「子どもを褒めるコツって?」「褒める子育ての落とし穴!」と2回続けて褒めることについて書きましたが、実は、褒めなくちゃと気にするよりももっと大切なことがあります。褒めるとは、その大切なことの中の一部なのです。今回は褒めるよりもっと大切なことについてお伝えしますね。
最近よく言われる「自己肯定感を育てよう」というフレーズ、聞いたことがありますか?
自己肯定感とは、簡単にいうと自己を肯定する、つまり自分自身をOKだと思える感覚のことです。この感覚を持っていないとどうなるのでしょうか。
必要以上に人の評価を気にする、萎縮してしまい対等な人間関係を築けない、やりたいことにチャレンジできない、小さな失敗から立ち直れないほどダメージを受ける…などの原因は自己肯定感が低いからだと言われています。
私自身は、「本当の気持ちが伝えられずに我慢しつづけて、耐えられなくなり関係が破綻する」というパターンを持っていました。また最初から傷つかないように人付き合いを避けて孤独感を抱えている人もいます。自己肯定感の低さは引きこもりやニート、DVなどの社会問題に密接につながっていると考えられています。
その大切な自己肯定感の種は、子どもの頃からの人との関わりの中で育てられます。褒めるというのも、この自己肯定感を育てるための栄養のひとつです。
日常的な関わりの中で、最も基本となるのは「関心を持つ」ということです。本来は、今この子が何を思って何をしたのか?に関心がなければ褒められませんよね。でも、うっかりそこをすっとばして褒めることだけをやってしまうこともあるのです。普段関心を向けてないのに、外部評価に乗っかって褒めるというやり方です。
「テストで100点とったの、偉いね」
「ピアノで3曲進んだの、すごいね」
「サッカーのレギュラーになれたんだ、頑張ったね」
ひとつひとつはもちろん、一緒に喜んであげてよいことです。でも褒めるポイントがいつもこういった目にみえる成果「だけ」だったら、どうでしょう。普段の頑張りや葛藤や挑戦する気持ちを共有していなくて、こういう時だけ褒めてもらえるなら…。子どもたちは頑張って成果を出そうとするかもしれません。成果が出ないときには、自分はダメだと思うかもしれません。もっと頑張らなくちゃ、褒めてもらえない。
以前の記事「頑張りすぎをやめるには?」のところでも書きましたが、大人でもこの感覚を強く持っている人はたくさんいます。頑張らない自分、頑張れない自分はダメなんだ、という感覚です。頑張らなくても、自分自身の存在そのものに価値があるんだ、と思えたらきっとラクになるでしょう。
「関心ってどうやって持つんだっけ」というくらい、なんだか追い立てられるような毎日になりがちなのが子どもとの暮らしです。
早く起こして早く支度させて洗濯物干して栄養バランス考えた朝ごはん残さずお行儀よく食べさせてお友だちと仲良くさせて外遊びもさせて習い事も気になるし洗濯物取り込んでああ、前の日のもたたまなきゃ、ていうか夕飯何にしよう?早く食べ終わってお風呂にいれて早く寝かさなきゃ、ああ、おもちゃが出しっぱなし…。
母親がひとりで抱える仕事が多岐にわたり同時進行なうえに、休みない繰り返しでこれといった「成果」がみえづらい。気を抜くと「結果」取り返しがつかないことにもなりそう。一言でいうと「責任が重い」と感じる人が多いのではないでしょうか。
この、成果を気にするあたりが、私たちが子どもの頃から成果を評価され続けてきた「結果」かもしれませんね。
追い立てられるような日々に気づいた時にはいったん立ち止まって! ひとつひとつの「やらなくちゃ」に対して、目的を考えること。そしてプロセスそのものを味わう・楽しむことを思い出してください。
目的を考えることとは、例えば早寝早起きならばどんな目的でそれを大事にしたいのか?を考えます。早寝早起きの目的が健康だとすると、目標はどこにあるのでしょう? 我が家の健康の目標は、「毎日機嫌よくやりたいことができる元気」「たまには風邪くらい引くかもしれないけど、数日で回復できるくらいの体力」という感じです。
目的と目標がハッキリしたら、現状はどうか、とその方法はほかにもあるか、など考えてみます。うちは遅めの夕飯なので、その後ゆったり過ごすと就寝時間も遅くなりがちです。それでも今のところ目標としている健康が得られているので、早寝早起きをさせることにそれほど焦っていません。世の母たちでしっかり早寝早起きを心掛けている方たちを尊敬していますが、できていない我が家を悲観するほどのことでもない、と思っています。
さらにプロセスを楽しむとは例えばこんな感じ。「今日もいっぱい遊べたから、ぐっすり眠れるね、健康って素晴らしいね」という日々の感謝や喜びを口に出して子どもとともに味わうのです。
熱が出て長引くような時にも「お熱があるとしんどいね。遊べなくてつまんないね。早く元気になりたいね」と健康を望む声掛けをしながら、消化のいいものを食べさせたり汗をかいたものを着替えて「すっきりしたね!」と小さな喜びを共有する。保育園や幼稚園に行けるまで回復したら「やっとお友だちと遊べるね!!やった!!!」と大きく喜ぶ。
こんなふうな、その時々の「今」に気持ちの寄り添いとコミュニケーションがあると、「関心を持っているよ」「大切に思っているよ」「あなたの健康を願っているんだよ」というメッセージとして子どもに伝わっていくことでしょう。
スケジュールやすべきことにとらわれてしまう関心の矢印を、よいしょ、と子ども本人と日々の成長のプロセスに向けてみると…。
子どもとは、まあなんて魅力的で面白い存在だろうと、私はよく感動します。
「いいこと思いついちゃったの?嬉しそうだね~」
「そうか、ママはこう思ってたけど、あなたはそう考えるんだね」
「さっきこうすればよかったって、ちょっと後悔してるのかな?」
関心を向けて、面白がる。気持ちに寄り添ってコミュニケーションすることで「あなたはとても大切な存在なんだよ」と伝えることができます。その時、親である私たちの心にも、喜びがじんわりと広がっていきます。そう、コミュニケーションがうまくいっている時、お互いの心は温かく静かな喜びに満ちているのです。
子育ては山登りのようなもの。山登りの醍醐味は頂上の一瞬だけではないですよね。登る道々で感じる森の空気、まぶしい緑、足元の小さな花、すれ違う人との挨拶、水筒の水が美味しいこと。すべて味わいながら登らないと、もったいない。子育ても、大変で息切れする時はあるけれど、道々その景色を楽しんで、深呼吸しながら味わえたらいいですね。
ココロの声を聴く、聴き方。
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合言葉は、人生をおいしく・楽しく・美しく♪
高橋 ライチ 【コミュニケーション・カウンセラー】
記事テーマ
子どもたちには、幸せになって欲しい!ママたちの共通の願いですね。豊かなココロを育て、人とつながる「コミュニケーション力」を育み、社会へ送り出しましょう。ブライト・コミュニケーションを実践していくと、ママの人間関係もぐっとラクに楽しくなりますよ。