アフタヌーンティーは、1840年代に第7代ベッドフォード公爵夫人のアンナマリアという人物が、夕食までの間、空腹に耐え切れず紅茶と一緒に間食をしたのが始まりと言われています。その午後のティータイムの習慣はすぐに他の貴族たちに広まりました。
私たちにとって、アフタヌーンティーは、ホテルやレストランなどでおいしい紅茶とティーフーズに舌鼓を打つことではないでしょうか。しかし当時のイギリスでは、自宅に大切なゲストを招く、社交の場としての要素が濃かったのです。
つまり、夫のビジネスチャンスや出世の掛かった重要な接待だったので、奥様はのんびり紅茶を飲んでいる場合ではありませんでした。
アフタヌーンティーには、パンを使った軽食のサンドウィッチなどが用意されます。スモークサーモンやローストビーフがサンドされたフィンガーサイズのサンドウィッチなどが並んでいるととても贅沢です。
しかし、当時の主役はキューカンバサンドウィッチでした。きゅうりは庶民的な野菜のように思いますが、当時のイギリスでは栽培が難しく、貴重な食材だったので、温室で育てたきゅうりは家庭の豊かさを表す自慢の逸品でした。
優雅なイメージが先行してしまうと、誕生の秘密、3段トレイの目的、キューカンバサンドウィッチなどのエピソードが意外に感じられるのではないでしょうか。ティータイムのちょっとした話題になれば幸いです。
小澤 舞子 【ティーインストラクター】
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サロン・ド・テで優雅にティータイム・・・なんて、子育て中のママには夢の話。でも、自分で美味しい紅茶をいれることができれば、ほんのわずかな時間でもリラックスできるはずです。お客様やお友達に自信をもってお出しできる美味しいいれ方、産地別おすすめの飲み方、子どもも喜ぶアレンジティーなど、紅茶が飲みたくなるような情報をお届けします。