住まい選びで悩むことのひとつ、新築か中古のどちらを選ぶか。最初から「新しいほうがいいから絶対新築!」と決めている方もいるでしょうね。
国土交通省が今年3月に発表した「平成23年度住宅市場動向調査」によると、注文住宅を建てたり分譲住宅を選んだ方は、中古を選ばなかった理由として、「新築のほうが気持ち良いから」を1位に挙げています。
● 中古住宅にしなかった理由 (上位抜粋・複数回答)
分譲住宅購入者
1. 新築のほうが気持ち良いから 70.7%
2. リフォーム費用などが割高になる 37.6%
3. 隠れた不具合が心配だったから 30.0%
4. 耐震性や断熱性など品質が低そうだから 22.2%
一方、中古住宅を選んだ方はその理由として「予算的にみて中古住宅が手頃だった」との回答が8割超でした。
● 中古住宅にした理由 (上位抜粋・複数回答)
1. 予算的にみて中古住宅が手頃だった 81.4%
2. 新築住宅にこだわらなかった 34.7%
3. リフォームで快適に住める 26.9%
4. 間取りや設備、広さが気に入った 26.7%
やはり中古住宅は新築に比べると買いやすい価格が魅力のよう。リフォームを加えると快適になり、それでも新築よりかなりおトクに取得できるのがメリットといえますね。
次に、特徴を比較してみます。
新築マンションは十数年前と比べると、平均的に専有面積が広めになり、リビングや居室、収納も使い勝手を考慮した間取りが目立ちます。免震構造の物件も増えてきたり、ミストサウナ付きのバスルーム、ディスポーザー、食器洗浄乾燥機なども標準化されています。またセキュリティ面も充実し、専有部分は非接触キーや録画機能付きインターホンなども一般的に。
共用部分には防犯カメラや24時間監視のほかに有人管理を採用するところもあり、安心感が高まっています。最近は、電気自動車の充電設備やカーシェアリングを導入したり、自家発電や防災倉庫などで非常時に備える物件も出てきました。
中古マンションの場合は築年数によって異なりますが、耐震性については基準が大きく改正された1981年6月以降に建築確認申請が下りたものなら、倒壊する可能性は低いといえます。築10年前後の物件から、床暖房がついていたり、二重床・二重天井が増えメンテナンスがしやすくなっているのも特徴。設備については築浅のものであれば、ほぼ新築と変わらない物件もありますね。築12〜13年を超える物件については、売主が水まわりを中心にリフォームしていることがあり、自分たちで行わなくてすむことも。
一戸建ての場合、新築はマンション同様に最新の仕様や設備が導入されているのが魅力。中古は築年数や売主の住み方によって、購入後のメンテナンスの内容が異なります。築15年以上でも丁寧に住んでいるお宅は傷みが少ないなど、築年数だけで判断できないことがほとんどなので、物件を見学して自分の目でチェックしたほうがいいですね。
新築は間取りや設備、セキュリティ面で住み心地がいいですが、完成する前にパンフレットやモデルルームを見学して購入を決めることが多いもの。一方、中古は自分の目で物件を確かめてから購入でき、リフォームでオリジナルの空間を造り上げる楽しみがあります。また、地縁があったり、子どもを転校させたくないなどの理由でエリアにこだわる方にとっては、中古のほうが物件を見つけやすいといえるでしょう。
そして、住み心地について。中古の場合は、自治会など地域のコミュニティや周辺環境を、前の住人や近所の方に確認することができます。新築は、マンションやまとまった区画の一戸建てなら、比較的似たような世代が同時期に入居し、子どもも年齢が近く友だちがつくりやすいというのがメリットです。
これまで紹介してきたように、新築と中古にはそれぞれにメリットがあります。それぞれの特徴が分かったところで、もう一度どういう立地が希望か、何年ぐらい住むかなど、自分たちの希望や計画を確認してみましょう。
国土交通省「平成23年度住宅市場動向調査」
こちらから★★
武田 由紀江 【住宅ライター】
記事テーマ
子どもの誕生や就学を機に、マイホーム取得を考える方が多いようです。「自分たちにはどんな住まいがいいのか」「子どもと仲良く暮らせる間取りは」など、事前に考えることはいっぱい。初めてのマイホームを賢く、楽しく取得するために、知っておきたい基礎知識や住まい選びのポイントなどについて連載していきます。