七+五+三=十五
そう、十五日は七五三。11月の休日になると、神社で目にするかわいい着物姿。
お宮参りを初着とするお子さまも多いでしょうが、生まれて1ヵ月では本人に何の意識もないでしょうから、実質的には七五三がお着物との初めての出会いになるお子さまが多いことになりますね。
3歳・・・『髪置き(かみおき)の儀』 髪を伸ばす
5歳・・・『袴着(はかまぎ)の儀』 はかまをつける
7歳・・・『帯解き(おびとき)の儀』 幅の広い大人の帯を結び始める
このように七五三は日本古来の伝統の儀として生まれた行事であるので、ぜひとも、着物でお祝いしたいものですね。あ、でも、必ずしも新調しなければならないものではありません。お宮参りの時の祝着をお直ししてアイテムをプラスしたり、親や親せきから受け継いだ物ならより有り難いし、友人も快く貸して下さるかもしれません。レンタルなども大変充実しています。
3歳(男女)は肩揚げをした着物に、帯を結ばず『被布(ひふ)』というちゃんちゃんこのようなものをはおります。これなら、苦しくありませんし、着付けも楽らく♪
初めてお袖を通すお子さまはどんなご様子でしょうか。いつもと違う衣に何か特別な日であることを感じとるかもしれませんね。
5歳(男)はお宮参りの初着に袴を足せばよいでしょう。りりしいお姿に大和魂がキュンとするでしょう!
7歳(女)は付け紐をとった着物に付け帯を解いて大人の帯をしめる。すそは腰揚げ、帯の下のほうには色鮮やかなしごきを結びます。魂を内にしっかりとどめ、身をもちくずさぬようにとの願いがこめられているそうです。
そして、欠かせないのが千歳飴。この日の子どもの一番のお楽しみですね。
お利口にお写真撮ったらね!とか、お行儀よく参拝出来たらね!とかずいぶん引っ張り、この日の餌にしちゃいがちの代物ですが、本来は千歳に子どもの長寿を願ってのもの。袋には松竹梅や鶴、亀が描かれています。その場で与えると、手も顔もお着物もベタベタになってしまうので注意が必要ですね。
季節は春になりますが、京都では十三参りも盛んです。
こちらは数え年、十三歳になる男女が成人の儀礼として嵐山の『法輪寺』に参拝します。十三歳の厄難を払い知恵を授けていただけるように虚空蔵菩薩に祈願します。
この時の晴れ着は初めて本断ち(大人の寸法)の着物を肩上げをして着ます。
そして帰り路の『渡月橋』
台風18号の影響で桂川増水で放映されていたのは記憶に新しいですよね。
この橋を渡りきるまでは絶対振り返ってはいけないといわれています。
せっかく授かった知恵を返さなければならないと言い伝えられているからです。
お参りの前に子供に教えておくのですが、私はちょっと悪戯して、背後から呼んでみました。娘も息子も、頑として振り返りませんでした。(^-^)
どうかこの先も周囲に惑わされることなく、動じず、後ろを振り返らず、貫き通せる大人にな ってほしいものです。
こんな風に、日本の伝統行事は密接に着物と関連していますよね。
子どもの成長とともにいっしょに年月を重ねていく着物。ファッションだけではなく、そこにはいろんなエッセンスが詰まっています。歴史とか伝統とか先人からの思いとか・・・
まだ小さなお子さまは今は何もわからないでしょうが、いつか思い出となりアルバムを見る時、そして親になって七五三をする時、この日に思いを馳せることでしょう。
そうは言っても、七五三も十三参りもこれまでの成長を感謝してこれからのさらなる成長をお祈りするのが目的。結局のところ、着物でも洋服でも、数え年でも満でも、その日でなくても、氏神様でもお気に入りの場所でも、それぞれのご家庭に合わせて臨機応変でよいかと思います。
ご家族そろって、お子さまの成長を祈る、そんな愛に包まれたこの行事が千歳に続いていきますように。。。
参考文献
『年中行事を科学する』 永田久著 日本経済新聞社
『伝えておきたい 日本の伝統 季節の慣習』 山䕃基央著 マネジメント伸社
虚空蔵 法輪寺行事案内
鈴木 麻奈美 【日本舞踊藤間流名取・NOSSインストラクター】
記事テーマ
グローバル時代において、和の精神、和の文化を持つことは、これから世界で活躍されるであろうお子さまたちの心のよりどころとなるでしょう。3年半のアメリカ暮らしで気付いた和の魅力、日々の暮らしの中にある和の素敵をお伝えしていきます。あなたの気付きとなりますように。お子さまたちの和のスマイルを育む毎日につながりますように。