紅茶好きの方に「オレンジペコという紅茶をを飲んだのですが、名前にオレンジが付いているのに、オレンジの味がしなかった・・・」と、言われることがあります。
実は、「オレンジペコ」というのは、茶葉のサイズを表す紅茶用語です。産毛の生えた新芽を意味する中国語がなまってペコと呼ばれるようになり、そのペコが明るく輝く様子をオレンジ色で表したのです。これが美味しい紅茶をイメージするので、名前として使うメーカーがあるようです。
紅茶の茶葉のサイズですが、異なった産地の茶葉を見比べると、色や形状以外にも、葉の大きさが違うのがわかります。葉がよられて細い針のような形状をしている茶葉や、粉のように細かい粒状をしているものなど、さまざまです。
今回は茶葉のサイズについてお話ししたいと思います。
紅茶ができるには、緑色のお茶の葉を摘んでから、茶色い茶葉になるまでには、いくつかの工程があります。最終段階に、「等級区分(グレーディング)」という工程があります。ここでは、茶葉の大きさが不揃いですと、計量や抽出時間を決める際にとても不都合なので、茶葉を篩(ふるい)のようなものでサイズごとに振り分けるのです。
一番大きなサイズの茶葉を「OP(オレンジペコ)」と言い、1cm前後位の長さがあります。OPより細かいサイズのの茶葉は「BOP(ブロークンオレンジペコ)」と呼ばれます。さらに細かい茶葉に、「F(ファニング)」などもありますが、これはリーフティー用として目に触れることはなく、ティーバッグ用として工場でパッキングされます。
かつてのイギリスでは大きい葉が珍重されていた時代もありましたが、これは中国茶は見た目も重視という考え方の影響をを受けているためです。しかし、現在は紅茶の品種は改良され、現代人の嗜好やライフスタイルに合うようになってきていますし、同じ原料の葉から作られる紅茶なのですから、茶葉のサイズが異なっても品質は変わらないと言う考え方が一般的です。
【左】OP(オレンジペコ)サイズ 【右】BOP(ブロークンオレンジペコ)サイズ
サイズの違う茶葉をおいしくいれるためのポイントですが、サイズに関わらず正確な計量が大切です。場合によっては、蒸らし時間で調整します。
前者の計量についてですが、ティーカップ1杯分の茶葉の分量はティースプーン1杯と言われていますが、大きい葉はかさばるので、やや多め(3g)に、細かい葉はやや少なめ(2.5g)を心掛けると良いでしょう。ティーバッグの抽出時間は、1分未満と記載されているのも多いですが、リーフティーより蒸らし時間が短縮できるのは茶葉のサイズが細かいからなのです。ですから、大きな葉ほど抽出するのに時間が掛かるので、時間をかけてしっかりと蒸らすことが大切です。茶葉が大きい程、デリケートな味わいの紅茶になります。ですから、細かい茶葉の方が、味や色がしっかり濃く出るので、濃いめの紅茶が好きな方やミルクティーに向いているのです。
小さな疑問がティータイムのお話のネタになると良いですね。
小澤 舞子 【ティーインストラクター】
記事テーマ
サロン・ド・テで優雅にティータイム・・・なんて、子育て中のママには夢の話。でも、自分で美味しい紅茶をいれることができれば、ほんのわずかな時間でもリラックスできるはずです。お客様やお友達に自信をもってお出しできる美味しいいれ方、産地別おすすめの飲み方、子どもも喜ぶアレンジティーなど、紅茶が飲みたくなるような情報をお届けします。