家を建てるなら「リビングイン階段がいい」と聞いたことはありませんか? リビングイン階段とは、その名の通りリビング内に階段が設けられた間取りのこと。子ども部屋を2階に設けた場合、リビングを通ってから上階へ行くことになるので、親子のコミュニケーションがしやすくなると言われています。子育て世代としては要チェックですね。私も一戸建ての間取図では、ついつい見てしまうのが階段の位置です。
小さいうちは親の近くにいる子どもたちも、小学生になってからは年ごとに自分の時間を持ちたいと思うことが増えるようです。もし玄関からすぐに階段へ行ける間取りの場合、親と顔を合わせず、さっと2階へ上がることも可能に。リビングでくつろいでいて、知らない間に子どもが帰ってきた、または出かけていた、なんてことも考えられます。
リビングイン階段にした場合では、帰宅した子どもは、リビングや隣接するキッチンにいる親と顔を合わせ、会話をしてから自分の部屋へ。親は学校から帰った子どもの様子や顔色、声のトーンなどから、いろんなことを察知できるといいます。
スペースなど制約はあると思いますが、階段の位置は親子の生活動線に基づいて考えてほしいですね。
リビング内階段は、親子の交流にはいいのですが、来客が多い家では考えていただきたいことがあります。
将来のこんなシーンを想像してみてください。
階段はリビングの横。ある休日の午前中に来客があり夫婦はリビングでおもてなし。会話もはずんでいたのですが、来客を知らない、中学生の娘がパジャマ姿で目をこすって下りてきた…。娘もお客さんもビックリ!
上の例だと、リビングではなくダイニング側に階段をもってくるとか、リビングでも来客から丸見えにならないように設計されていたなら、お互い気まずい思いをしなくてもよかったかも。加えてスペースに余裕があるのなら、階段から下りてリビングへ行くルートと、廊下や洗面室などとつながっているルートの2つあると、来客時に焦らないですみそうです。来客の多い家なら、家族の動線に加えて来客の動線も考える必要がありますね。
親子のふれあいが生まれるリビングイン階段ですが、デメリットもあります。
エアコンの冷風や暖かい風が階段をつたって上階へ流れるため冷暖房効率が下がること。また、料理などのにおい、大声で話したり笑ったりしている声が上階へ、といったことも起こります。建てたあとで悩まないように、初期の段階で、こういったことも考えておいたほうが安心です。専門家に相談すれば、いろんな対策がありますので。
リビングイン階段といっても、設計によってさまざまな間取りが生まれます。広告などで一戸建ての間取図を見る機会があれば、ぜひ階段の位置はどうなっているか、そこに住んだ場合、親子の交流はどうなるか、楽しみながらチェックしてみてください。
武田 由紀江 【住宅ライター】
記事テーマ
子どもの誕生や就学を機に、マイホーム取得を考える方が多いようです。「自分たちにはどんな住まいがいいのか」「子どもと仲良く暮らせる間取りは」など、事前に考えることはいっぱい。初めてのマイホームを賢く、楽しく取得するために、知っておきたい基礎知識や住まい選びのポイントなどについて連載していきます。