パンに欠かせない材料のひとつであるイースト(酵母)。イースト(酵母)とは何かご存知でしょうか?
イースト(酵母)とは地球上に存在する微生物のひとつです。カビやキノコと同じ菌類に属します。大気中や粉類、穀物、果実などあらゆるところに生息しており、何百種類もあると言われています。
自家製酵母や天然酵母という言葉を耳にすることも多いと思いますが、こちらもイーストです。
イーストとは酵母の英訳なんですね。
少しややこしいのですが、日本では元々自然界にあった何百という種類の酵母の中から、「パンの発酵に適している酵母」を採取して、工業的に増やしたものを「イースト」ということが多くなっています。
教室に来られる生徒さんの中には「イースト」は体に悪い!なんて勘違いをしている方もいらっしゃいますが、自家製酵母も天然酵母もイーストも全部「酵母」で元々自然界にあるものです。体に悪いということはありません。
●イースト(インスタントドライイースト、生イースト、ドライイースト)
●天然酵母(ホシノ天然酵母パン種や白神こだま酵母が有名。生産者が各々の種で起こした酵母)
●自家製酵母(野菜や果物、ハーブなどについている野生酵母を増やしてパンに使う)
おうちで使われることが多いのはインスタントドライイースト。このイーストは顆粒状で、そのまま粉にまぜて使うことができとても手軽です。発酵力も強く、安定しています。
天然酵母や自家製酵母は、パンに適した酵母だけでなく色々な酵母が含まれています。発酵に時間がかかるなどデメリットもありますが、色々な種類の酵母菌が含まれていることや逆にその発酵に長時間かけることで、味に深みがでると言われてます。
パン作り初心者の方には生地の見極めを誤らないためにも、インスタントドライイーストでパン作りをはじめることをオススメします。
※イーストが体に悪い・・と誤解されている方、それはおそらくイーストフードのことでしょう。その名の通りイーストのエサで、イーストの動きを活性化し発酵を促進する働きがあります。毒性が強いのでできれば子どもには食べさせたくない添加物のひとつです。パンを購入するときにパッケージの裏にある記載を確認してみてください。選べるのであれば、できるだけイーストフードと記載のないものがオススメです。
「なかなかパンが膨らまないです!」とおっしゃる方の中に、イーストの保管方法に問題がある方がいらっしゃいます。そんな方に、「イーストはどこにおいていますか?」と聞くと、常温に置いていたり何年も前から冷蔵庫に入れているイーストを使っていたりします。
私は冷凍庫に入れることをオススメしています。2年は保存が可能です。
イーストは生き物です。5℃以上ある環境だとエサを探して動き出します。動いていると元気がなくなってきてしまうのです。
0~5℃ イーストが活動停止。保存に適した温度
27~36℃ イーストが最も活動的になる温度
60℃~ イーストが死滅する温度
冷蔵庫は7℃以上あることが多いので、できれば冷凍庫に保管してみてください。そうすればいつでも元気なイーストを使うことができます。
【イーストが生きているか?確認方法】
小さな小皿に水をはり、パラリと一つまみのイーストを水の上に振り掛けます。少したつとイーストが水を含み沈んで水に解けていきます。(解けない場合は少しお皿をゆすってあげてください)。3分ほど様子を見ると、生きていたら気泡が出てきます。出てこなければそのイーストは死んでいますので、破棄して新しいイーストを準備してパンを焼いてください。
味や殺菌ももちろん大切ですが、パンの骨格を引き締める効果があります。塩を入れずに焼いたパンはしまりがなく横にだれてしまい、見た目は悪く、味もおいしいものにはなりません。
「家族に塩分を取らせたくないから」と塩を入れないのはNGです。パンを作るときにはレシピ通りの塩を入れて、どうぞお料理の塩分を控えめにしてください。
また逆に塩の多いパンは膨らみません。塩はイーストの働きを悪くするためです。
お父さんのおつまみ用に塩っぽいパンを焼きたいときは、生地の中に練りこまず、表面にパラパラとかけるのがオススメです。
おうちで焼くパンに「塩を入れていなかった!」という方、失敗の理由のひとつは「塩」かもしれません。
吉永 麻衣子 【パン教室主宰】
記事テーマ
ママが子供たちのために焼いた【おうちパン】が毎日食卓にあったらとってもしあわせ!パンをこねるママの姿、ふわふわふくらんでいく生地、オーブンからパンの焼ける香り。「子育てで忙しい!パン作りは難しい!」と思っているママさんへパン作りを失敗しないための小さなコツ、お手軽なレシピ、しあわせエピソード等お伝えしていきます。