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ピアノの楽しみ方⑭表現力豊かな演奏のために/2014年7月

初歩から見逃せない「音楽用語」の感覚的理解と言葉の認識
「表現力豊かな演奏」と聞くと、ある程度、基本が身に付き、次のステップにいった後での話だろうと考えられているかもしれませんが、そうではありません。
実際、「音楽的に色彩豊かに弾くこと」は今日して明日できるようなものではないのです。初歩の段階からこつこつ積み上げてようやく少しずつ音楽表現の力がついていくのです。
実際、私のところに体験に来られた方で、「そんなに上手にならなくていいから楽譜が読めるようにしてほしい」と言われた方がいました。
私は、その瞬間、「多分、ドレミの音符が読めるように」という意味なのだろうなということはわかりましたが、「楽譜が読める」というのは、ただ、「ドレミ」が読めるということではないと思うのです。「そんなに上手にならなくていいから」と言われましたが「ではなぜわざわざ習わせるのだろう、音符読みなら、お母さんでもできるはず」と少し頭をよぎりましたが、やっぱり、ピアノを習い弾くことができるように!というのは、ただ、ただ音符が読める!リズムがわかる!拍子がわかる!とは違うと思うのです。
 
これは私の中で、いや多くの先生の中で当たり前なことですが、そうでない方もいらっしゃるのだなと感じることがありましたので、今回のコラムではこれを書いていきたいと思います。
 
「表現力豊かな演奏」を目標にレッスンに取り組んでらっしゃる方も多いと思いますが、まずは、スコアをみて、いろいろ考えることができるようになる力を身につけていく必要性があると思います。
ピアニスト、ミュージシャンはみな、スコアから得るヒントと耳から聞こえる現在進行形の音楽に瞬時に対応していく力があるのです。ではまず、初歩の段階から、このような力を将来的につけていくために外せないものをお伝えします。
それは、まずは「音楽用語」をしっかり覚えることが必要です。スコア左上に書いてある「速度記号」、曲の中に出てくる「表現記号」、「表情」等。これらを、クラシック音楽は、イタリア語で表記されることが一般的です。しかし、昔の日本は、「理想的な音楽の国といえばドイツ」という考えがあり、明治維新以降に伝えられたとされる、「速度記号」も例えば、「andante」を日本の音楽教育では、「歩く速さで」と書いてテストでは丸がもらえたりすると思いますが、アンダンテを「歩く速さで」と伝えたドイツ人から輸入され、今日までもドイツ音楽中心の教育がなされているわけです。
アンダンテを元々のイタリア語の意味としては、動詞のandareから生まれていて、この動詞は、行く、移動するの意味があり、イタリア人的感覚でいうと、速くも遅くもなく停滞しない速さという意味、言い換えると「心地よい」そんな感じであると思います。
 
また、例えば、「アンダンテな人ね」なんて話がでると、性格が穏やかで一生懸命自分の人生を生きている人の意味があります。
イタリア人は楽しく明るい気質がありますから、決して悪い意味ではありませんよ。
 
また、「dolce」もよく用いられる楽語のひとつですが、「優しく」と訳すことが多いかもしれませんが、ドルチェはもともと「甘い」という意味があります。
1、砂糖の持つ甘さのドルチェ。
2、優しさ、柔らかさ、愛情深いなどの感覚的なドルチェ。
3、苦しさのない、疲れのない、などのドルチェ。
例えば、階段が緩やかである場合、「ドルチェな階段」なんていう言い方をします♪
 
奏法でよく用いられる「Staccato」
よく、スタッカートは「切る。はじく」などと習う方もいらっしゃるでしょう。しかし、元々は、「離れる、分離した」という意味です。その曲やフレーズで、スタッカートの具合というのは決まってくるかと思いますので、その都度、「そこのスタッカートは、ポップコーンが弾けるみたいに」とか、「持ち上がる感じ」とかいろんな表現で生徒さんに伝わるように講師は頭の中の言葉のニュアンスを伝える引き出しを準備しておかなければなりません。
さて、、、このように、イタリア語の元々持つ意味と、音楽教育で受ける言葉の意味が違うときがありますが、その都度、教えて頂いたり、自分で調べてみたりしても、よりその曲を深く演奏するのに繋がっていくことと思います。
クラシック音楽を学ぶにイタリア語はとても密接に関わる外せない勉強のひとつですね!
音楽を学ぶとまた、視野が広がり違う分野にも興味が出てきますし、違う分野と思っていたら音楽に繋がっていく!なんてことも多々あるのです。
 
学ぶってなんて楽しいことなんでしょうか♪
 
宿題を先生に頂いたら、ただ弾いてくる!そんな方が多いかもしれませんが、スコアを見ながら「あれ?これどんな意味があるんだろう?」「どう表現したらいいだろう?」と「なぜ?何?不思議?楽しい!わかる!」などを沢山自然に感じる脳を育てていくことが、脳を開き、成長していくことに繋がっていくと思います。
 
音楽・言葉は、切っても切れない、強い絆でつながる、そう! Legato「レガート」な関係なのです(*^^*)
 
ピアノを学ぶと視野が広がり、脳を育て開いていきます。
 
東京の有名塾の先生は、受験でもピアノだけは続けるようにお話しするそうです。
ピアノは、右脳左脳、両方を開いていくのです。
勉強と関係ないようで、「この記号の意味は?」「ここをこんなふうに弾くにはどうしたらいいか?」など「表現力深く演奏するにはどうしたらよいのか?」を考えながら練習に取り組むことにより脳を鍛えます。
ですので、初歩の段階から講師は分かりやすい表現を用いてその音楽用語を生徒に伝える必要がありますし、それにより子どもたちに伝われば、想像力の発電所である子どもの脳は、おもしろい演奏をいろいろ実験しだすことでしょう! それをまた、先生は軌道修正しながら、より素晴らしい音楽になるように導くのです。
そして、それはレッスンだけではなく、おうちでのお母様の言葉がけ、ひとつにおいても言えることですので、お子さまが「表現力豊かな演奏をすること」ができるように、一緒に考えたり、調べたり、聞いてみたりして、より深く学んで、ピアノレッスンを楽しんで頂けたらと切に願います♪
 
いつも心に音楽・ピアノを♪
 
Glazie("⌒∇⌒")

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楳寿 あかり

楳寿 あかり 【音楽教育家】

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「音楽」を10倍楽しく学び続けるために♪

習い事ランキングに必ず上位になる「ピアノ」最近、「ピアノは脳に良い」「人気の習い事だからとりあえず」という理由で始められる方が増えてきましたが、数ヶ月すると、「塾に行って脳を鍛えます」「むいてなかった」「練習がきつい」等の理由で続かない方も。どうすれば、「音楽」を楽しく学び続けていけるのかをいろいろな観点から連載していきます。

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