まなび 育児・しつけ 子育て応援隊のズバリ!アドバイス
先日、帰りのバスの中で年長の子にピアニカを壊されたと言うのです。「嫌な事をされたらその場で言ったほうがいいよ」と言うと、「怖くて言えなかった」と泣いてしまいました。とりあえず担任の先生に電話で伝えたのですが、そのような事実はないとのこと。再度娘に聞くと、自分で壊したと言いました。
こんな嘘は初めてだったのでとてもショックを受けています。子どもの嘘は嘘ではない、と聞いたことがあります。実母に話すと私に問題があったはず、と言われ再度ショックを受けました。
子どもに嘘をつかれると、信じていたのに裏切られたような、ショックな気持ちになりますよね。ただ、子どもの「嘘」というのは、大人の付く嘘、大人がイメージを持っている嘘とはまったく別のものなので、将来大丈夫だろうか?とか、すごく裏切られた…といった心配は、されなくても大丈夫ですよ。
お子さんの「嘘をついたこと(行動)」よりも「そうすることでどうしたかったのか?(目的)」という、目的の部分を考えてみてあげてください。そうすることで、どう接したら良いか?と言う部分も見えてきやすくなります。
もしかすると、とっさにそういってしまったのかもしれません。もしかすると、正直に言ったら怒られてしまうと感じたのかもしれません。もしかすると、お母さんを悲しませたくないと感じたのかもしれません。もし、お子さんが正直に、ピアニカが壊れた(壊した)と言ってきたら、どういった反応をしましたか?
大人の視点から見ると、自分のことを守るため、怒られないために嘘をついてずるいと感じるかもしれません。だけど、子どもにとっては、経験が少ないために、どうしたら良いか?というのを、もっている知識の中で、試行錯誤しているところなんですよね。
自分の身を守ろうとすることは本能ですので悪いことではありません。お友達のせいにしてしまったのも、悪意があるわけでは無いんですよね。だから、これも成長していく上で大切な体験となっていきます。
嘘をついたことで、うまくいけば、次もそうしようと思うかもしれません。失敗したら、もっとうまく嘘をつこうと思うかも知れません。子どもは、経験や体験を通してたくさんのものを、学んでいきます。嘘をつくことは、不適切な行動ですが、適切な行動を取れるよう、援助をしてあげられたらと思います。
自分に問題が…といわれてしまうと、ショックですよね。誰かに責任を負わせてしまうのは、周りにとって簡単な解決方法ですが、その本人は辛いですね。そして誰かを責めても、根本的な解決法ではなかったりします。
そして、子育て・人間関係というのは、こうしたらこうなるなんて物は無いですから、もし、不都合なことがあったら、その時、それを変えれば良いんです。ご自身を責めないでくださいね。
子どもにも言えることですが、不適切な行動をとったとき、それを責めて反省することよりも、次にもっと適切な方法をとることです。もっと良い方法をとるということに、エネルギーをたくさん向けてあげてください。
ちなみに、心理学上は「強化」というんですが、注目すればするほど、その行動が増えるということもあります。「勉強しなさい!」って何回も行ってるのにしないんです、とよく聞くのは、そのためなんですよね。
だから、困る行動(不適切な行動)よりも、適切な行動(当たりまえと感じるかもしれません)にたくさん注目してあげてくださいね♪
そして、同じように、この子は嘘をついて心配だ、と思うよりも、この子は大丈夫だ!と思っていると、その気持ちが伝わって、本当にそうなっていきますよ。
公認心理師:ふみ
2006年7月27日
㈱児島教育研究所代表取締役、全国認可保育所東京都認証保育所協会副会長・小規模保育部会長、江戸川区小規模保育所連絡会会長、江戸川区児童発達支援連絡会会長、元日本個人心理学会常任理事。保育士として働く中で、子ども達の気持ちを受け止め、一人一人と向き合う保育がしたいと保育園を立ち上げたのがスタートで、現在は小規模保育所にっこりハウスの園長として乳児期の保育や保護者支援に関わる他、学童保育や、児童発達支援・保育所等訪問支援にっこり相談室を運営し、発達障害や気になる子どもの支援、心理カウンセラーとして、子育て相談や保護者や保育者向けの研修、ひきこもりやニートや非行少年の支援等子どもたち全般に関わる活動をしています。子どもって、本当に純粋でまっすぐな心を持っているんですよね。それゆえに時として困った行動となって現れることもありますが、少しでもその思いを伝えることができ、子育てを一緒に楽しんでいけたらと思っています。
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