現在日本で行われている一般的なトイレトレーニングを、ここでは『ベーシック・トイレトレーニング』と呼んでいます。
基本的なトイレトレーニングにおけるトレーニング開始の目安を見てみましょう。
1.一人でしっかり歩けるようになる
2.おしっこの間隔が1~2時間程度あいている。
3.おしっこやウンチが出る(または出た)ことを仕草や言葉で伝える。
4.おしっこやウンチの回数がだいたい毎日決まってきた。
5.大人の言う簡単な指示が理解できる。
以上の条件が揃えば、スタートする時期に達していると言えるでしょう。
これらはだいたいの目安であり、「だいたいクリアできている」程度OKです。このような条件が揃うのは、早くても1歳過ぎ~2歳くらいだと思われますが、成長は個人差も大きいので、「何歳になったから」とか、「周りが始めたから」とか、「夏だから」といって焦るのは禁物です。
もちろん夏は洗濯物も乾きやすいですし、おむつだと蒸れて汗もかくので思い切っておむつを付けずに過ごすとか、パンツ一枚で過ごすといった大胆な方法も試しやすいというメリットがあるのは事実です。また逆に冬はあまり汗をかかないので、おしっこの量も多く、排尿間隔もあかない場合があり、失敗も増えるかもしれません。とはいえ、子どもの体の発達に合わせて取り組むこの方法では、季節や年齢ではなく、あくまでも子どもの体と心の成長が目安です。
実際にトイレトレーニングを始める前に、準備しておくことがあります。
1.おしっこ・ウンチが何であるかを認識させること。
準備段階としてやっておいてほしいのは、おむつ替えのたびに「チッチ(おしっこ)出たね~。スッキリしたね!」とか、「ウンウン(ウンチ)出てるね!キレイキレイしようね~。」など、声かけをすること。毎回何度も同じ単語で語りかけることで、子どもの中にもチッチ(おしっこ)やウンウン(ウンチ)という言葉がインプットされます。
2.「お尻がきれい=うれしい・気持ちいい」という気持ちを持たせること。
同じくおむつ替えをするたびに、必ず「お尻すっきりしたね~。気持ちいいね~。」といいながらお尻を拭いてあげ、おむつを替えてあげてください。おしっこやウンチをすることはスッキリすることでいいこと、また、おしっこやウンチが取り除かれて、お尻が清潔に保たれることは、気持ちのいいことで、うれしいことだという感覚を持たせてあげれば、トレーニングを進めるにあたって子どももスムーズに取り組めます。
次にトイレトレーニングを始める前に、準備しておきたいものについて紹介します。
1.おまる
おまるは必ずしも準備しなくてはいけないものではありません。
メリット・デメリットを考慮した上で、また各家庭の居住環境などを考えて、おまるを使用するかどうかを決めてください。おまるを使用しない場合は、トイレに補助便座を設置したり、ステップを置いたりして対応します。
2.トレーニングパンツ
開始当初はおむつや紙製のトレパンで進める場合もあると思いますが、「これをはくために頑張ろうね!」というモチベーションアップのために、始める前にお気に入りのキャラクター付きの布製トレパンを買っておくことをオススメします。一緒にお店に行き、自分で選ばせてあげるのもよいでしょう。
3.補助便座・ステップ(踏み台)
おまるではなく、いきなりトイレでトイレトレーニングを始める人や、おまるとトイレの併用で行う人もいると思います。大人用の便座では小さい子どものお尻は落ちてしまいますので、通常は補助便座というものを大人の便座の上に装着して使用します。おまるの上の部分が取り外せて、便座にそのまま使えるタイプのものもあります。
4.その他あると便利なトイレトレーニンググッズたち
おむつが外れる前の子どもにとって、トイレは未知の空間です。最初に持つイメージが「狭い・暗い・寂しい」などネガティブなものでは、トイレトレーニングにとってもマイナスです。まずはトイレを好きになってもらうこと。最初はおまるでトレーニングを始める方も、いずれはトイレでおしっこやウンチをしてもらうことを考えて、トイレは明るく快適な空間にしましょう。
トイレ好きになってもらうのに役立つグッズを紹介します。
●トイレに関するDVDや本
●「トイレに座れた」「おしっこができた」など、何かができたら貼るシール。
● 「できたねシール」を貼るためのポスター。
●かわいい柄のマットや便座カバー。
他にもトイレを怖がらせないために、電球を明るいものに取り替えるなどの工夫をしてあげてください。ただし、あまり過度にトイレを飾りすぎたり、おもちゃを置きすぎたりすると、「トイレ=遊ぶ場所」と思ってしまい、トレーニングに集中できず逆効果な場合もありますので、注意が必要です。上手にグッズを利用して、楽しくトレーニングを進めましょう。
準備が完了したら、いよいよトイレトレーニングスタートです。ここからは具体的なトイレトレーニングの進め方についてお話します。
1.子どもをトイレ(おまる)に慣れさせる。
トイレ(おまる)がおしっこやウンチをする場所だということを教えてあげる必要があります。そして、トイレ(おまる)に座ることに慣れさせましょう。
①おむつにウンチをしたら一緒にトイレに捨てに行き流させる。
おむつ替えの時にウンチをしていたら、トイレにウンチを流してから捨てますが、その時子どもにも一緒にお手伝いをさせてください。
「ウンチくんバイバイしに行こうね~。」などと誘って、一緒にトイレに行き、便器の中にウンチを落としたら、子どもに流させてあげて「ウンチくんバイバイ~イ」とさよならしましょう。最初は大人がやってみせて、流水レバーの使い方も教えてあげます。
②大人がトイレに行く時に連れて行く。
お母さんやお父さんがトイレに行くときに、「ママ(パパ)トイレに行くから一緒に行く?」と誘ってみましょう。トイレは怖い場所じゃない、なんだか楽しそう!と思ってもらうことがポイントです。「ここはおしっこやウンチをするところなんだよ~。」とか「じゃあおしっこバイバイしようね~。」など、必ず子どもに声をかけてあげてください。
③実際にトイレ(おまる)に座らせる。
子どもは大人の真似っこが大好き。大人がトイレでしているのを見て、自分もやってみたい!と思うはずです。子どもがトイレに興味を持ったら、実際に座らせてみましょう。「なんでも自分でしたい」という子どもの自立心を上手くくすぐるのがポイントです。
また実際に座ったら、「うわ~、すご~い!座れたねぇ。偉~い!」と大げさに褒めてあげてください。
2.子どもをトイレ(おまる)に誘ってみる。
①子どものサインのタイミングでトイレに連れて行く。
子どもが自分で「チッチ」と言ったり、おむつに手をやる、モジモジするなどのサインがあれば、そのタイミングでトイレやおまるに連れて行きます。この時すでにおしっこやウンチがおむつに出てしまっていてもかまいません。
ただおむつを替えてしまうのではなく、一旦トイレやおまるに座らせてあげることで、排泄=トイレでという感覚を覚えさせます。
②生活の節目にトイレに誘ってみる。
おしっこがたまっている頃かな~と思ったら、トイレやおまるに座らせてみてください。一日の生活の中で、おしっこやウンチが出やすいタイミングというのがあると思います。たとえば、「朝起きてすぐ・お昼寝の後・お出かけの前・食事やおやつの後・お風呂に入る前後」などが考えられますが、だいたい日中5~6回くらいの頻度で、子どもをトイレに誘ってみましょう。このとき、子どもが遊びに夢中になっていたり、寝起きであまりに機嫌が悪いなど、誘っても嫌がりそうな場合は避けてください。
補助便座やおまるに座らせて出ない場合も、5分くらいでトイレやおまるから離れるようにしましょう。嫌がるのをしつこく座らせ続けたり、逆に子どもが遊び始めてしまうくらい長く座らせているのはかえって逆効果です。
もしもトイレやおまるでのおしっこに成功したら、「すご~~~い!おしっこ出来たねぇ!えらい!」と大げさなくらい褒めちぎり、思い切り抱きしめてあげてください。ママだけでなく、パパ、おじいちゃん、おばあちゃん、兄弟姉妹など、子どもの大好きな人、身近な人たち皆に成功を伝え、褒めてもらうのもいいですね。子ども自身が「トイレでおしっこが出来た!」という達成感と自信を持つことが非常に重要です。
3.子どもが自分からトイレに行きたがる。
最初は自分で「おしっこ」などと言ってトイレに行くよりも、親がトイレに誘う回数のほうが多いと思いますが、自分で行く意思表示をし始めたら、誘う回数を少しずつ減らしてみましょう。
自分でトイレに行けるようになるには、おしっこが膀胱にたまり、「おしっこしたい」という感覚がつかめるようにならなくてはなりません。そこでまだ「おしっこしたい」という感覚がないのに親が先回りしてトイレに誘ってしまうと、なかなか自分でこの感覚を覚えることができないので、できれば「もうギリギリかも…」というタイミングで誘ってあげるのがベストです。
徐々に事前申告をする回数も、自分でトイレに行こうとする回数も増えていくはずです。そうなればゴールはもう目前です。
滝田 加奈子 【トイレトレーニングアドバイザー】
記事テーマ
トイレトレーニングのイメージというと、面倒くさい、大変そう…というマイナスイメージをもっていませんか?実はトイレトレーニングには、さまざまな方法が存在します。自分とお子さんに合った方法さえ知っていれば、トイレトレーニングは親子の絆を深めるコミュニケーションツールにもなります。親子で楽しく取り組んで、オムツ外しをハッピーな思い出にしましょう!