「魔の2歳児」なんて言葉があるように、2歳になるあたりから、とにかくなんでも「イヤ!」と言う時期を迎えるお子さんが多いですね。そういうものだと知ってはいても、四六時中それにつきあう母たちのストレスは相当なもの。
たとえば、こんな風景です。ご飯の途中なのに「お外がいい」、と言い出してもう食べない。それではと切り上げてざっと片付け、せっかくお散歩に連れ出そうとしたのに靴を履く時になって、右足からがよかったのか、うさぎちゃんのついてる靴がよかったのか、自分で履きたかったのか、よくわからない理由でひっくり返って大泣き。挙句、靴をあきらめてカバンにいれて、子どもを抱っこして外へ連れ出し、エレベーターのボタンを押せば「押したかった!!」。しまったと思って押しなおさせようとしてももう遅い。泣き叫ぶ子どもを抱え、「なんか私、虐待してるって思われないかしら…?」マンションの住民とすれ違うのが気まずい。「もうつきあいきれない!泣きたいのはこっちだよ!!」と言いたくなりますよね。
そんなイヤイヤ期のお子さんへの対応、うまくいってるよ~という方がいらしたのでご紹介します。2歳の男の子Yくんのママ、Tさんの体験談です。
Tさんは2歳のお子さんに、ブライトリスニング講座で習ったオウム返しを試してみたそうです。相手が言った言葉をそのままオウムのように繰り返すシンプルな方法です。
自転車で走っている時のこと。「バス乗りたい!」というYくんに、Tさんが「今日はバス乗らないよ。自転車だよ」と答えると「バス乗りたい!バス乗りたい!バス乗りたい!」というYくん。そこでTさんはふと「バス乗りたいなぁ」と繰り返してみたそうです。すると、Yくんは「うん。」と言って黙ったのです。
また別な時。水ぼうそうの治りかけで「かゆい~」とつらそうなYくんに「お薬塗る?」「かいちゃだめだよ」などと相手をしていたら「かゆい~かゆい~」とエスカレートしてしまったそうです。その時もTさんが「かゆいなぁ」と返すと「うん。」とおさまったそうです。かゆさは変わらないはずなのに!
Yくんのココロに、どんな変化が起きているのでしょう?
コミュニケーションにはいろいろな効果があります。その一番基本となる部分が「理解」です。「あなたが今、何を言ったのかわかったよ。理解したよ。」と伝えるシンプルな方法が「オウム返し」なのです。
理解のほかに、受容、承認、共感なども示すことができます。どれも、コミュニケーションしたときに得られないとがっかりしてしまいますね。わかってもらえて、受け止めてもらえて、その気持ちを認めてもらえて、そして、共感してくれたら、とても嬉しいものです。
もしまだうまく言葉にならないお子さんなら、代弁してあげることも効果的です。エレベーターでの例ではこんな風に言えます。「自分でボタンを押したかったのね、先に押しちゃってごめんね」「押したかった~」「押したかったねえ」と、お子さんが、代弁されたことを繰り返してしばらく泣いたとしても、こちらも繰り返し、その気持ちを受け止めてあげる。そのうちに、しっかり受け止めてもらえたと感じると気が済んでおさまるようです。
オウム返しが失敗することもあります。「マネしないで!」と言われるかもしれません。そんな時は、反射的・機械的に返してしまったのかも?言葉を返すことに一生懸命にならないことがコツです。伝えたいのは、理解、受容、承認、共感の気持ち。言葉を返すのでなく、ココロを受け止めて、返す。そんな気持ちでやってみてくださいね。
また、先の例でもあったように、自転車に乗ってるのに「バス乗りたい」と言われるような時、律儀に「今日は乗れないよ」と返す必要はないのです。子どもが求めているのは、正しい答えや理由でなく、まずはココロのやりとりなんです。(もう少し大きくなると、その次に理由を話すと納得するようになります)
大人に置き換えるとこんな感じです。共感してほしい妻に、解決のアドバイスをしてしまう夫、なんて図式を思い浮かべてください。私たちは、わかってほしいだけなのに、「じゃあやめれば」とか「そういう人にはかかわらないほうがいいよ」なんてアドバイスされると、なんだか自分の気持ちのやり場がなくなってしまう。自分が至らないような間違っているような気持にもなってしまう。ただただ聞いてくれて「そうか、そんなことがあったんだね」「大変だったね」と共感してくれればいいだけ。わかってもらえた、それだけで気持ちが軽くなって、気が済むことってありますよね。
子どもの、うまくいかないイライラする気持ちを、受け止めて、理解と共感をこめて返してあげてみてくださいね。
イヤイヤが出るのは、自我の芽生えといわれます。ママと一体化してお世話をしてもらって当然だった時期から、自分の意志がはっきりしてきて「ずれ」を感じ始めるのです。母親から自立して、新しいステージに進む段階なのですね。でもまだうまく表現できない部分、を補って、やりとりをしていく。気持ちを口にすると、そばにいる人がわかってくれるという体験を積み重ねていくのです。子どもの意志と意欲を育て、周りの人とのあいだに信頼を育む。そのための、コミュニケーションができるといいですね。
イヤイヤ期は、ママにとって「ストレスフルな我慢の時期」ととらえがちですが、見方を変えれば、「子どもの成長を見守り、サポートできる、とてもやりがいのある時期」ともいえるのです。
お子さんが、しっかりとした意志と意欲を持ち、周りの人を信頼しながら育っていくことを想像すると、とても頼もしく喜ばしく感じられませんか?
先を見据えて、この時期も楽しみながら過ごせるといいですね。
「こんな時、どうコミュニケーションをとったらいい?」というテーマを募集しています。
一緒に考えていきたいと思います。
お子さんとのことに限らず、ママ友、ご近所、親きょうだいとのことでもOK。
お気軽にメッセージくださいね!
お待ちしています。
ブライト・コミュニケーションの体験会を行っています。
高橋 ライチ 【コミュニケーション・カウンセラー】
記事テーマ
子どもたちには、幸せになって欲しい!ママたちの共通の願いですね。豊かなココロを育て、人とつながる「コミュニケーション力」を育み、社会へ送り出しましょう。ブライト・コミュニケーションを実践していくと、ママの人間関係もぐっとラクに楽しくなりますよ。