飼い主だけができるとても重要な役割の一つに、ペットの健康チェックがあります。どんなことに気をつけたらよいでしょうか?
家の中で犬猫と一緒に暮らしていると、体重の増減に対して鈍感になりがちです。6ヵ月齢までは2週間に一度、その後も月に一度は体重を測定する習慣をつけましょう。抱っこして体重計に一緒に乗り、後で抱っこしていた人間の体重を差し引くと簡単に測ることができます。毎月の体重の変動を±5%以内に抑えるようにします。やせてきた場合は栄養不足の他に病気が潜んでいることが考えられます。太ってきた場合は食べすぎがほとんどです。どちらにしても体重の増減が顕著な時には、動物病院で診てもらうとよいでしょう。
身体をよく触り、しこり、怪我、痛みのある場所はないかを確認しましょう。
脱毛にもいろいろな原因があります。獣医師の診断・治療が必要です。
ペットの臭いの元は、耳か口、または皮膚病が多いようです。
耳から臭いがすると外耳炎が疑われます。
口臭が強かったり、涎が多く出る場合は、歯周病のことが多く、放っておくと、心臓病や腎臓病の原因にもなります。
全身から悪臭が漂えば、皮膚病が考えられます。
人間だけでなく、ペットにおいても、便や尿は体調を知るよいバロメーターです。
平常時の便や尿の時間、回数や量を知っておくことは大切です。
子どもがいる家庭では、子どものおやつなど、いつもと違うものや消化の悪いものを食べることによる下痢や軟便が起こりがちです。
小さなおもちゃを飲み込んでしまって腸閉塞を起こして緊急手術になったり、
アジア製のクレヨンを食べて顔が腫れた犬もいます。
尿石症の犬猫は、決められたフード以外のものを食べると結石ができてしまいます。子どもの食べこぼしが原因になることもあります。食餌やサプリメントで溶かすことができる結石はいいのですが、溶けない結石が膀胱内にできた場合は、開腹手術で取り出さなければなりません。
散歩の時の歩き方や食欲、元気かどうかなど、日頃の行動もよく観察しましょう。
どんな病気も早期発見が大事です。
犬や猫は人に換算すると、だいたい2年間で20歳になり、その後は1年毎に4歳年をとります。平均して人の4.5倍の速さであっという間に年をとります。最低でも年に1度は動物病院で健康診断を受けましょう。
小田 寿美子 【獣医師】
記事テーマ
犬猫をはじめ、うさぎやハムスター、小鳥など、家族の一員として、また子どもの情操教育のために、ペットは日本の家庭にも欠かせない存在になってきています。ペットのいる暮らしに関するさまざまな疑問、メリットやデメリットについて、専門的な立場から連載していきます。ペットの問題行動カウンセラーとしても活躍する、筆者ならではの多彩な視点から述べます。