ハッピー・ノート.com

百人一首/2014年10月

親しみやすい古典文学

百人一首は日本の古典文学の代表で、百人の歌人の和歌を一首ずつ集めたアンソロジーと言われています。選んだのは、平安末期から鎌倉時代に活躍した藤原定家。

定家の息子の舅が別荘の襖障子に貼る色紙を作ってほしいと頼んだのがきっかけで、和歌を記した色紙形を送ったのが百人一首の原型だそうです。

その後、多くの類似品と区別するために、小倉にあった彼の別荘にちなんで『小倉百人一首』とよばれるようになったそうです。

私たちが、学校で学び、憶えさせられたのもこの『小倉百人一首』、子どもの頃から『坊主めくり』や『カルタとり』といった形でもお馴染みでありました。

また、大正2年に宝塚少女歌劇が誕生した際には、創始者が第一回の生徒たちの芸名をほとんど百人一首の歌から取ったそうです。宝塚歌劇創立以来、なんと200人以上の名前が百人一首にちなんでいるそうです。

そして近年では、『ちはやふる』という、競技かるたの世界を描いたマンガも人気になっており、ここでも百人一首は最も親しみやすい古典だということをうかがい知ることが出来ます。

三十一文字の神秘

わずか三十一文字に込められた和歌。そこには、季節があり、自然があり、恋があり、人生観があり、言霊があり、歴史がある。

日本文化の宝庫です。

その美しく繊細な感受性もさることながら、洗練された言葉の技巧もこれまた素晴らしいですね。

地名や場所を詠み込む『歌枕』。印象を強める『枕詞』。『縁語』や『掛詞』は粋な言葉遊びですね。

和歌を内容別に分類すると、春6首、夏4首、秋16首、冬6首、恋43首、離別1首、き旅(きりょ)4首、雑(ぞう)20首となります。

つまり、半分近くが、恋文、ラブレターだったのです。

『恋』は昔も今も最大の関心事、永遠のテーマなのですね。

 

038.JPG

時雨殿(しぐれでん)

DSC_2787.JPG

京都嵐山にある百人一首の殿堂、『時雨殿』。

小倉山の麓にあった藤原定家の山荘『時雨亭』にちなみ名付けられたそうです。百人一首の多様な世界を体感出来るミュージアムとなっています。

百首の歌が解説とともに見られるのはもちろんのこと、歌仙絵をもとに忠実に再現された100体の歌仙人形や歌が詠まれた場面を再現した舞台の展示も観ることが出来ます。また、平安装束の着付け体験や貝合わせの絵付け体験、お香体験、かるた裏貼り体験など、さまざまなプログラムが用意されています。

月に1度、百人一首入門講座があったり、歌碑めぐりツアーが用意されていたり、遊ぶにも学ぶにも観賞するにも、魅力満載の館です。

DSC_2779.JPG

百人一首のススメ

百人一首には和の魅力がギュっと詰まっていて、日本文化の縮図とも言えそうです。

そしてそれは、とても身近であり、多様であります。さあ、あなたはどんなアプローチをしますか?

・ともかく百首の解説を読む

・歌や歌人を研究する

・同じように歌を作ってみる

・競技かるたに挑戦する

・歌を行書で綴ったり、書として楽しむ

・絵付けやかるた作りを通して美術として楽しむ

・かるた、短冊、巻物、色紙、貝などコレクターの品を鑑賞し芸術に触れる

・歴史に目を向ける

・歌枕になった場所を訪れる

・百人一首が主題になった能や歌舞伎、文楽など芸能を楽しむ

私は百人一首で美しい季節の歌や切ない恋の歌を舞っています。

本当にいろいろな楽しみ方がありますね。あなたの手で百人一首の更なる魅力を引き出してみて下さい。

Information/お知らせ

参考文献

『もっと知りたい京都小倉百人一首』 監修 冷泉貴実子 京都新聞出版センター

『こんなに面白かった「百人一首」』  監修 吉海直人 PHP文庫

『百人一首Ⅱ』 別冊太陽 日本のこころ84 平凡社 

『ちはやふる』 末次由紀 著 講談社

 

時雨殿        http://www.shigureden.or.jp/時雨殿

Mama's profile/プロフィール

鈴木 麻奈美

鈴木 麻奈美 【日本舞踊藤間流名取・NOSSインストラクター】

記事テーマ

和の魅力

グローバル時代において、和の精神、和の文化を持つことは、これから世界で活躍されるであろうお子さまたちの心のよりどころとなるでしょう。3年半のアメリカ暮らしで気付いた和の魅力、日々の暮らしの中にある和の素敵をお伝えしていきます。あなたの気付きとなりますように。お子さまたちの和のスマイルを育む毎日につながりますように。

Vote/この記事に投票しよう

Evaluation/この記事のみんなの評価

lightbulb_outline

なるほどそうか!役に立った

0

favorite_border

わかる!わかる!共感した

0

feedback

この記事へのコメント

0

Comment/この記事にコメントしよう

Archives/鈴木 麻奈美さんの記事一覧

  • 和の魅力
    国語事典で『わ(和)』を引くと、 ①やわらぐこと。おだやか。 ②むつまじい…
  • 百人一首
    百人一首は日本の古典文学の代表で、百人の歌人の和歌を一首ずつ集めたアンソロジーと言われてい…
  • 美しい言の葉
    日本の美しい言葉と聞いてまず思い浮かぶのは季語。季節を表す美しい言葉です。 例えば…
  • NOSS
    NOSS(ノス)とは、Nihon(にほん)・Odori(おどり)・Sports(スポーツ)…
  • 日本一の山と湖
    日本一高い山、富士山。そして日本一大きい湖、琵琶湖。   …
  • 祇園祭り
    コンコンチキチン、コンチキチン♪ 7月に入って京の町は祇園祭りモード全開です。祇園…
  • たなばた(七夕・棚機)
    むかしむかし、天の川のほとりに織姫という娘がいました。織姫は機織りが大変上手で、…
  • 日本人の美しい立ち居振る舞い
    『江戸しぐさ』ってお聞きになったことありますか? 10年ほど前から公共広告機構が江…

  •   能というと、堅苦しい、難しそう、眠ってしまいそう、敷居が高…
  • 着物事始め
    着物っていいですよね。季節感を楽しんだり、礼節や遊び心を盛り込んだり、母や祖母から受け継ぐ…
  • こどもの日
    5月5日は『端午の節句』五月人形や兜を出し、鯉のぼりを立て、菖蒲を飾り、柏餅やちまきを食べ…
  • 和菓子
    移ろう季節を感じさせてくれるのは自然界のものだけではありません。人間が生みだした和菓子もま…
  • さくら
    名ばかりの寒い立春も三寒四温の春分も七十二候の『櫻始開(さくらはじめてひらく)』も過ぎ、い…
  • 昔の遊び
    皆さまが初めて出合った遊びは何ですか?好きだった遊びは何だったでしょう? 昭和40…
  • ひなまつり
    3月弥生は『桃の節句』、ひなまつり!女の子の健やかな成長を祝うおまつりですね。女の子がいる…
  • おりがみ
    『おりがみ』って素晴らしいと思いませんか?!遊びであり、芸術であり、文化であるの…
  • 和の暦
    和の文化や日本の伝統行事を語る時、切っても切れないのが旧暦といわれる和の暦ですね。 …
  • お正月行事の伝承
    早くも鏡開きとなりましたが、皆様、お正月をいかがお過ごしになられたでしょう?お正月は子ども…
  • 和の宗教
    日本の多くのママたちは、新しい命を授かったら、神社で腹帯をもらい、 『天の神様、仏…
  • 日本舞踊
    お子さまの習い事に日本舞踊はいかがですか?   和のリ…
  • 紅葉
    紅葉は日本文化! と、渡米するまでは、勝手に思い込んでいた私・・・ …
  • 伝統行事と子どもの着物
    七+五+三=十五 そう、十五日は七五三。11月の休日になると、神社で目に…
  • 和のフィットネス
    天高く馬肥ゆる秋。 9月から10月にかけて、園や学校、地域や職場、さまざ…
  • お辞儀
    幼少の頃、『こんにちは』『ありがとう』『ごめんなさい』とペコッとお辞儀を教えられたのを最初…

最新記事

記事一覧を見る

注目トピックス

トピックス一覧を見る

Weeklyゴーゴーリサーチ