エリミネーション・コミュニケーションとは、
● Elimination 排泄
● Communication コミュニケーション
のことで、略してEC(イーシー)と呼ばれています。
基本的には、そのサインを親がキャッチしてあげ、早いうちからおまるやトイレで排泄をさせてあげるという方法を取ります。
トイレット・コミュニケーションと同様に、コミュニケーションに主眼を置いているため、ECも「おむつはずし」をその目的としませんので、早期トイレトレーニングではありません。
この方法は、もともとアメリカで提唱され広まった方法で、2004年にはDiper Free BabyというNPO団体が設立され、ECを実践する家庭のサポートを行っています。
※Diper Free Baby(http://www.diaperfreebaby.org/)
ECは生後まもなく、思い立った時にすぐに始められます。
首の据わる頃(生後2、3ヵ月頃)から始めるのがいいという人もいますが、それは赤ちゃんをおしっこさせるのに、生後すぐよりも安定して抱えることができるからでしょう。
また、1歳を過ぎると難しいとするのは、それまでにおむつにすることに慣れきってしまうと、おしっこのサインを出すことをすっかりしなくなったり、反抗期・イヤイヤ期に入ってしまうことで、コミュニケーションが難しくなるということがあるかもしれません。しかしながら、月齢が低いから早すぎる、逆に年齢が高いから遅すぎるということはありません。「思い立ったときが始め時」です。
ただし、始める月齢(年齢)によって、赤ちゃんのできることも違ってきますので、それぞれに合った対応や工夫が必要です。
ECには特に準備が必要なものはありません。おまるがなくても、洗面所や洗面器など、おしっこを受ける容器状のものがあればOKです。基本的には布製のおむつやトレーニングパンツのほうがいいとされますが、紙おむつだからできないということはありません。
また“Diper Free”=「全くおむつをつけない」でする方法もありますが、その場合も外出時に心配なときはトレパンを使用してもかまいません。
赤ちゃんはただ寝ているだけではなく、「お腹空いたよ~」とか「眠いよ~」といったようにさまざまなサインを出しています。サインというと大げさですが、泣いたり、うなったり、声を上げたり、たいていの赤ちゃんには必ずそういった反応があります。
お母さんもお世話に慣れてくると、赤ちゃんの出すそれらのサインに気づくようになり、「眠いのかな?」「お腹が空いたのかな?」など、それらの反応に応じておっぱいやミルクをあげたり、抱っこしてゆらゆらと睡眠を誘ったりなどの対応をしますよね。
そのような触れ合いがコミュニケーションであり、サインを出す赤ちゃんも、その要求が受け入れてもらえる安心感と信頼感をお母さんに感じ、サインを出し続けます。逆に要求に全く応えてもらえなければ、次第にサインを出すことを諦めてしまうかもしれません。
大人だって、何度もお願いしても受け入れてもらえなければ、やっぱり「もうダメだ…」とくじけてしまいますよね。赤ちゃんの出すサインは、空腹や睡眠のサインだけではなく、排泄に関するサインもあるとECでは考えます。
「おしっこ出た(出る)よ」とか「ウンチした(したいよ)」など、月齢の低い赤ちゃんでもサインを出しています。そのサインに気づいて、赤ちゃんの要求に応えてあげましょうというのがECの実践方法です。
①赤ちゃんの排泄のタイミングを知る
毎日の生活の中で、おしっこやウンチをしやすいタイミングというのがあると思います。よく考えられるが、起きてすぐやおっぱいの後などのタイミングです。赤ちゃんがどのタイミングで排泄をすることが多いのか、だいたい1週間程度、記録を取ってみるとわかりやすいかもしれません。
おしっこやウンチをしやすいタイミングが、だいたいわかるようになったら、それを見計らってトイレに連れて行くようにしましょう。
②排泄のサインを知る
生活の時間ごとにタイミングをみるだけでなく、マメにおむつをチェックして、分かりにくければおむつを付けない状態で、排泄をする時の様子を観察してみてください。赤ちゃんが排泄時にどのようなサインを発するのか観察して、そのサインに応えてあげてください。サインは赤ちゃんによってそれぞれ違います。
よくあるサインは、、、
・泣く。
・顔を紅潮させる。
・「あー」とか「うー」などと唸る。
・足をバタバタと動かす。
・モゾモゾと動く。
・足を蹴り上げる
・動かなくなる。
・遠くの一点を見つめる。
などで、これをいくつか同時に行って、排泄を知らせてくれる場合もあります。
③実際におむつ以外の場所での排泄をさせる
タイミングを計って、または赤ちゃんのサインに応えておむつ以外の場所での排泄を試みましょう。排泄させる場所やスタイルに全く決まりはありません。おまるやトイレ、洗面所や洗面器など月齢に応じて、またお母さんや保育者の方が使用しやすい場所を決めてください。
たとえば月齢の低いうちは、赤ちゃんの体を抱えた状態で持ち上げ排泄させるので、少し高い位置にある洗面所などのほうが使用しやすいかもしれません。
ECの具体的な実践方法はわかったけど、「そんなの大変でできない。。。」と思われる方も多いでしょう。24時間体制で取り組むのは難しくても「一日に数時間だったらできるわ。」という場合、もちろんそれでもOKです。
フルタイムでECを実践されている家族は沢山いますが、同じようにパートタイム実践者やオケージョナル(出来るときだけ場合に応じて)実践者もいます。そういった方たちもECの恩恵をしっかり受けています。
それぞれの家族の環境に応じて、実践期間や実行できる内容が異なるということはよくあることです。ECのよいところは、そういった融通のきくところにあります。
一日が無理でも、半日、または数時間でもいいので、ぜひ実行してみてください。
ECを実行するための手順を下記にまとめてみました。
1. 赤ちゃんの排泄タイミングとサインをよく観察する。
2. タイミングを見計らって赤ちゃんを排泄場所に連れて行く。
3. 安全な排泄ポジションに抱えてあげる。
4. 「きっかけ音」を出す。
5. おむつが濡れたらすぐに交換する。
と、いうことになります。
たったそれだけ?と感じるかもしれません。
そうです、なんら難しいことや目新しいことはなく、たったそれだけのことなのです。
これまでもECが文化として根付いている地域では、ECの有効性などをいちいち考えることなく、自然に実践されています。
● 赤ちゃんがお腹が空いたらおっぱいをあげる、
● 眠くなったら抱っこしてあげる、同様におむつが濡れたらすぐに替えてあげる、
● おしっこしたがったらおまるに連れていってさせてあげる、、、
このように赤ちゃんとのコミュニケーションを図ることの一環としてECに取り組んでみてください。たぶん想像していたよりもずっと簡単にできるし、赤ちゃんも快適に過ごすことができます。
滝田 加奈子 【トイレトレーニングアドバイザー】
記事テーマ
トイレトレーニングのイメージというと、面倒くさい、大変そう…というマイナスイメージをもっていませんか?実はトイレトレーニングには、さまざまな方法が存在します。自分とお子さんに合った方法さえ知っていれば、トイレトレーニングは親子の絆を深めるコミュニケーションツールにもなります。親子で楽しく取り組んで、オムツ外しをハッピーな思い出にしましょう!