名ばかりの寒い立春も三寒四温の春分も七十二候の『櫻始開(さくらはじめてひらく)』も過ぎ、いよいよ春爛漫。毎日のように各地から届くさくらだよりに心が躍る季節となりました。
そこで気になる気象情報や開花予想で耳にする言葉、簡単にまとめてみました。
桜前線・・・桜の開花日を天気図の前線のように描いたもの。
桜の開花基準・・・それぞれの地域によって決められており東京では靖国神社の『ソメイヨシノ』の蕾が採取され、重量検査と平均気温で開花時期がきめられている。
標本木・・・各地の標本木となる桜もソメイヨシノだが、北海道は『エゾヤマザクラ』『チシマザクラ』、沖縄では『カンヒザクラ』が標本木となるそうだ。気象台から近いところで周辺の環境が変わりにくい場所の木が選ばれる。
ソメイヨシノ(染井吉野)・・・日本の桜の8割を占めているもっとも身近な桜。
『エドヒガン』と『オオシマザクラ』の雑種で、山野に自生しているものではなく人が作りだした栽培品種。江戸時代の末ごろ、東京の染井(豊島区馬込)で生まれたので歴史としては結構新しい。
開花日・・・花が数輪以上咲いた最初の日。
満開日・・・約80%以上の花が咲きそろった最初の日。
平年並・・・過去30年間の平均値の差が2日以内をいう。
桜前線北上スピード・・・緯度1度進むのに関東以西は2~3日、関東以北は6日前後かかる。高度が100m違うと、数日の違いがある。
アメリカでは春の主役はイースター(復活祭)で、そのシンボルとなるタマゴやうさぎが春の訪れを告げていましたが、ここでも、桜はしっかり存在していました。
日本には法定上の国花はないとされていますが、やはり桜は日本の春のシンボルですよね。
ワシントンD.C.の桜は、日米の友好を願って、1912年に東京から約3000本、寄贈されました。ポトマック河畔に植樹された美しい桜を見ようと、国内のみならず世界各国から百万人を超える人々が訪れます。海を渡った桜たちは、もう100年以上も、日米交流、対日理解促進に貢献してきています。
そして何より、日本人の心を癒し、元気づけ、華やいだ気持ちにさせてくれます。
私が住んだ町でも、ちらほらと桜に出会う事が出来ました。
公園で飲酒が禁じられているので日本の花見のようなわけにはいきませんが、ニューヨークをはじめさまざまな地域でさくら祭りも開催されていました。
私もそこで、筝の演奏により『さくらさくら』を舞いました。日本人には郷愁とアメリカ人には文化の紹介になればと願いを込めて・・・
その時の地元の新聞では『SAKURA Festival』と紹介していました。
桜は『CHERRY BLOSSOM』というより、もうそのまま日本語で『SAKURA』で浸透しているようです。
SAKURAはやはり日本を象徴する花なのです。
桜というのはなんて感情移入された花なのだろうと思います。日本人の思い入れの強い花なのです。
『花は桜木、人は武士』と武士道に掲げられたり、軍歌にも出てきたり、潔く散る命を美徳としていた時代、桜に生死を重ねていました。
今でも、短命や儚い命の例えにされることが多々あります。
百人一首でも歌が詠まれたように、現代の歌手もサクラソングを歌います。
万葉集や源氏物語に出てくる遠い昔だけでなく、現代人にも感情移入される花なのです。
合格の知らせを『サクラサク』と伝え、天気予報では、『花冷え』とか『花曇り』とか風流な言いまわしをします。なんとも粋ですね。
桜餅にとどまらず、新しいサクラスイーツが次々登場するのも、お花見行事が恒例なのも、学校の校庭に桜が多いのも、みんな桜が大好きだから・・・
桜の下、ぴかぴかの入園式や入学式、家族で広げたお弁当、デートで見上げた夜桜、職場の仲間と場所取りまでしたお花見、友人たちとどんちゃん騒ぎ!
誰もが桜に関する素敵なエピソードを持っていそうですね。
さくら、さくら・・・、寒い冬を耐え、別れの季節を乗り越えて、また新たにスタートする私たちを、今年も励まし癒し彩ってくれています。
あなたはどんなさくらの季節をすござれますか? 桜にどんな想いを重ねますか?
参考文献・サイト
『週刊 四季花めぐり 桜Ⅰ』 大山邦興/編 小学館/発行
『日本の桜』 奥田実・川崎哲也・木原浩/著 山と渓谷社/発行
外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sakura100.html
『桜と武士道』 北影雄幸/著 勉誠出版/発行
鈴木 麻奈美 【日本舞踊藤間流名取・NOSSインストラクター】
記事テーマ
グローバル時代において、和の精神、和の文化を持つことは、これから世界で活躍されるであろうお子さまたちの心のよりどころとなるでしょう。3年半のアメリカ暮らしで気付いた和の魅力、日々の暮らしの中にある和の素敵をお伝えしていきます。あなたの気付きとなりますように。お子さまたちの和のスマイルを育む毎日につながりますように。