子どもに習い事をさせる際、多くの教室の中からお子さんにとって、ご両親にとってベストな教室を選ぶのは難しいものです。良い教室に巡り会うことができれば、お子さんの将来が大きく変わったりもします。教室選びはご両親揃って、真剣に慎重に行ってください。表向きのキャッチワードや格安料金になどにまどわされないようにご注意下さい。前回は、英語教室選びの基本プロセスについてのお話でした。第2弾の今回は、プロセスの中で注目したいチェックポイントについて取り上げます。
教室選びで最も大切なポイントだと思います。英語教室の多くは、講師が『ネイティブ』、『留学経験有り』、『TOEIC高得点』などという点を売りにしています。しかし、その他の詳しい学歴や経験をしっかりと表示しているところは少ないです。表示するほどのバックグラウンドが無い講師も多くいます。講師のバックグラウンドについて、詳しく質問しましょう。先程取り上げた、英語教室がよく使う3つの売り言葉について、深く考えてみることにします。
日本で英語を教えているネイティブ講師の多くが、言語学を学んだバックグラウンドが無いと言っても過言ではないでしょう。あなたは、日本語の知識が無い外国人の方から「日本語の句点の使い方を教えて下さい。」と言われたら、上手く説明できますか? 「自分が使えるから説明できるはず!」とはじめは思うのですが、これがなかなか出来ないものです。この例でもお分かりのように、英語が話せることと指導できることは違います。ネイティブ講師に指導してもらうことの利点は沢山ありますが、日本語がすでに身に付いている子どもたちにとっては、日本語を使っての説明が必要な場合が多くあります。文法はまだしも、英語の発音指導は母国語である日本語の音の出し方、つまり口の動かし方を知っているととっても有利です。
だからと言って、『日本人講師の方が優れている。』とも言えません。英語の環境の中で長期に渡り生活しなければ身に付かない英語独特の表現法、人との接し方、リズムやイントネーションがやはり指導の際の弱点となります。
『ネイティブ講師か?』『日本人講師か?』という点だけを確認して終わるのではなく、それぞれの持つ学歴や経験もしっかりと聞いてみるようにしましょう。
日本人講師が指導している場合、留学経験が強調されていることが良くあります。言語はその土地の文化や習慣に根付いたもの、留学経験のある講師に指導を受けることは大切です。アメリカ人のジョークや言い回し、振る舞い方など、私もアメリカ在住9年になりますが、未だに勉強中です。夏休みや1学期間、1年間などの短い留学期間では、本当に現地の文化を理解することは難しいのが本音。講師の留学期間が長期であることを確認して下さい。
TOEICの得点は高いけれど、ちっとも外国の方とコミュニケーションをとれない人を数多く見てきました。テストのために勉強してついた英語力と、実際に英語でコミュニケーションをとったり、英語で学び考えることができる力は違います。TOEIC、英検、資格を否定するわけでは決してありませんが、『数字』だけでは講師の善し悪しは見分けられません。
面談の際、レッスンがどのような流れになるのか説明してもらえるはずです。そのときに、分刻みの詳細なレッスンプランを見せられたら要注意です。レッスンに流れがあることは大事ですが、分刻みのレッスンプランがあり、常にそのプランに沿ってレッスンを行うというのは、効果的な指導法ではないと思います。子どもたちがどんなものに興味を示し、疑問を持ち、理解するのに時間がかかるかは想定できないこともあります。また、子どもの興味や疑問がレッスン予定外の内容であることも十分ありえます。そんなときに、その場の状況に合わせてレッスンができる柔軟性が欠かせません。
文法や単語の暗記を重視したインプット式の学習法だけでは、英語の習得はできません。インプットした内容を何らかの形で表現するアウトプット力が必要です。教室が子どもたちのアウトプット力の向上に努めているか確認しましょう。答えをすぐに教えたり、繰り返しの表現ばかりさせるのではなく、子どもが『伝えよう。』と葛藤している姿を見守り後押ししてくれる教室を選びましょう。
英語のレッスンは子どもたちの英語への興味を引き出すために、楽しくなければダメとお思いの方が多くいらっしゃいます。子どもたちは、歌を歌ったり、ダンスをしたり、イベント行事をしたりすると『楽しい』と喜びます。しかしそれは、英語に興味を覚えることとは違います。英語学習は『楽しい』だけではありません。多くの人が一度は英語習得を試みても、ほんの一握りの人しかゴールに達せないのはそのためです。本当の学習は、葛藤の中で生まれるものだと思います。そして楽しさは、英語を学んだ喜びから生まれて欲しいものです。講師が楽しい遊びだけではなくて、きちんと英語の指導ができているか、確認して下さい。
教室との関係づくりは英語学習を良い方向で進めていくために大事なことです。教室側も、生徒さんについて不安点があったり、成長した点があったりすれば、随時保護者さんとお話しして問題を解決したり、生徒さんの成長の喜びを共有したりすることが必要です。教室選びの際、お互いにコミュニケーションのとり易いところを選ぶべきだと思います。
5人以上といったグループレッスンになると、一人一人の長所や短所をレッスン中に生徒さんに伝えるのが難しくなります。その場合教室側は、レッスン外の時間に生徒さんや保護者さんとコミュニケーションを円滑にし、生徒さん一人一人のニーズに応える努力が必要です。今後の成長のために、個人レベルでアドバイスをもらえる教室を選ぶべきでしょう。
教室選びは、お子さんの英語習得のための最初の大きなハードルです。教室選びのプロセスとチェックポイント、参考になれば嬉しいです。
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バーコム 麻衣子 【週1回の北米オンライン留学『MAIS LEARNING』主宰】
記事テーマ
学校の英語の成績は『5』、だけど実際には英語が使えない。--どうして? 英語が話せて当然の時代を直前に、子どもの英語教育への興味は増す一方、不安や疑問も多いですよね。英語教育への理解を深め、将来本当に使える英語習得のためのポイントを、一人のママとして、英語講師として、お伝えします。お家で楽しく英語を学ぶアイディアも盛り沢山。