イディオムを知らなくても、英語でコミュニケーションをとることは可能です。イディオムで伝えようとしている内容をきちんと他の言葉で説明したら良いのですから。ですがやはり、イディオムでなければ醸し出すことの出来ない空気があるのは事実。知っていて使えると、コミュニュケーションが何倍もスムーズに進むはずです。
国語の時間に学んだ慣用句、なんか硬い、かしこまったイメージがありませんか? 英語のイディオムは、日本の慣用句よりももっとカジュアルだと思います。イディオムを使うと、話をしている相手の気持ちがほぐれます。私は長崎の田舎町出身で、毎年家族で帰省しています。日本滞在中アメリカ人の主人が、『何ばしよっと?』と長崎弁で近所のお年寄りに声をかけると、みんな嬉しそうにニコッと笑って返事をしてくれます。アメリカ人が長崎弁を話しているという面白さもあるのでしょうが、自分とは全く異なった外見で尚かつ英語を母国語とするその彼が、『自分たちの言葉』で話しかけてくれたということで心が緩むのだと思います。『あなたは何をしていますか?』という教科書で学んだ日本語を使うよりもずっと効果的。英語のイディオムにも、同じような効果があると言えば解り易いでしょうか?
アメリカでよく使われるイディオムには、以下のようなものがあります。知っているものがありますか?
* A piece of cake(簡単だよ。)
* Against the clock(時間との戦いだ。/あまり時間がない。)
* Drink like a fish(アルコール飲料をゴクゴク飲むこと。**お水やジュースのときは使いません。)
* Get over it(メソメソしてないで、次に進もう。)
* On the same page(複数の人が同じことを理解し同意した上で何かが進行していること。)
* Smarty pants(いたずらで賢い。/ずる賢い。)
私の娘はなぜか私の汚いスリッパが大好き。なので、いつも娘が気づかなさそうなところに隠すのですが、結局見つかってしまいます。棚の裏やベッドの下などに隠したはずのスリッパ、上手に手を入れてあっと言う間に取られてしまうのです。そんなとき、“What a smarty pants!” 『何ていたずらで賢い子かしら!』というふうに使います。
* Hit the spot (美味しい。)
子どもが大好きなおやつを久しぶり作って食べさせたとき、“Did it hit the spot?” 『これが食べたかったんでしょう!美味しい?』
* Catnapping (短いお昼寝。)
* High Five(やったー。/良く出来たね。)
子どもが何かを上手に出来た時に、“High Five!”と言いながらお互いの手のひらを頭よりも高い位置でパンと軽く叩き合わせて喜びます。
* Keep an eye on 〜(〜から目を離さない。)
ママがお料理をしいて手が離せない時に, “Daddy, can you keep an eye on the baby?” 『パパ〜、赤ちゃんをしっかり見ててくれない?』と頼みます。
ここに例としてあげたよく使われるイディオム、意味を全く知らずに日本語に直訳してしまうと、大変なコミュニケーションミスを招いてしまうことが解ると思います。どんなイディオムが頻繁に使われているのか、どんな状況でそれぞれの表現が使われるのか、しっかり理解しましょう。私も昔、模試や受験のために、英語の熟語や慣用句を丸暗記したのを覚えています。しかし、“not only A but also B”とだけ覚えて、「テストの穴埋め問題がきちんと解ければいいや。」という程度。今になって反省しています。英語のイディオムは奥が深い。
イディオムも、前回お話しした相槌、感嘆詞、感動詞の表現と同様、その場に合ったものをリズムよく自然に使えることが大切です。学校では学ばないストリート英語のイディオム表現も多くあります。子どもたちと英語のDVDを見たり絵本を読んだりする機会をつくり、本場のイディオムに耳を澄ませて見て下さい。そして、子どもたちとの英語の会話の中にも、イディオム表現をこっそり忍び込ませてみて下さいね。子どもたちに生きたイディオムに触れてもらいましょう。
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バーコム 麻衣子 【週1回の北米オンライン留学『MAIS LEARNING』主宰】
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学校の英語の成績は『5』、だけど実際には英語が使えない。--どうして? 英語が話せて当然の時代を直前に、子どもの英語教育への興味は増す一方、不安や疑問も多いですよね。英語教育への理解を深め、将来本当に使える英語習得のためのポイントを、一人のママとして、英語講師として、お伝えします。お家で楽しく英語を学ぶアイディアも盛り沢山。