アレルギー 子どもの病気 子育て応援隊のズバリ!アドバイス
風邪をひいて小児科で薬をもらっていたのですが、よくなったと思うと咳き込み、鼻水も繰り返し、鼻声が3週間続いていたので、鼻のレントゲンと鼻の粘膜検査をした結果、副鼻腔炎と診断されました。
抗生剤の入った薬を2ヶ月位飲み続けてくださいといわれました。こんなに長く薬を飲ませるのは抵抗があるのですが大丈夫なのでしょうか?
この薬に変わって10日くらい経ちますが、鼻水と鼻声は今のところ止まりました。ただ、朝薬を飲ませ忘れてしまった時、夜に咳き込みがひどくなり、夜の分の薬を飲ませ、ホクレナリンテープをはって、2時間くらいしたら落ち着きました。
副鼻腔炎でこんなに咳がでるものでしょうか?薬を1回飲まなかっただけで、こんなに咳がでるなんてちょっと心配です。副鼻腔炎はアレルギーの人がなるのですか?粘膜検査では好酸球が+でした。何が原因でなるのでしょうか?
成人の慢性細気管支炎は、気道炎症が基本的病態という考え方が定着しています。
抗炎症作用を示すマクロライド系の抗菌剤(商品名エリスロシンなど)を低用量で3-6ヶ月程度継続して服用することで改善することも分っています。この考え方は、空気の通り道である気道という意味で仲間となる中耳・副鼻腔にも当てはまることで、中耳炎や副鼻腔炎がなかなか軽快しない時にも応用されています。
したがって、かかりつけの先生の管理下に2ヶ月程度服用されることは問題ないと思います。
副鼻腔炎では後鼻漏と言って、前ではなく、咽喉に流れ落ちる鼻水が目立つようになり、飲み込み損ねると、気管に入るため、咳き込みます。
また、鼻詰まりのために、口呼吸をするようになり、初秋の朝夕の冷たい乾燥した空気を直接咽喉に吸い込むため、咽頭痛・声枯れ・気管支炎・気管支喘息と進行する場合があります。
成人ではイネ科の花粉症のピークを迎えていますが、小児でも3歳以上ならアレルギー性鼻炎を起こしやすい時候です。粘膜検査で好酸球+は、鼻アレルギー、さらに、気道アレルギーの存在を示唆する所見です。
風邪をひくと、鼻粘膜、気道粘膜が敏感になってアレルギーを起こしやすくなり、アレルギーが起こると、特に、鼻腔、副鼻腔、さらに気管支腔の狭窄・閉塞により換気不良となり、感染が起こりやすくなるという相互関係があります。
先ず、現在の治療と局所療法(時々、蒸しタオルを5-10分程度口鼻にあてがい、湿気のある温かい空気を吸わせてあげる)を続けて、副鼻腔炎、特に鼻閉を改善することが大切と思われます。
2ヶ月したら、治ってしまうというわけではなく、副鼻腔炎になりにくくなると考えてください。風邪をひくことを契機に、あるいは、気象状況によって、今後も副鼻腔炎を起こしやすい状況は繰り返します。
そのような場合は、今回のような治療を素早く開始して早めに改善するようにしてください。服用期間は次第に短縮できると思います。
基礎疾患としてアレルギー性鼻炎があれば、その治療もすることで副鼻腔炎の予防になります。
さて、治療効果が出ると、副鼻腔炎で詰まっていた分泌物が後鼻漏となって咽喉に落ちてきますから、一過性に見かけ上、咳が増えることもありますので、極端に激しくなければ治療効果と考えれば良いと思います。
但し、今回の場合は、ホクナリンテープ(気管支拡張剤)を貼って落ち着いたわけですから、軽度ながら、気管支喘息の合併があったと思われます。
医師 小児科:横山 俊之
2003年9月30日
小児科・アレルギー科・内科医。日本小児科学会専門医。多くの時間を過ごす家庭での保育・看護を詳しく説明。スローガンは「病名よりも病態の理解を!」、座右の銘は「鼻閉と便秘で風邪はこじれる」
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