嘔吐・下痢 子どもの病気 子育て応援隊のズバリ!アドバイス
2歳の男の子ですが、3週間以上も下痢の状態が続いています。下痢の回数は1日3回ほどで液状(粘りのある)になったりペースト状になったり、で食欲はほどほどにあり、嘔吐も無く本人は割と元気です。
小児科にも3度行きましたが、「嘔吐のない1日6回以下の下痢は心配なく、本人も元気で体重減少もないようならこのまま放っておいてもある日突然治ったりする」と言われました。
しかしながら、下痢止めの薬を飲み続けても一向に治る気配がなく、この季節(12月)、併せて風邪も引き始めてしまい、現在は発熱(38度代も伴い食欲も無くなりました。下痢の原因が風邪なのかなんなのか分からない状態にあります。
このまま様子を見続けて大丈夫なのでしょうか?(下痢が1ヵ月近くも続いて薬も効きませんが心配無いのですか?)
下痢の原因として最も頻度の高いのは感染性胃腸炎、所謂、嘔吐下痢症です。原因の多くはウイルスで、秋から冬は最も多い時期です。症状は嘔吐・下痢・発熱です。最も大切な点は、これらの症状が病原体を消化管から体外へ追い出す免疫反応だということです。
嘔吐や下痢で追い出せず、消化管で増殖した病原体が血液に侵入しようとした時に、現れる症状が発熱です。発熱により、病原体の増殖が抑えられ、免疫も高まります。
問題は、これらの症状を如何に上手に使って病原体を追い出すかということです。最悪の場合が便秘です。便秘とは下痢を拒否することですから、病原体を追い出す方法は、発熱と嘔吐に集中することになり、しんどいばっかりです。
その逆が、下痢です。きちんと下痢できれば、胃で処理できなかった病原体を素通りで外に追い出すのですから、発熱する必要がなく、また、嘔吐する必要もなく、最も楽な治し方です。もちろん、嘔吐する必要はないとは言え、食欲に任せて食事すると、余計な嘔吐をするか、あるいは、余計な下痢をします。
したがって、感染性胃腸炎は、今回のように、下痢で直すのが正解です。その大事な下痢をわざわざ止めるのが下痢止めですから、病原体を追い出すのを邪魔することになり、結局、余計な下痢をだらだらとすることになります。
下痢止めに頼るのではなく、食べ方・飲み方を工夫してみてください。
食欲の七八分目にしておく、どうしても食べたがったり、飲みたがったりする場合は、一度に摂取せず、時間を置いて分けて摂取するなどの工夫が必要です。
特に、直りかけは食欲が回復してきますが、4メートルもある腸の回復にはどうしても時間かがかかります。病原体を追い出す大切な下痢はそのまま続けて、余計な下痢を上乗せしないように、食欲に任せた食べ方をやめて待つという姿勢が大切です。
全身状態は良いようですから、同じような症状を示す異なった感染性胃腸炎を繰り返している可能性もありますが、すべきことは同じです。下痢で取られるのは水分であって、栄養ではありません。
下痢が目立つときには、消化液を大量に要求される油っこい食事は避け、りんごシュース、イオン飲料、お茶を中心に摂取して消化管安静に努めることが下痢から脱出する近道です。
医師 小児科:横山 俊之
2003年12月 3日
小児科・アレルギー科・内科医。日本小児科学会専門医。多くの時間を過ごす家庭での保育・看護を詳しく説明。スローガンは「病名よりも病態の理解を!」、座右の銘は「鼻閉と便秘で風邪はこじれる」
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