しつけや教育、そして人間に必要な心の情操教育の影響が生まれてから、3年間でほぼ固定される」という考え方であって、一般的に認識されている様に「子どもの世話は、母親が3歳になるまで、誰かに預けることなく育てられることが最良である」ことでは無いそうなので、ご安心を。ボウルビィも、母親が働きに出る時、「母親に代わって世話をする人物が、子どもに対してマザリング(乳幼児に示す母性的な愛情行動)の態度で接っすることで、子どもに悪い影響はないだろう」と主張しているそうです。
大切なことは、親である私たちが、子どもが育つ環境を整えることなのであって、必ずしも「自分だけ」で育てることではないのです。
これまで、「子どもを持ちながら働くことに、後ろめたさばかり感じなくてもいい。」、 「子どもとずっと一緒にいることだけが子育てではない」ことを書いてきましたが、確かに、育ち盛り、かわいい盛りの子どもです。もっと子どもの側にいたいと感じる時はあると思います。そうはいっても、ワーキングマザーにとって、ずっと一緒にいることはできないことも事実。ぜひ、バランスをとって対処する方法を身に着けてみてください。
休日や、週末の仕事帰り、はたまた朝の時間など、少しゆとりが持てる時間に、子どもと一緒に過ごせる時間を持ってみるのもよいと思います。親子で思いっきり遊ぶ時間を作ることは、お子さんだけでなく、あなたのリフレッシュ時間にもなります。
仕事に家族に余暇、地域etc・・・キャリアには仕事にまつわる多くの要素があります。いくつかが行き詰まっても,自分の存在を感じられるチャンネルがあるかどうかは、気持ちを切り替えるきっかけにもなります。仕事だけではない、子育てだけでもない、バランスをとって両立していくその生き方自体があなたらしいライフスタイルにつながります。
佐藤 若紗 【キャリアカウンセラー】
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子育て世代のママが出産を機に考える事が多い、「育児と仕事の両立」について、出産しても働きたいママが今後のキャリアを築いていくヒントをお届けします。 在宅勤務や時短などの多様な働き方から、使ってみたい便利サービス、ママ視点を活かした働き方など、知っておきたい仕事のあれこれから、保活やママ友づくりなど産後のリアルな体験までお伝えしていきます。