命をかけた出産を終え、子育てもようやく軌道に乗った・・・と思ったら、夫が急に転勤! そんなことって、実は意外とあるんですよね。現在私が暮らすサンフランシスコ郊外には、私と同じように小さな子どもとともに、ご主人の海外転勤に帯同していらした方がたくさんいらっしゃいます。海外ではなく日本国内の転勤ということでいえば、もっと多くの方がいらっしゃるのではないでしょうか。
実は先日、私の妹も、夫の転勤が急に決まり、辞令の二週間後に引越しとなりました。ラブストーリーが突然にやってくる分にはいいのですが(笑)、パートナーの仕事の関係などで急に知らない土地への引越しが決まった場合、自分が新生活に慣れるだけでも大変なのに、子育てが加わると不安も倍増です。
今回は、急に知らない場所で子育てをすることになった場合に、子どもはもちろんパパやママもハッピーに過ごすための秘訣をまとめます。
混乱は、引越しが決まった時から始まります。様々な手続きを進めなければならないのに加え、引越しの準備。結局、どたばたのうちに引越し当日を迎える・・・というパターンがほとんどかもしれませんね。
幸い、この時代、よほど不便な場所に住まない限りは大抵のものは手に入ります。
ただ。
“新天地で、最初からあった方がよいもの”があるのも確かです。こと、まだ子育てを始めたばかりのママにとっては、お守りのように心の支えになってくれるものもあります。
頼れる人もなく土地勘もない場所での新生活は、引越し疲れなども残る“最初の1~2週間”が、身体的にも精神的にも辛いと、自分自身の経験を通じて感じました。疲れていて少しでも休みたいのに、キッチンの道具が少なく要領よく料理ができなかったり、海外だったため子どもの離乳食を作るのに今までと同じような材料がそろわなかったりで、いつもと同じことをするのに、とても時間がかかってしまったりしたからです。思うようにできないことは、精神的にも大きなストレスになります。それに、欲しいものがあってもどこで手に入るのか聞ける人もまだいなかったため、入手するまでにかなり時間がかかったりしました。
スムーズに子育てを続けるためには、この“はじめのストレス”をいかに軽減できるかがカギになると思います。
できるだけゼロに近づけたい“はじめのストレス”。
そのためには「今までと同じように生活できる環境を、できるかぎり整えておく」ことを意識すると良いと思います。といっても、なんでもかんでもというわけではありません。私が大事と感じたのは『子どものお世話グッズ』と『キッチングッズ』それに『基本の衣類と寝具』が“いつも通り”であることです。
『子どものお世話グッズ』は、特に小さい子どものいるママにとっては、一日の中でもっとも手にする時間が長いものとも言えるかもしれません。引っ越そうが何しようが、関係なく続く子どものお世話。環境の変化で子どもが体調を崩す場合もあります。体温計や簡単な薬などは、いつでも使えるように使い慣れたものをセットして常に近くに置いておきましょう。おむつやベビーフードなどの消耗品は、特に海外の場合は使い慣れたものを入手するのはたいてい困難になるので、心配な方は持てるだけ持参するのもおススメです。あまり荷物を増やせない場合は、1~2週間分準備しておけば、その間にゆっくりと引越し先での購入先を探せると思います。また、引越しをするとかかりつけ医も当然変わります。これは引っ越す前から、インターネットなどであらかじめ何件か近くの小児科を探しておき、いざという時すぐに連絡できるよう携帯電話などに登録しておけば安心です。
『キッチングッズ』も、使う頻度の高いものほど、できれば使い慣れたものを持参したいところです。実は私は、これが“いつも通り”でなかったために、結構ストレスがたまってしまいました。アメリカで使うものはアメリカで買えばいいやと、簡単に考えていたのですが、着いてすぐは疲れであまり外出する気にならず、それでも三度の食事の時間はやってくる・・・でも道具が足らず思うように料理ができない。その悪循環で、食事の支度をするのが辛い時期がありました。引越しの荷造りをする際は、基本的なキッチン用品はすぐに使えるようまとめておく、また海外への引越しの場合も、キッチン用品はなるべく慣れたものを持参して、毎日使うようなものは早めに届く便に入れるようにすると、初期のストレスがかなり軽減されると思います。私は、道具が揃ってからは、料理やお菓子作りをすることでむしろストレスが発散できるようになりました。
あとは『基本の衣類と寝具』です。離れたところに引っ越すと、当然、気候も変わります。事前にその土地の気温や天気の特徴などを調べていたとしても、不順な天候になったりして、予想外に暑かったり寒かったりすることがあります。寒い場合、疲れも加わって風邪をひくきっかけになる心配もあるので、フリースや毛布などの防寒具はすぐに使えるように備えておくと安心です。海外の引越しの場合、衣類は航空便と船便に分けて運ぶ場合が多いと思いますが、第一便で運ぶ衣類は、不慣れな土地での寒暖の変化に対応できるよう、少し幅を持たせて準備しておくと良さそうです。
初めて出会うものに周りを囲まれる生活。
以上の『子どものお世話グッズ』『キッチングッズ』『基本の衣類と寝具』だけでも慣れたものを揃えておけば、ホッとできる場所が確保できて、きっと新たな生活を楽しむ余裕が生まれてくることと思います。
うまく新生活のスタートができたら、あとはせっかくの新しい出会い(人・食・文化)を楽しみましょう。
スーパーに出かけると、その土地で採れた旬の野菜や果物などが並びます。今まで住んでいた所では見たことがないような魚が売っていたりするかもしれません。スーパーを何軒か訪ねて、同じ野菜や果物が店頭にたくさん並んでいたら、それが旬の商品です。もしも調理法がわからなければ、思いきってお店の人に聞いてみると、簡単な調理方法を教えてくれたりします。
それぞれの土地に、それぞれのおいしいものがあるはずですから、子どもたちにも是非旬の味をたくさん体験させてあげたいですね。
海外では、言葉の壁にぶつかることもあるかと思います。野菜や果物の場合は見た目である程度判断できますが、お肉の部位や、魚の種類などは私もわかるようになるまでにしばらくかかりました。でも、まずは知っているものを買うことから始めて、しだいに食べたことのないものも一つずつ購入して、家で名前を辞書で引いたりして調べて、レシピを検索して食べてみて・・・と繰り返すうちに、何となく自分のものになっていきます。この時、使い慣れたキッチン用品を使うことができれば、初めて扱う素材でも、きっとリラックスして楽しくお料理できるはずです。
図書館などに行くと、その土地の料理本が置いてあったりするので、時間のあるときにチャレンジしてみるのも楽しいかもしれません。その土地の食べ物が楽しめるようになると、不思議なもので、心の中まで新しい土地になじんでいく気がします。
“いつも通り”にしておいたほうがよいことと、“その土地に合わせる”とよいこと。
以上、自分自身の経験をもとに、まとめてみました。
転勤や海外赴任などで情報が必要な方に、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
関嶋 梢 【フリーキャスター】
記事テーマ
それは、パパが待つサンフランシスコへ、一歳児を連れて二人だけの飛行機の旅から始まりました。初めての子育て、初めての飛行機、初めての海外生活…初めてづくしの生活はまさに波乱万丈!子供と過ごす海外生活や海外での“育児”と“育自”についてリポートします!