私たちの体は私たちの食べた物でできています。
日本の中で季節ごとに行われる伝統的な儀式や行事のことを年中行事といい
その時の行事やお祝いごとにいただくお食事を行事食といいます。
「日本の年中行事と行事食 その1」 の続きになります。
※6月までの行事食の説明は
「日本の年中行事と行事食 その1」にあります。
★七夕の節句 7月7日
年に一度、牽牛(彦星)と織女(織姫)が出会うという伝説の七夕。
七夕の夜にはそうめんを食べる風習がありますが、
これは織姫が糸を織るということから、素麺と関連づけられたようです。
また、そうめんではなく、瓜、スイカ、果物をお供えするという地域もあるそうです。
★土用の丑(どようのうし) 7月20日ごろ
土用は年に4回あります。立春、立夏、立秋、立冬の数日前を土用といいますが、
今では一般的に夏の土用のことだけを指すようになりました。
鰻は夏痩せの薬と言われ、土用の丑の日には夏バテをしないように鰻の蒲焼きやあんころ餅を食べます。
また、「う」のつく食べ物を食べると夏バテせずに運がつくといわれています。梅干、うり、うどんなど。
さらに、肝臓によいしじみのみそ汁を、うなぎと一緒に食べる土用蜆もあるとのことです。
あんころ餅ですが、「土用の入りに餡餅を食べると胃腸に良い」といわれ今でも食べられている地域もあるそうです。
★八朔 8月1日
朔日とは、一日のことです。8月朔日(1日)を略して八朔といいます。
無事に収穫ができることを祈り、8月1日は、別名「田の実(たのみ)の節句」ともいわれ、
田んぼの神様に新穀の五穀豊穣を祈る行事が行われました。
※五穀とは,米、麦、稗(ひえ)、粟(あわ)、黍(きび)。人が常食とする5種類の穀物。
かつては、八朔の祝いは収穫期前の最後の祭りでおかゆが食されたとのこと。
尾花粥(すすきの穂を黒焼きにして、お粥に混ぜたもの)や
黒ごま粥を食べるといわれていました。
★重陽の節句 9月9日
9という数字は奇数(陽数)の極みで、おめでたい日とされていました。
別名「菊の節句」ともいわれ、長寿を願って菊花を浮かべた菊酒をいただきました。菊は花弁が沢山あることから子孫繁栄に繋がるものとしておめでたい花として重宝されていたとのことです。
また、「栗の節句」ともいわれ栗ご飯や、栗餅でお祝いする風習もありそうです。
★亥の子 10月8日
田んぼの神様に収穫を感謝して、亥の子餅を贈り合う日
亥はいのしし。いのししは、多産といわれています。
多産(子孫繁栄)と健康にあやかりたいという願いから亥の子餅を贈り合う風習に結びついたようです。
亥の子餅は当初、白、赤、黄、粟、ゴマの5色のお餅だったそうですが、
近年は、大豆、小豆、ササゲ、ゴマ、栗、柿、飴の7種類を混ぜ込んだものになっているそうです。
★七五三 11月15日
子どもの健やかな成長に感謝する行事
男の子は3歳と7歳。女の子は3歳と7歳に行うといわれています。
七五三では千歳飴を食べてお祝いするのが慣わしとなっています。
★冬至 12月21日ごろ
一年で最も夜が長く昼が短い日。
邪気を祓う節目と考えられており、冬至はゆず湯に入って、かぼちゃを食べると風邪をひかないといわれています。
また、この日は「ん」のつく食べ物を食べるともいわれています。かぼちゃ(別名ナンキン)、人参、大根、レンコン、銀杏、きんかん、などを
運盛りといって縁起を担いで食べたということです。
★大晦日 12月31日
年越しそばをたべて過ごす一年の最後の日とされています。
そばのように長く幸せにと、また、そばが毒を取ることから無病息災の意味があります。薬味のネギは、心を和らげる「労う、労ぐ」に通じ
「禰宜・ねぎ」といわれたとのこと。けがれを祓い清めてくれるといわれます。是非一緒に食べましょう。
また、地方によっては、大晦日の夜の食事に、ぶりや鮭など、年取り魚といわれる
魚を食べる風習もあるそうです。
日本の行事食を調べていくと、思った以上に沢山あり内容もとっても奥深いのです。
また、住む地方・地域によっても かなり異なった「食」があります。
ご紹介させていただいたものは ほんの一部ではありますが、
昔から伝わる貴重な日本の食文化を少しでも知り
これからに大切に受け継いでいきたいと願います。
参考文献 長崎出版 / 「食で知ろう 季節の行事」 / 高橋 司
青春出版社 / 「日本の「行事」と「食」のしきたり / 新谷尚紀
朝岡 ひろみ 【栄養士、食育指導士】
記事テーマ
栄養士、食育指導士の立場から、これから成長していくお子さんに「食に関する知識」と、「食を選択する力」をつけるためのアドバイスをさせていいただきます。ママが「食」についての知識をもっていただき、お子さんと一緒になって健康な体作りを目指すことでお子さんも元気で、ママはますます健康で綺麗な毎日を送ることにつながります。