前回に続き「1日でおむつがはずせる」について、今回は当日のトレーニングの手順についてご紹介します。各段階ですることを、だいたい順を追って説明していきますが、実際にトレーニングをしていく上で、どの手順を用いて進めるかは、お子さんの反応を見て決めてください。
実際に子どもが便器を使っておしっこができるようになるためには、便器の使い方など、具体的な技術が必要になるわけですが、人形を真似ることでこれらの技術を学ぶことができます。
また、おしっこが便器でできれば褒められることや、便器には静かに座っていることなど、自分自身はまだ一度も便器でおしっこをしたことがなくてもわかるようになります。
①人形を便器に連れて行く。
人形にパンツ(トレーニングパンツ)を履かせておきます。子ども自身に人形を便器(おまる)に連れて行かせるよう促します。
②人形を便器に座らせる。
人形をおまるに座らせたら、人形におしっこをさせます。人形がおしっこをし始めたら人形を褒め、拍手をしたり、人形の頭を撫でてください。
ごほうびに、お人形にお菓子をあげるよう提案します。でもお人形は食べられないから、ということで、「○○ちゃんも、大きいお兄ちゃんみたいになる?おまるにチッチしてごほうびもらおうか?」と聞きます。
子どもが頷いたら、人形の分のお菓子をあげてください。
③便器の中身を捨てる。
次に、人形のパンツをあげるのを手伝う作業をさせ、便器の中身をトイレに捨てさせます。
人形のパンツを触らせてみて、乾いているのを確認させて人形を褒め、お菓子をあげるように言います。そして自分のパンツも乾いているか聞き、乾いていれば褒めて、お人形のお菓子はごほうびとして食べさせます。
2~3分後、再び人形のパンツの確認→乾いている→褒める→ごほうびという手順を3~4回繰り返します。
④人形がパンツにおしっこをしてしまう。
3~4回の確認が終了したら、お子さんを一瞬他のことにひきつけて、手早く人形のパンツに水を数滴こぼしておきます。
人形のパンツを確認させて、濡れていたら、人形に「ダメだよ」と言葉や身振りで伝えるように指示します。
そこで練習すれば人形もおまるでおしっこができるようになると話して聞かせ、人形に「練習」をさせるよう、お子さんに提案します。
『人形を便器に連れて行く→パンツを下ろしてやる→2~3秒便器に座らせる→パンツをあげてやる→先ほどおもらしをしたところへ連れて帰る』という一連の行動をお子さんに手早くやらせます。「練習よ」という言葉を逐一人形に言い聞かせながら進めてください。
この「練習」の手順を3回繰り返します。お子さんのパンツを確認させ、乾いていたらごほうびにお菓子を、また数分後乾いていたら飲み物をあげましょう。
そして人形の濡れたパンツを履き替えさせ、おしっこはどこでするのか人形に教えてあげるように言います。
さらに5分後、先の手順でおしっこをさせ褒めてあげるように促します。
その後3回ほど5分おきに同様の作業を行い、最後に人形のパンツが乾いていることを確認できたら、人形は「大きいお兄ちゃん」のようにおまるでおしっこができるようになったということで、人形を使った実演は終了です。
パンツのチェックをすることにより、子どもに清潔さの観念を覚えさせるとともに、パンツを乾いた清潔な状態に保とうという気を起こさせます。
トレーニング中には、子どものパンツが濡れていないか、何度もチェックを行ってください。
乾いていたら、褒めてあげましょう。「パンツ、サラサラだね!えらいね!」などと言い、お菓子と飲み物をあげてください。
このパンツのチェックはすぐにできますので、子どもに何か他の指示を与えている時以外は頻繁に(5分おきくらい)に行います。
その後、自らおまるやトイレに行くようになったら15分おきくらいに間隔を延ばしてください。
先に述べた人形による実演の最中にもパンツのチェックは行ってください。
次に、子ども自身に実践をさせる方法ですが、手順としては人形の実演と同様になります。
①パンツが乾いていたら、ごほうびを。
トレーニング中は、できるだけおしっこをする機会を増やすために、水分をいつもより多めに摂らせましょう。
その際、ただ飲み物を与えるのではなく、必ず何かを褒めてから、飲ませてあげてください。
②促して便器に座らせる。
人形の実演が終了したら、本人を促して便器に座らせます。最初は15分間隔でトイレを促して、便器に座らせるようにしましょう。
手順がスムーズにこなせるようになったら、間隔を延ばしていきます。
子ども自身が尿意を催しているサインをキャッチしたら時間にこだわらず、すぐに促して便器に行かせましょう。
③出るまで座らせる。
便器に座らせ、最初は10分間くらい座らせておきます。促して行かせて、一度でもちゃんと便器におしっこをしたら、次からは座らせておく時間を5分以内にしてください。
ただし、もし初めて便器に座ったとき、嫌がったり動き回るようなら無理強いはせずに1~2分で切りあげてかまいません。
このとき、たった数秒でも「座れた」ことを必ず褒めてあげるようにしましょう。
④おしっこが出たら、ごほうびをあげる。
子どもが便器におしっこをし始めたら、すぐに褒めます。
お母さんがそばにいると気が散ってしまう場合は、少し離れた場所から見守るようにしてください。
おしっこが出たら褒め、ごほうびのお菓子と飲み物をあげます。
⑤パンツを上げて、ボウルをトイレに運ばせ始末させる。
おしっこが出て、便器を下りたら、自分でパンツを上げさせます。
パンツを上げたら、自分で便器のボウルを外させ、トイレに持って行き、流させます。
⑥パンツを5分おきにチェックさせ、乾いていたらごほうび。
以上①~⑥を何度か繰り返します。
おもらしの時の対応
トレーニング中にはおもらしをしてしまう場合ももちろんあります。おもらしをしてしまった場合の対応を見てみましょう。
トレーニング開始直後、まだ用便の手順を最後まで教えていない時におもらしをした場合は、①と④だけ実行すればよいです。
①不快の念を言葉で表す。
おもらしをし始めたらすぐに「ダメ」と言ってください。次に何がダメなのかを説明します。
「ビチョビチョのパンツイヤね」など、不快の念を示します。
何度もしつこく繰り返す必要はありません。おもらしをした直後数秒程度にしてください。
また、決して体罰などを加えたりしないでください。
②用便の手順の復習
先ほどお漏らしした場所へ連れて行きます。
「おまるに急いで行こう」と言い、便器に行き、パンツを下ろして腰をかけるという一連の行為をできるだけすばやく子どもにやらせます。
ただし、ここでおしっこをさせる必要はないので、座ってもすぐに立たせてパンツを履かせます。そしてまた元の場所に戻ったら、再度同じ要領でこの練習を2~3回繰り返します。
③濡れたパンツはイヤだと自覚させる。
②の練習を終えたら、今度は濡れたパンツの自覚を促すという作業に入ります。
練習を終えた直後から、子どもにパンツが乾いているか聞き、実際に自分のパンツに触らせてください。
このときパンツは濡れたままですから、パンツが濡れていることに対して、失望の念を表します。。
④お漏らし後の後始末をさせる。
③のパンツチェックが済んだら、今度はパンツを履きかえるように指示を出します。
脱ぎ終わったパンツは自分で洗濯カゴに入れさせましょう。
また、おもらしをした床も自分で拭くようにさせます。このおもらしを拭く作業は、漏らした直後に行ってかまいません。
これらの後始末をさせることにより、子どもはなぜおもらしが好ましくないのかを実践的に学びます。
注意してほしいのは、おもらしをした時、決して腹を立てて怒ったりしてはいけないということ。声を荒げてどなったりするのは禁物です。またお尻を叩いたりするなどというのは論外です。
そんなことをしたら、子どもはただ苦痛を感じるだけで、一体なぜ怒られているのか分からぬまま、おもらしを防ぐための肝心なところを習得はしてくれません。あくまでも普通の口調で穏やかに話をしましょう。(ただし、おもらし直後に「ダメ」と制するのは例外。)
そして、なぜこのような練習をしなければならないのかをちゃんと言葉で説明してあげます。
滝田 加奈子 【トイレトレーニングアドバイザー】
記事テーマ
トイレトレーニングのイメージというと、面倒くさい、大変そう…というマイナスイメージをもっていませんか?実はトイレトレーニングには、さまざまな方法が存在します。自分とお子さんに合った方法さえ知っていれば、トイレトレーニングは親子の絆を深めるコミュニケーションツールにもなります。親子で楽しく取り組んで、オムツ外しをハッピーな思い出にしましょう!