ほめ方しかり方 育児・しつけ 子育て応援隊のズバリ!アドバイス
11歳男児です。幼稚園の頃から病院で口を開けるのを嫌がるようになり、年々ひどくなっていき、なんとか治療できていた虫歯も、3年通った歯科医院でも、小2で口を開けなくなったので「これでは診察できない」と言われ、帰されました。
先日かかりつけではない耳鼻科に行ったところ、やはり口を開けず、頭を抑えられたところ、体をのけぞらせて拒否し、先生の腕をつかんでしまい、怒られて帰ってきました。3年前に慢性の副鼻腔炎になってから、治療が終わっても臭いと痛みに敏感で、病院では「今度こそ痛いことをされるかも」と言って、本当に痛いのかさえ言いません。
普段は聞き分けがよく、勉強も頑張っており、同級生の代表になったりもしますが、病院では口は開けません。かかりつけの耳鼻科ではなんとか我慢しているようです。こわがりなところもあります。年々ひどくなっていくので心配です。このまま様子を見ていていいのか、病院に行く場合はどの科に行ったらいいのかわかりません。よろしくお願いいたします。
11歳という年齢で病院全般が嫌いとのこと、お子さんにとって良いことではありません。
この先大人になってから、体が出す危険サイン(痛みや熱、咳などの症状)を我慢して病院に行かないことが心配されます。
私は歯科医ですので、怖がりの子どもに会うのはもちろん、大人でも恐怖心が強くずっと歯の治療をしていなかった方にときどきお目にかかります。そのような場合、多くの歯を失い、「もう少し早く治療しておけばよかった…」の声をきくことが少なくありません。
お口は大切な内蔵器官への入り口なので、動物として反射的に守ろうとします。お口を無防備に開けることができるのは、相手を信頼する気持ちがあってこそ。
ですから、はじめはどなたも歯科の治療で恐怖心があるのは当然です。子どもが自分の考えをはっきりもって表現できる3歳ごろになると、恐怖心の強い場合は治療に抵抗します。
でも、その治療が自分に必要であること(良い方向に向かうこと)、少しの我慢はできること、そして頑張ったことでほめてもらい、自分が成長したと感じられることで、通常は少しずつ治療が可能になり笑顔で帰ることができます。
残念ながら、お子さんはどこかで医師や医院スタッフとの信頼関係が持てず、自分を守るためには治療を受けないことを選択したほうがいいと学んでしまったのでしょう。
例えば、歯や耳の治療は少なからず痛みや不愉快な感じがあります。それを「痛くないから」とか「見るだけだから」といった言葉で大人がごまかしながら治療してしまえば、お子さんは「嘘をつかれた」と感じて、その後の大人の言動は信用されません。
お子さんは無意味に恐怖心をもっているわけではありません。何に恐怖を感じるのか、どんなふうにしてくれるならがんばれそうか、お子さんの気持ちを受け止める必要があるように思われます。
かかりつけの耳鼻科では我慢できるとのことですから、そこには信じられる何かがあるのでしょう。
他の医院でも「大丈夫」と感じられるように、まずお勧めとしては健康でも(虫歯がなくても)通える歯科医院で医師との信頼関係を回復する練習をしてはいかがでしょうか?
ただし、そのようなお子さんへの心配りをしてくださる医院を選ぶ必要があります。歯のクリーニングのみでも時間をとってお話をしてくれること、本人の納得を待って処置をするよう配慮してくれることが大切です。
年齢的に考えて時間はかかるでしょうが、「大丈夫」と思える場所がたくさんになれば、お子さんの恐怖心が薄れるのではないかと思います。大切な体を自分で守れるように、見守りながら一緒に頑張ってあげてください。
医師 歯科:岡本 千春
2011年9月30日
11歳の坊やが歯科や耳鼻科受診でお口を開けるのを嫌がるのでお困りなのですね。坊やは、においや痛みに敏感で、それも年々ひどくなっていくようなので心配していらっしゃるのですね。
坊やは、もともと感受性の強いお子さんなのだろうと思います。頭の中から、痛かった、恐かったという過去の記憶がなかなか消えていかないのかもしれません。
受診に付き添う親としては、「この子の虫歯(副鼻腔炎)を治してあげたい」「おとなしく治療を受けてよ」というのが素直なお気持ちだろうと思います。でも、お子さんのほうは、「痛い」「恐い」という観念に襲われたとしたら必死なのでしょう。
この場合、親の気持ちを一方的に押し付けるのではなく、ひとまず、「この前は痛かったの?」とか「恐いんだね」などとお子さんの気持ちに寄り添うような言葉をかけてあげるのがいいのではないかと思います。
お子さんにしてみれば、自分の感情が他の誰からも認めてもらえないのは、このうえない苦痛でしょうから。じゅうぶんにお子さんの感情を認めたうえで、なんとか我慢して治療に協力するよう説得されてみてはいかがでしょうか。
なお、坊やのような「こわがりさん」が診断名をもらいたくて受診されるなら、小児神経科、小児精神科あたりではないかと思います。
坊やに、もしも何か診断名がついたとしても、それは、あくまでも坊やの日常生活を快適にするため便利に使うべきものであって、重視しすぎないことが肝要だと思います。このときの診断名は、あくまでも「個人の身体と精神の医学的特徴を言い表したもの」で、診断名を言い換えれば、ただの「こわがりさん」だからです。
受診されれば、そのような「こわがりさん」への対応が上手な歯科医院を教えてもらえるかもしれませんね。
臨床心理士:もとアリジゴク
2011年9月30日
診察時の息子さんの態度は、11歳という年齢を考えると親として不安な気持ちを持ってしまうかもしれません。
お子さんの様子から、「治療の際、かなり怖い思いをしたのではないか」と私は感じました。情報が足りないので断定できませんが、もしそうならば、まずは怖い思いをした息子さんの気持ちに共感してあげる必要があります。
つらい治療を頑張って受けていることを認めてもらうことで、治療が自分にとって重要かどうかを考える余裕が生まれるのではないでしょうか。
「口を開けたくないのはなぜ?」と問いかけ、本人の口から出てきた言葉を否定せず、丸ごと受けとめてあげましょう。
そして返事をもらったら、頑張っていることを褒めてあげましょう。必ず本人の返事があるまで待ってあげてください。せかさずに、ひたすら待ちます。
子どもが自分で説明をすることがとても大きな鍵です。その上で本人が納得するかたちで治療を受ける方法を、親子で考えてみたらどうでしょう。試してみてください。
心理カウンセラー:番長
2011年10月 3日
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