今日は、誰かの相談を受ける時に、心にとめておきたいことについてお伝えします。
よく、女性は男性に比べて(仕事に限らず)お互い相談をすることが多いと俗にいわれます。日常で女性同士相談に乗ることもありますが、仕事(働く)ことにおいては、仕事に影響のあるライフイベントの多い女性ですから、悩みが多くなるのも当然かもしれません。
女性には結婚や出産、子育てなどは、働き方に大きな影響をおよぼしますし、一方で今は結婚・出産をしないという選択肢も日常にあって、同じ職場でも多様な働き方をする方がいます。このように多様な働き方がある今、職場の中で自分と似ている境遇で働く先輩(ロールモデル)を見つけることは簡単ではありません。
相談ごとができた時に、キャリアカウンセラーに相談することもありますが、まずは身近な先輩や友人に話をするケースもあります。私たちは日頃、周りの友人や後輩から相談を受けた時、どのように相手に接したらよいのでしょうか。
私たちが誰かの相談に乗った時のことを考えてみます。特に先輩と後輩など上下関係がある中で話をしていると、つい「先輩として何かアドバイスをしなくてはいけないんじゃないか」という気になったことはありませんか?
せっかく後輩が相談してくれているのだから、「私の時はね・・・」や、「そんな時はこうしたらいいんじゃない?」なんて解決してあげなきゃという気持ちで話を返していませんか?
相手のためにと思ってしたアドバイスが、相談者の気持ちを妨げることが往々にしてあるのです。相談する側になってみると、このことが良くわかります。
私たちは困ったことがあったり、相手に話を聞いて欲しい時や、何か伝えたいことがある時に相談をします。話を聞いてもらっているうちに、だんだんと気持ちも盛り上がって、困ったことがあったはずなのに、「そうそう!それがね!」なんて、流暢に話していることがあります。相談をしていたはずが、いつの間にかイキイキと(!?)盛り上がって話をしているのです。
一方で、話したいことがあるのに、相手にうまく伝わらずに、もやもやとした気持ちになることはありませんか? 自分の伝えたいことの半分も伝わらずに、「言いたいことはそうじゃないんだけど・・・」と相手に対して感じてしまうと、「私の伝えたいことはわかってもらえていない」という気持ちになって、その相手に相談することを止めてしまうこともあります。
それでは、私たちは友人や後輩、誰かから相談を受けた時、相手にどのように接したらよいのでしょうか。
キャリアカウンセリングでは、クライアントからの相談を受ける際に、はじめの段階で「相談をする側と受ける側」の関係づくりをとても大切にします。
その時にもっとも気をつけるのが、相手の気持ちや伝えたいことを「しっかり受け止める」ということです。相談者は話をしながら、内に抱えていた気持ちを整理していくこともあります。
相談を受ける時には、はじめから相手が一番の悩みを話してくれるとは限りません。相談者が本当に話をしたい事を話せるようになるには、まずは相手を信頼して話せる環境を作ることが大切です。
まずは、相手の言葉に耳を傾けて聞くことから始めます。相談者から話を聞き、相手に理解したことを伝えることで、お互いに理解を深めます。特に関係作りが大切な始めの段階では、カウンセラー(相談を受ける側)からの提案やアドバイスは行いません。情報提供をしたりアドバイスまで踏み込むのは、カウンセリングのステップでもかなり後半の段階になってからでないと行いません。
普段の会話で、そこまで意識して話を聞くことはあまりないかもしれませんが、せっかく相談相手として選んでくれたのですから、「相談してよかった!」「話をきいてもらってスッキリした!」と思ってもらいたいものです。
ぜひ、言いたいことを少しの間、ぐっと我慢して、相手の話をしっかり聞いてみる(傾聴)、はじめのうちはアドバイスをしない!ということを実践してみてください。
今まで、相手がグッと飲み込んでしまっていた本音の部分が見えてくるかもしれません・・・!
佐藤 若紗 【キャリアカウンセラー】
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