百人一首は日本の古典文学の代表で、百人の歌人の和歌を一首ずつ集めたアンソロジーと言われています。選んだのは、平安末期から鎌倉時代に活躍した藤原定家。
定家の息子の舅が別荘の襖障子に貼る色紙を作ってほしいと頼んだのがきっかけで、和歌を記した色紙形を送ったのが百人一首の原型だそうです。
その後、多くの類似品と区別するために、小倉にあった彼の別荘にちなんで『小倉百人一首』とよばれるようになったそうです。
私たちが、学校で学び、憶えさせられたのもこの『小倉百人一首』、子どもの頃から『坊主めくり』や『カルタとり』といった形でもお馴染みでありました。
また、大正2年に宝塚少女歌劇が誕生した際には、創始者が第一回の生徒たちの芸名をほとんど百人一首の歌から取ったそうです。宝塚歌劇創立以来、なんと200人以上の名前が百人一首にちなんでいるそうです。
そして近年では、『ちはやふる』という、競技かるたの世界を描いたマンガも人気になっており、ここでも百人一首は最も親しみやすい古典だということをうかがい知ることが出来ます。
百人一首には和の魅力がギュっと詰まっていて、日本文化の縮図とも言えそうです。
そしてそれは、とても身近であり、多様であります。さあ、あなたはどんなアプローチをしますか?
・ともかく百首の解説を読む
・歌や歌人を研究する
・同じように歌を作ってみる
・競技かるたに挑戦する
・歌を行書で綴ったり、書として楽しむ
・絵付けやかるた作りを通して美術として楽しむ
・かるた、短冊、巻物、色紙、貝などコレクターの品を鑑賞し芸術に触れる
・歴史に目を向ける
・歌枕になった場所を訪れる
・百人一首が主題になった能や歌舞伎、文楽など芸能を楽しむ
私は百人一首で美しい季節の歌や切ない恋の歌を舞っています。
本当にいろいろな楽しみ方がありますね。あなたの手で百人一首の更なる魅力を引き出してみて下さい。
参考文献
『もっと知りたい京都小倉百人一首』 監修 冷泉貴実子 京都新聞出版センター
『こんなに面白かった「百人一首」』 監修 吉海直人 PHP文庫
『百人一首Ⅱ』 別冊太陽 日本のこころ84 平凡社
『ちはやふる』 末次由紀 著 講談社
鈴木 麻奈美 【日本舞踊藤間流名取・NOSSインストラクター】
記事テーマ
グローバル時代において、和の精神、和の文化を持つことは、これから世界で活躍されるであろうお子さまたちの心のよりどころとなるでしょう。3年半のアメリカ暮らしで気付いた和の魅力、日々の暮らしの中にある和の素敵をお伝えしていきます。あなたの気付きとなりますように。お子さまたちの和のスマイルを育む毎日につながりますように。