前回は「人の手を借りる」ことについてお伝えしました。普段の生活に子どもという新しいメンバーが増え、これまでひとりでやろうとしてきたところに限界を感じたら、誰かに頼る、という新しいことを頑張ることがおすすめですよ、という内容でした。
今回は、頑張り屋さんにとっては人を頼るより難しいかもしれない、「頑張りすぎをやめる」ためのお話です。頑張りすぎてつぶれてしまわないように、健全に頑張るにはどうしたらいいのでしょう?
頑張りすぎてない方も、子育てにぜひ生かしてほしい内容なので、どうぞおつきあいください。
「頑張らなくてもいいんだよ」とか「頑張りすぎないで」などと言われると、なんだか心もとない気分になる方はいませんか?信頼されてないような、自分には能力がないと言われているような、見放されたような、努力を放棄してしまうような、ダメな人間になってしまいそうな…。ぐらぐらする気持ちになるかもしれません。
「頑張れ!」と励まされたことはありますよね。運動会や勉強、部活動、発表、仕事、恋愛などの人間関係に至るまで、子どもの頃から、1度ならず「頑張れ」と周りから言われた経験があるでしょう。「頑張ったね!」と努力や挑戦を認めてもらって嬉しかった記憶もあるかもしれません。「頑張ることはいいことなんだ」という価値観の中で多くの人は育ってきています。
頑張ることは、いいこと。
では、質問です。「頑張らないのは、悪いこと?」
どんな答えが頭に浮かびましたか?「悪い」ととっさに浮かんだ人。断言はできないけど、自分の中に「頑張らないことが悪いような気がしている」感覚に気がつく、という人もいます。
・頑張らないのは、悪いこと。
・頑張らない人(自分)は価値がない。
・頑張らないと、認めてもらえない。愛されない。
・頑張らないと、怒られる。ひどい目にあう。
そんな風に感じているとしたら、「頑張らないこと」はココロの痛みにつながっているのですね。痛みを感じたくないあまり、ついつい頑張りすぎてしまうのです。
もっとよくなりたい、という向上心は誰もが持っています。ただそれが、現状の自分を否定するところから出発してしまうと、息苦しくなってしまいます。特になかなか結果が出ない時。状況が変わってそれに慣れるのに時間がかかっている時。処理能力をはるかに超えたことをやろうとしている時。
これって、母となって経験する環境の変化がまさにそうです。赤ちゃんが生まれたりきょうだいが増えたり、誰かが病気や怪我をした、仕事に復帰したなど、何度も変化が起こりますから、そのたびに「うまくやれない自分はダメだ」という自己否定から頑張ってしまうと、とても苦しい挑戦になります。何かを達成したとしても喜びではなく「なんとか乗り切れた」とホッとする程度。またすぐに次の何かに脅かされてしまうでしょう。
自分がダメだから頑張るのではなく、新しい状況に適応したい、困難を乗り越えたい、もっといい状態に到達したい、意志と意欲があるから頑張ろう、そう考えてみてください。
そして、それには時間がかかってもよいのです。工夫しながら練習しながらやればいいのです。新しいことをできるようになるのは時間がかかるし、その過程は失敗してやり直しての繰り返しです。
子育ての上でも、どうやって励ますか?を意識すると子どもたちのココロを育むのにとても役立ちます。
本人が自己否定に入ってないかな?とちょっと気をつけてあげると、大人が態度や声かけでフォローできることがわかります。今のあなた自身がダメなわけじゃない。でも、もっとよくなりたいって意志と意欲を持てるのは素敵なことだって伝えてあげましょう。
「そんなによくなりたい気持ちがあったら、練習したらきっとうまくできるようになるよ」「時間がかかっても、工夫しながらやってみよう」「お母さんも、●●ができなくて、悔しくて練習したことあるよ。できたときは嬉しかったなあ」そんな風に、子どもの頃の経験を話してあげるのもいいですね。「お母さんもできなかったの?」と目を輝かせる子もいるかもしれません。
あなたが何かに挑戦する時、誰かがそばにいて、きっとできると信じて待ってくれたら嬉しいですよね。休むことも、気分転換も受容しながら、それでもきっとできると信じていてくれたら。
逆に、自分のペースを無視されて「早く」「まだできないのか」「努力が足りない」「そんなんじゃ大変なことになるぞ」「できるようになろうと思ってないだろう」「おかしいんじゃない?」とせかされ脅され疑われたら…?つらいですね。
まず自分自身が、ココロの痛み(自己否定、罪悪感、恐れなど)から頑張ろうとしていないか、振り返ってみてください。自分のことを否定して、せかしたり脅したり、疑ったりしていないか。そして、そのあとでお子さんが、痛みからの頑張りをしていないか、させていないか、気をつけてみてくださいね。
子どもたちには、直接の働きかけよりも親自身のあり方から伝わるメッセージのほうが大きく響くものです。子育ては、同時に自分自身の育て直しをすることでもあるんですよね。
そうそう、頑張って何かができた暁には、大人も子どもも、達成や成長を喜ぶことを忘れずに!努力や工夫をたたえ、苦労をねぎらうこと。せっかくの成功体験を、じゅうぶん味わい、お祝いすること。頑張りすぎの人には、ここも大事なポイントですよ。
意欲を持って、新しいことに挑戦するのはとても素晴らしいことですが、何もかもできるようにならなくてもいい、と私は考えています。できないこと、苦手なことがあるからこそ誰かと協力できるし、感謝も尊敬もできるのですから。
大人でも、できないこと、苦手なことってあっていいんですよ。頑張って、でも頑張りすぎずに、人とつながりを持ちながら子育てしていきましょう!
★幼い頃からの習慣や思考パターンを変えることが難しいと感じたら、ワークショップや個人セッションで取り組むことができます。
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合言葉は、人生をおいしく・楽しく・美しく♪
高橋 ライチ 【コミュニケーション・カウンセラー】
記事テーマ
子どもたちには、幸せになって欲しい!ママたちの共通の願いですね。豊かなココロを育て、人とつながる「コミュニケーション力」を育み、社会へ送り出しましょう。ブライト・コミュニケーションを実践していくと、ママの人間関係もぐっとラクに楽しくなりますよ。