「1日でおむつがはずせる」は、アメリカの‘Toilet Training in Less than a day’という本にまとめられた、心理学者N・アズリン博士とR・フォックス博士が提唱した方法を基にしています。
日本語訳では『「一日でおむつがはずせる」~この方法なら100%成功する』(著者:N・アズリン R・フォックス 訳者:篠田顕子 出版社:主婦の友社)というタイトルで1984年(昭和59年)に出版されましたが、残念ながら現在は入手困難となっています。
初版から20年以上が経過した現在、入手困難ながらも、ネットの世界ではその本の内容や実体験などが話題に上がることもしばしばあります。
それは、この本のタイトル「一日で」から受ける衝撃に起因するところもありますが、それだけでなく実際に実践してみた人たちの成功体験によるところも大きいのです。
実際にわが家の子どもたちも、この方法でトイレトレーニングに成功しました。
『「一日でおむつがはずせる」~この方法なら100%成功する』
著者:N・アズリン R・フォックス 訳者:篠田顕子
出版社:主婦の友社
(主婦の友社様から掲載許可をいただいています)
「一日でおむつがはずせる」方法では、一応開始の目安があります。
年齢的には1歳8ヵ月を過ぎていればだいたい開始できるとされていますが、それぞれ個人差がありますので、一概に年齢で区切ることはできません。
そこで、この方法を開始できるかどうかを判断するためのテストというものがあります。
膀胱括約筋のコントロールテスト
(1) 少量のおしっこをチビチビとするのではなく、 一度にたくさんの量のおしっこをしますか?
(2) 2~3時間おむつを濡らさずにいることがよくありますか?
(3) おしっこが出そうになると変な顔をしたり独特の姿勢を取るなど、尿意を自分で知っていますか?
身体的発達テスト
(1) 手先や指を使って、簡単に物をつかむことはできますか?
(2) 手伝いがなくても、部屋から部屋へ歩いて移動できますか?
指示に従えるかどうかのテスト
(1) 「お鼻はどれ?」「おめめは?」「お口は?」「髪の毛は?」などと聞くと、ちゃんと指で指しますか?
(2) 「ここに座って」「立って」「ママといっしょに来て」と指示すると指示通りに動くことができますか?
(3) 「ママが手をたたいたら、手をたたいてね」というと、お母さんの動作を真似しますか?
(4) おもちゃなど、いつも使用しているものを持ってくるように言うと、ちゃんと持ってきますか?
(5) 「お人形さんをこの車に乗せて」などと、1つのものをもう1つの上に置くように指示すると、指示通りにしますか?
子どもの発育には個人差がありますので、年齢的には十分と思われても判定テストにパスしない場合もあります。
すべてのテストにパスしなければ、この方法を実践できないというわけではなく、おおよその目安と考えたほうがよいでしょう。
トレーニングを始める前の準備をしましょう。
<事前にやっておきたいこと>
・衣服の脱ぎ着をさせる
衣服の脱ぎ着、特にパンツの上げ下ろしは、できるだけ子どもにやらせるようにしてください。まだひとりでは無理な場合でも、全てをお母さんがやってしまうのではなく、できそうなところは子どもにやらせてみましょう。
・家族のトイレを見学させる
両親や兄姉がトイレで用を足すときに、一緒に連れて行き、やっていることを一つずつ言葉で説明してあげてください。
・トレーニングに必要な言葉を教える。
「おまる」「濡れてる(ビチョビチョ)」「乾いてる(サラサラ)」「座って」「立って」「おしっこ(チッチ)」「ウンチ(ウンウン)」など、言い方は各家庭で言いやすい言葉でいいので、どういう言葉を使うかひとつ決めて、教えてあげましょう。
・指示に従うということを教える
何か指示を与えた時に、ちゃんとできるはずのことならば、必ずその指示を遂行させることが大切です。指示された行為を遂行しようと子どもが動き始めたら、すかさず褒めてあげてください。
以上のことを準備として、子どもがまだ小さいうちから実践しておけば、トレーニングを開始してもスムーズに進行していくでしょう。
ただし、トイレのしつけそのものに関しての準備は不要です。
<事前に準備するもの>
・お菓子などのごほうび
子どもが手順に沿って行動できた時や、何か褒めてあげることがあった時に、称賛を表す一手段として、ごほうびを与えます。お子さんが喜んで食べるものでしたらお菓子に限らず何でもかまいませんが、必要な時にすぐに取り出せるようエプロンのポケットなどに入れておいてください。
・飲み物
お菓子と同様、ごほうびとしても使いますが、尿意を促進させる働きもあります。おしっこの回数が増えればそれだけトイレでおしっこをする手順を学ぶ機会は多くなります。お子さんの好む飲み物を何種類か用意してください。ただし、胃に負担がかからないようなものを選びましょう。
・おまる
おまるで重要なのは、腰掛け式で、できればボウルが便座から簡単に取り外せ、元に戻せるという点です。幼い子どもでも取り扱えるものにしましょう。この方法では、完全なトイレの自立を目指していますので、それを可能にするためには、ボウルの出し入れが子ども自身で簡単にできるようなおまるが望ましいです。もしそのようなおまるがなければ、おしっこを流すという手順はお母さんがしてあげてください。
・人形
おまるを使って用を足す正しい手順を実演するためのモデルとして人形が必要です。排尿行為の実演なので、おしっこをする機能がついている人形、または、なければ普通の人形とスポイトを用意してください。また、人形にはパンツをはかせ、パンツの上げ下ろしの実演にも使用します。
・トレーニングパンツ
大き目の布製のトレーニングパンツを、少なくとも8~10枚は用意してください。パンツの上げ下ろしも手順に含まれますので、お子さんが普通使うよりもかなり大きめのパンツで大丈夫です。
・喜んでくれる人たちのリスト
トレーニング中に何かできた時、「ママもうれしい!」と言うだけでなく、他の人たちも喜んでくれているのだということを繰り返し子どもに伝えます。そのために「喜んでくれる人たち」のリストを作っておきましょう。
パパ、お兄ちゃん、お姉ちゃん、おばあちゃん、おじいちゃんなど家族や親類だけでなく、子どもが慕っている人を全てリストアップしてください。テレビ番組のキャラクターや子どもの好きな架空の人物でも可です。
<当日の環境を整える準備>
トレーニングに必要なものが準備できたら、トレーニングに必要な環境を整えます。
このトレーニングは短期集中がポイントですから、お子さんだけでなく、トレーニングする立場の人もトレーニング中は気がそれないようにする必要があります。
・テレビやラジオは消しましょう。
・おもちゃは目に付かない場所に片付けましょう。
・電話は留守電などにしてできるだけ出ない、または、手短にすませましょう。
・来客の場合も「手が離せない」と断りましょう。
・トレーニングを実施する人以外の家族には外出してもらうようにしましょう。
もし、他の家族が外出できない場合は、トレーニングのヘルプをしてもらうようにしますが、大人同士でのおしゃべりは避けましょう。
子どもがもしトレーニングに関係ないことを話し始めたり、他のことに気をとられ注意散漫になった場合も、それに引きずられないようにしましょう。「今はおしっこに行けるよう練習しようね」と子どもに言い聞かせ、子どもの注意を再びトレーニングに向かわせてください。
次回は、「1日でおむつがはずれる ~実践編~」として、具体的な実践方法についてお話したいと思います。
滝田 加奈子 【トイレトレーニングアドバイザー】
記事テーマ
トイレトレーニングのイメージというと、面倒くさい、大変そう…というマイナスイメージをもっていませんか?実はトイレトレーニングには、さまざまな方法が存在します。自分とお子さんに合った方法さえ知っていれば、トイレトレーニングは親子の絆を深めるコミュニケーションツールにもなります。親子で楽しく取り組んで、オムツ外しをハッピーな思い出にしましょう!