はみがき 育児・しつけ 子育て応援隊のズバリ!アドバイス
虫歯について教えて下さい。7ヶ月でまだ歯が生えていないのですが、ミュータンス菌に感染するのでしょうか?
また、何歳までミュータンス菌に感染しなければ、生涯感染しないでいられるのでしょうか?
赤ちゃんへのミュータンス菌の感染は、お母さんから食事の口移しなどで感染すると言われています。
およそ3歳ごろまでに感染しなければ、口腔内の常在菌のバランスとしてミュータンス菌がほとんどいない状態を作ることができると考えられています。
歯がない時期でも感染しますが、通常は離乳食が始まる頃から感染の機会が増えるものと思われます。
なお、唾液を介しての感染ですので、キスすることでも感染の可能性はあります。
さて、このようにミュータンス菌については感染を防ぐことで虫歯になりにくいお口の環境を作ると期待されていますが、はたして長い目でみてそれが本来のお口の健康にどのくらいプラスなのかは明らかではありません。というのは、お口の中には様々な常在菌が住んでいるからです。
ミュータンス菌が少なくなることで他の菌のバランスがどのようになるか、たとえば歯周病菌の勢力はどうなるかなどはまだ解明されていないようです。
最近、虫歯予防の観点からミュータンス菌の母子感染を防ごうという傾向があります。これによって、逆にお子さんが虫歯になるとお母さんが「感染させた」ことになり、罪悪感をもたれる場合があるようです。
私個人としては、虫歯がないのは素晴らしいと思いますが、ゼロでなければという風潮には少々疑問をもっています。
虫歯は原因菌の存在と共に、歯の強さや唾液の性質、食事や間食、飲み物の摂りかたなど様々な要素が関わってできます。一生懸命歯磨きしていても虫歯ができる場合もあれば、全く歯磨きしなくても虫歯ゼロのお子さんもいます。
お子さんの歯が虫歯になる、それは決して喜ぶことではありませんが、「この子は虫歯になりやすいんだよ、ちゃんと守らないと大人の歯も虫歯になっちゃうよ~!」と教えているととらえてはどうでしょう。
乳歯はほとんどの場合、いつの日か抜け去るもの。体を張ってお口の危険信号を発信している、とてもありがたい存在なのです。
けなげな乳歯くんたちのサインをしっかり受け止め、お子さんがおいしく食事が食べれられて素敵な笑顔の大人になるよう、ご家族と歯科医院とが一緒にお口の健康をサポートしていけたらいいなあと考えています。
ですから、お子さんへのキスや口移しも、そうしたいと思う親心があるならそれでいいと思います。
医師 歯科:岡本 千春
歯科医。専門は矯正歯科。「おもしろいと思うことをする」がモットー。現在ヘルスカウンセリングを勉強中。
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