スキンシップが大切なことは、もちろん言うまでもないのですが、逆にスキンシップが足りなかったらどうなるのでしょう。
今日は赤ちゃんとスキンシップに関する、2つの実験とその結果をご紹介したいと思います。
1950年代アメリカのウィスコンシン大学で、心理学者のハリー・ハーロウによって行われた有名な実験があります。
生まれて間もないアカゲザルの赤ちゃんをオリに入れ、母親代わりに哺乳瓶のついた針金の人形と毛布の人形を置いておきました。
これはミルクだけをく れる母親と、ミルクをくれないが肌のぬくもりを感じる母親のどちらをより必要とするかを観察する実験でした。
赤ちゃんザルは、まずはミルクに食いつきました が、お腹をがいっぱいになると、毛布の人形へ移りました。
しかし生身の親からぬ くもりを与えられなかった赤ちゃんザルは、この先成長して群れに戻されても他のサルを恐がるように。
そしてサルたちの仲間に入ることがは最後までできなかったのです。
この実験は愛着実験、アカゲザルの実験などとよばれ、愛着の形成には授乳といった飢えを満たす行為だけでなく、皮膚の接触、つまりスキンシップが重要であるということを証明しています。
また、乳幼児期のスキンシップが、その後のコミュニーケーション能力に大いに影響を与えるということがわかります。
もう一つ、
13世紀の神聖ローマ帝国のフリードリヒ2世は、
「人はどうやって言葉を獲得するのか」という実験を行いました。
親のいない赤ちゃんたちをひとつの部屋に閉じ込め、
身のまわりの世話はさせるのですが、、、
「声をかけない」「笑顔を見せない」「何も答えない」
という状態で育てさせました。
つまり一切のコミュニケーションとスキンシップを絶ったのです。
結果、赤ちゃんは全員が死亡してしまいました。
スキンシップ不足によって、成長ホルモンが分泌されなくなったことも原因の一つと思われます。
意識して肌に触れることは、成長ホルモンや愛情ホルモンの分泌を促します。
また、実は施術している保育者にとってもストレスホルモンが低下するという効果があります。
アカゲザルの実験で、母から引き離された、アカゲザルの赤ちゃんがなぜ群れに戻っても仲間と馴染めなかったか。
それは、母親からのスキンシップによって分泌される「オキシトシン」というホルモンの分泌が足りなかったからではないかという説があります。
オキシトシンは別名「愛情ホルモンと呼ばれ、愛情や信頼感といった感情を育むと言われています。
なぜスキンシップがホルモン分泌に関係するのでしょうか?
それは肌と脳がもとは同じ細胞から分裂してできたものだから。
「皮膚は露出した脳である」となるわけです。
肌への刺激=脳への刺激として、成長ホルモンの分泌を左右しているわけです。
成長ホルモンは身体的な成長だけでなく免疫力や抵抗力をつける役割も果たします。
かつては隔離することが当たり前だった未熟児の治療も、現在は出来るだけ母親と赤ちゃんを触れさせせる「カンガルーケア」を取り入れている病院も少なくありません。母親と肌を触れ合わせることで、赤ちゃんの呼吸が安定 し体重も増えるというデータもあります。
スキンシップとコミュニケーションの重要性については、ご理解いただけたと思います。
次回からは、スキンシップにももちろん最適な「東洋式ベビーマッサージ」をご紹介させていただきます。
滝田 加奈子 【(社)日本コミュニケーション育児協会 代表理事】
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