聴く講座や、カウンセリングの場では時々「うちの子ちっとも話してくれなくて…」という悩みをもつ方に出会います。
「話してくれない子が、話してくれるようになるんでしょうか?」
答は、YesでもありNoでもあります。
Yesの場合。大人の聴き方が変わることで、お子さんが「話してくれるようになる」ケースには、こんなパターンがあります。もともとの性格ではコミュニケーションが好きなタイプなのに、「ちゃんと聴いてもらった経験が少ない」か、「話した時に、イヤな思いをしたことがある」という子。こんなケースでは、ちゃんと聴いてもらえて、嬉しい、楽しい、ほっとする、解決するなどの経験を積んでいけば、口数は増えていくことでしょう。
Noのパターンは、お子さんのもともと持っている性格として、沈思黙考型だったり、言語の思考よりも感覚のほうが心地よい人である場合。このケースは、目立って話すことが増えるようにはならないかもしれません。でも、そういう口数の少ない子だって、いろいろ感じたり考えたりはしていますから、伝えたいことがある時にそれを口にしてくれる関係性を築いておきたいもの。
大人でも話すことに苦手意識がある人は、大事な話もなかなか切りだせなかったりしますよね? 子どもならなおさらのこと。どう話したらいいのかよくわからないけど、話せばきっとわかってくれる、という信頼関係があれば、本当に困った時や辛い時に口を開いてくれるでしょう。
ということで今回は、あまり話してくれなかった子の話を、「聴けました!」と報告してくださったあるママの経験談をシェアしますね。
Aさんのお子さんB子ちゃんは、普段あまり幼稚園での出来事を話さない子だったそうです。
それが、年長さんの5月になってから、転入生の子と仲良くなり、その話をよくしてくれるようになりました。
「きょうC美ちゃんと、遊んだよ」
「C美ちゃんとかけっこしたんだよ、それからね、お砂場でも遊んだよ!」
「私、毎日ほんとうに楽しい!幸せ!!」
毎日お迎えに行くとそれはそれは嬉しそうに話してくれるようになり、Aさんもとても嬉しく思いました。
これまで話さなかった子が、嬉しい話をしてくれるようになったら、もうそれは笑顔で聴いてあげるだけでOKです。
「そっか~、楽しかったんだね!」とその気持ちを受け止めて一緒に味わってください。
「B子の楽しいお話聴くと、ママも楽しいな」と、ひとしきりお話が終わった後に、こちらの気持ちを伝えてもいいですね。
もしかすると、つい、あれこれ質問したり、自分の話をしたり、注意事項を言いたくなるかもしれませんが、お子さんの話したい内容、流れ、量に寄り添って、頷いたり相槌をうったり、時々オウム返しをするくらいがちょうどいいのです。
「他には誰がいたの?」とか「お砂場の次は何したの?」とか、「あとで手は洗った?」などとお子さんが話したいこと以外の話題をふらないのがコツです。
お子さんが話したいタイミングで、話したい内容を話してくれた時に、一緒にその気持ちや光景を感じ取って聴いてみてくださいね。
幸せそうなB子ちゃんの話を楽しみにしていたAさんですが、ある日、B子ちゃんは悲しそうに言いました。
「私、嫌われた。もう幼稚園行きたくない!」
それっきり、何を訊いても答えてくれません。
こんな時は、どうしたらいいでしょう。
Aさんは、気になって仕方がありませんでしたが、「訊く」のではなく「聴く」体制で待ちました。
質問するよりも、話してくれたことをオウム返ししたり、ゆっくりと、間を作って、話してくれるのを待つのです。
「…嫌われちゃった、って思ってるの?」
「…ピー」
B子ちゃんは、おもちゃの笛を口に当てて、音で答えてきました。
Aさんは一瞬イラッとしました!…こっちは真面目に訊いてるのに!答える気がないってこと?
でも、すぐに違うことにも気づきます。…この子は、笛で、答えてるんだ。
毎日あんなに楽しそうに嬉しそうに話していたC美ちゃんとケンカしたとしたら、今どんなに悲しくてショックだろう。
言葉にはならないけど、やり場のない気持ちを抱えているんだろうな。Aさんはその気持ちを受け止めてあげたいと思いました。
「嫌われちゃったC美ちゃんに会うのつらいから、幼稚園に行きたくないって思ってるの?」
「…ピー」
Aさんは反射的にまたイラッとしましたが、いやいや、これは返事なんだと自分に言い聞かせて、もう少し待ちました。
「そうかぁ。毎日遊んでたのに、遊べなくなったら悲しいものね。C美ちゃんのこと、大好きだものね」
沈黙の中しばらく待っていると。
「…あのね…」
B子ちゃんが、笛を置いて話し始めたのです!
年長さんのお話は、主語がなかったり時系列が前後したりで、なかなか難しかったのですがAさんは丁寧に聴いていきました。
時々要約して確認しながら、想像で補いながら、幼稚園で何か行き違いがあったのかな、といういきさつが見えてきたころ。
「それで、嫌われちゃった、って思ったの?」
と訊いてみました。
するとB子ちゃんは
「うん、私、明日C美ちゃんにきいてみる」
と答えたのです。
「嫌われたのか、C美ちゃんは何がいやだったか、直接気持ちを確かめてみたいの?」
「うん、確かめたい」
「そうか、じゃあ、明日訊いてみようね」
B子ちゃんは、キラキラとした目で頷きました。
Aさんが後日そのことを私に報告してくれた時、本当に感動が伝わってきました。
「あんな小さな子どもでも、気持ちを出し切ったら、自分で解決策をみつけたんです!」
「よく、最後まで聴いてあげられましたね!」私も感動しました。
「はい!笛にイラッとしましたが、ここは聴くぞ、と決めて頑張りました!」
Aさんはブライト・リスニングの講座で、「自分が知りたいことではなく、相手が話したいことに寄り添って聴く」ということを学んでいるので、それを実践してみたのでした。そして大人とやる実習と同じように、幼い子どもがちゃんと自分自身の答えをみつけたことに感動していたのです。
なんて素敵な報告でしょう!
B子ちゃんは、嬉しい話は、ママに分かちあいたい!伝えたい!という気持ちで話してくれるでしょう。
悲しい話、困ったことも、話すことで解決できることを知っていたら、きっとつらくても話し出してくれるでしょう。
子どもの成長を見守りサポートしたい私たちは、こんな関係性を子どもとの間に築けたらいいですよね。
話すこと、聴いてもらうことは、単なる体験を「経験」に変える力を持っています。その出来事が、自分にとってなんだったのか。自分はそこからどんな気づきを得たのか。これからどうしたいのか。
子どもたちには、いろんなことをいっぱい体験して、それを経験として自分の財産にしていってほしいですね。
「話してくれない子」の話を聴くには、珍しく話してくれたことがあった時に、しっかりと聴いてあげることが大切です。
Aさんがした聴き方のまとめです。参考にしてみてください!
・嬉しさを分かち合う。一緒に味わう。
・相手が話したいことを話し切るまで、自分の知りたいことで質問攻めにしない。
・悲しさを受け止める。共感しながら気持ちを出すサポートをする。
・どうしたいか、が出てくるのを待つ。
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高橋 ライチ 【コミュニケーション・カウンセラー】
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子どもたちには、幸せになって欲しい!ママたちの共通の願いですね。豊かなココロを育て、人とつながる「コミュニケーション力」を育み、社会へ送り出しましょう。ブライト・コミュニケーションを実践していくと、ママの人間関係もぐっとラクに楽しくなりますよ。