「早くしなさい!」「何やってるの!」「ほら次はあれしてこれして…」
スーパーなどで、子どもにこんな声掛けをしているお母さんをみると、身のすくむような思いがします。私の中にはふたつの気持ちが混ざっています。ひとつは子どもの頃、自分が怒られていた感覚がよみがえっているかのような気持ち。もうひとつは、母として、自分もあんな風に怖い声で小さな子どもにガミガミ言っていた(時には今も)ことを明るみにされるような気持ち。目を背けたいような、声をかけたいような切ない気持ちになります。人のふりを見て我がふりも直したいんだけど…。
今回は、やめたくてもなかなかやめられない、「ガミガミ言うこと」をどういうコミュニケーションに変えたらいいのか?私自身の体験から詳しくみてみます。
私の場合、言い始めると止まらなくなるというパターンがあります。ずっと気になってはいたけど、なるべく言わないように我慢していたことが、1つ指摘すると続けて噴出してしまうのですね。
「ピアノは?宿題は?おたよりないの?洗濯物しまいなさい!お菓子の袋はすぐ捨てて!そういえば昨日も…」
書いていてもこんな矢継ぎ早の言葉にはうんざりします。言われている子どもはどんな気持ちなのでしょう。
子どもに何かをして欲しい時「ガミガミ言う」ことには、しつけ上も情緒の上でも、あまり意味がなくむしろ害と考えているにも関わらず「また今日もやってしまった」とがっくりきてしまうのです。
では、ガミガミ言わなくても、子どもが率先して何かをやるのはどんな時でしょう?
うちの小学3年生の子の場合はこんな状況です。
1、やるべきことが子ども本人に見えている。
2、やることが楽しい、あるいはやった後に楽しいことがある。
3、大人が必要な声かけをして見守っている。
ひとつずつ詳しくみてみましょう。
1、の見えていること、というのは「明確さ」が大切です。
例えば「掃除しなさい」ではなく具体的に「本を本棚にしまうことと、床に落ちている服をたたんでしまって、最後に掃除機をかけるのって、土曜日にできそう?」のように、ステップをイメージできるとやれるようです。この具体性が親と食い違うと「掃除したの?」「やったよ」「できてないじゃない!」となってしまうのです。
2、の楽しさ、遊びの要素は子どもにはとっても大事なものですね。競争を取り入れたり、時間を計ったり、ピカピカにできたら見せてね、というだけで、やる気が湧いてくることもあります。やるべきことができたあとにおやつや、散歩に行こうと誘うなども効果があります。これは交換条件ではなく励みだと私は考えています。大人も、ここまで仕事したらコーヒー淹れよう、なんて区切りをつけて頑張れたりしますよね。
3、の声掛けに必要なのは「関心を向けているよ」とか「ここに居るよ」という安心感です。こちらが「ちゃんとやってると思ってたのに」という時は、信頼していたような口ぶりで実は、別のことに気をとられていてそのあいだ無関心だったことの正当化なんですよね。後から、ごめんね、という気持ちになります。
何かが進んでいない時、なんだかモタモタぐずぐずしている時に「今、子どもには何が見えているのだろう?そして、何が見えていないのだろう?」と考えてみてください。大人の都合のスケジュールどおりにいってないだけで、子どもは子どもの時間を生きています。その目線にまず合わせてみるのです。子どもの低い目線から、こちらが望む生活習慣や自己管理能力や社会性といったものをどうやったら身につけられるのだろう?と落ち着いて考えてみるのです。
私は、新人研修をするのとにているなあ、と思っています。会社ではなくって、社会に、この年若い経験のない人を迎え入れて、楽しんで能力を発揮して仕事していくようになるまで育てる。子育ては、新人研修だと思うと、ただ命令するだけではやる気をなくしていくだろうなと容易に想像できます。なので、自分が新人だったら、上司や先輩にどんな関わりをしてほしいかもわかりますよね?
私だったら、こんな上司がいいです。やり方をわかりやすく説明してくれて、ある程度任せてくれて、でも気にかけてくれていて、成長や成果を喜んでくれる。失敗した時やできてないことについては、状況を尋ねてくれてどうしたらうまくいくのかを一緒に考えてくれる。そんな上司に、なれるかしら?
子どもの視点を想像して、状況を把握できたら、それを共感しながら伝えてみます。
帰宅しておやつ食べて、宿題もせずにゴロゴロしている子どもは、何を見ているのでしょう?何やってるの!?と言いたい親目線を、子ども目線に変えて想像力を働かせて…。
「家に帰って、おやつがテーブルの上にあったから先に食べちゃったんだね。お腹すいてるよね、いっぱい遊んできたんだもんね。それでおやつ食べてほっとしたらごろんとしてゆっくりしたくなっちゃったのかな」
共感した上で、やって欲しいと考えていることと、その先にある望みを伝えます。
「ママがいいなと思うスケジュールは、夕飯のあとはお風呂もあるし遅くなっちゃうからその前に宿題とピアノが終わってることなんだ。だから、やるべきことが終わってからゆっくりするか、休憩が終わる時間を決めて、自分でやり始めるとか、工夫してやってみない?あなたが自分で決めて、それをできるようになると嬉しいんだよね。信頼していたい。いちいち怒ったり確かめたりしなくてよくて、お互いに自分のペースで生活できて楽しそうじゃない?ママはそういう家庭にしたいんだよね、誰かがが決めてそれにみんなが従うって形じゃなくて」
こんなに丁寧に話せることは、私もほぼないですが、自分の中だけでも、親子の理想の関係性をしっかり描けていると、どんな時にも自分の姿勢が明確になってきます。
「今日もガミガミ言ってしまった…」という日があったら、じゃあ自分の理想はどんな関係性かな?とか、将来どんな人になってくれたら嬉しいのかな?と一度じっくり考えてみてくださいね。
私がガミガミ言ってしまう時のパターンは「自分が疲れている時」か「やるべきことがいっぱいで焦っている時」です。次にあれやってこれやって…と頭が忙しい時に、子どもの「不備・不手際」が目についてしまうのです。
子どもに共感する前に、自分への共感が必要な時なんですね。
「ああ、私今、疲れてるんだな。いっぱいいっぱいなんだな。ちょっと休もうかな。何か楽しいことを計画しようかな。誰かに手伝ってもらおうかな。頑張ってるって、自分でしっかり認めてあげよう。」
そんな風にじっくり自分の気持ちや状態に気を向けてケアしてあげることで、子どもともまた前向きな関わりができるようになります。
母業は、やることいっぱい、成果も評価も見えにくい、だけど責任重大な仕事。どうぞガミガミ・モードのときには「あれ?私今疲れてるのかな?」と自分のココロの声を聴いてみてくださいね!
ココロの声を聴く、聴き方。
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合言葉は、人生をおいしく・楽しく・美しく♪
高橋 ライチ 【コミュニケーション・カウンセラー】
記事テーマ
子どもたちには、幸せになって欲しい!ママたちの共通の願いですね。豊かなココロを育て、人とつながる「コミュニケーション力」を育み、社会へ送り出しましょう。ブライト・コミュニケーションを実践していくと、ママの人間関係もぐっとラクに楽しくなりますよ。