飛行機の中で飲む飲み物が、おいしいと感じた経験はありませんか?
機内が乾燥しているせいもあるでしょう。それ以外にも美味しいと感じる訳があるのを知っていますか。CAは飲み物を出す際、付加価値というサービス
を付け加えます。これこそが、普段飲む飲み物よりもおいしいと感じるポイントなんです。このコツを知っているだけで、美味しいお茶を出すことができるママになれますよ。
先日の朝日新聞の記事で、高校生がお茶をいれる際、急須を直接火にかけようとした話が載っていました。また、お茶を家でいれたことがないと答える子どももいるそうです。
お店でペットボトルのお茶を手軽に美味しく頂ける昨今。お茶を家でいれて頂くことが少なくなってきたのかもしれません。茶葉の種類、お茶の入れ方・・・いろいろとありますが、誰かのためにいれたお茶は、便利なペットボトルのお茶とは違う、優しい味がします。
先日中国茶をいただきました。家で少し時間をかけていただいたお茶は、透明の急須の中でお花が咲いたように茶葉が開くもので、お茶ができるまでの時間を楽しむことができるものでした。お茶の茶葉が開くまで、待つ時間を楽しむこともまた一つのお茶を自分で入れる良さともいえるでしょう。待つ時間もまた、大切で楽しい時間です。
相手を思ってお茶をいれて、美味しいお茶ができるようにと茶葉が開く時間を待つ。この気持ちこそが一番大切な付加価値となります。愛情込めてお茶をいれる・・・便利なペットボトルのお茶もいいですが、時には、愛情という付加価値をつけてお茶をいれてみませんか。濃すぎても、薄すぎてもいいんです。その人間らしい、あなたらしい完璧ではない味こそが優しい味になるのだと思います。
飲み物をお出しする際に気をつけることは、「必ず手を添えて、視線を添えて」 お出しすることです。これが上手くできると、グッとエレガントで美しい所作になります。
CAの仕事をしていると、飲み物のサービスを訓練する際に徹底して「視線、指先の見せ方」を学びます。ただ無造作にサービスされた飲み物と、手先まで気をつけてお出しした飲み物の印象が変わるから不思議です。機内では、座席奥お客様へ飲み物をサービスする際は、手前のお客様の前で手を添えます。「前を失礼いたします。」という意味をこめて添えます。少し遠い席の方へ飲み物を出す際には、片手ではなく、ぜひ手を添える癖をつけると素敵です。
指先を茶碗にそろえてお出しします。茶碗を置いたあと、手を引く際にも美しく見せるポイントがあります。余韻をもたせて、手をそろえたままゆっくりと引きます。ゆっくりと引く動作をすると、雑な感じがなくグッとエレガントな印象を与えることができます。
視線は、指先と同じ方向に向けると素敵です。接客業においては、視線の細かな送り方で印象をかえていくのですが、このお話はまた別の機会に。おうちで飲み物を出す時には、指先と同じ方向に視線を送るだけで十分だとおもいます。
御招きいただいた席では、お茶は勧められてからいただきましょう。これは、日本茶に限らず共通するマナーです。温かいお茶が冷めてしまいそうであれば、一言「頂きます。」と声をかけてから口にすると素敵です。
お菓子は、お茶よりも先に出します。おもてなしをする側の場合は、お菓子が先であることを覚えておくと素敵です。和菓子は、左側から切っていただきます。おまんじゅうや、どらやきなどのお菓子は、そのまま口にせず手で割ってからいただくのが素敵なマナーです。
<ティーカップとソーサーを使う時のいただき方>
お砂糖を入れるときは、角砂糖なら必ずスプーンにのせます。スプーンごと静かに紅茶の中に沈めてかき混ぜ、溶かします。
スプーンをカップにそわせて、しずくをとります。かき混ぜ終わったスプーンは、カップの向こう側においていただきます。
ミルクをいれて、かき混ぜるときも同様に、スプーンを使ってかき混ぜ終わったらスプーンは、カップの向こう側におきます。
ママだって、女子ですもの。おしゃべりいっぱいのお茶会は大好き。ぜひ、皆さまならではの付加価値をつけて、もう少しの寒い季節を温かいおいしいお茶会でのりきりましょ。
高価なお菓子や茶葉を用意することが大切なのではなく、相手のことを思い、お茶をいれる。
相手のことを思い、お茶をだす。
相手のことを思い、お茶をいただく。
そんな気遣いができる女性が、素敵なお茶会マスターだと思います。
滝澤 雅子 【マナー講師】
記事テーマ
日本の女性は、特にママのマナーは、世界に誇れるほど気遣いが出来ています。素敵に生活するコツを「知恵袋」としてお伝えしていきます。少しのコツを一緒に学び、日々の生活を美しく変えてみませんか。