感染症 子どもの病気 子育て応援隊のズバリ!アドバイス
11月末に溶連菌になり、10日間薬を飲み、その2日後再発。10日間別の抗生剤を飲み、その4日後尿検査をしに病院へ行き、喉の検査をしたら、また再発、またまた別の抗生剤を今度は1ヵ月間飲むように出されました。
その間2回程、尿検査をしましたが、異常はありませんでした。
溶連菌のキャリアという事を耳にした事があるのですが、キャリアとはどういう事なのでしょうか?病院で調べてもらった方がいいですか?
溶連菌と通常呼ばれるのは、A群β溶血性連鎖球菌(別名化膿連鎖球菌Streptococcuspyogenes)です。ヒトに感染症を引き起こす頻度が最も高い細菌の1つであり、抗原性の異なる80以上の種類があり、しばしば繰り返しかかります。
感染力が非常に強く、流行も見られます。1年に3峰性の流行を示します。12月から1月に最も流行し、次いで3月に流行、6月にも小さな山があります。
溶連菌のキャリアというのは、無症候性保菌者のことで、溶連菌がのどや鼻などに感染しているけれども無症状で同居している状態です。
キャリアの状態は、通常は1ヶ月程度で菌が消える場合が多いと考えられていますが、中には、数ヶ月間以上にわたって保菌し続ける場合もあります。
質問文中に「再発」とありますが、実際に症状が出ていたのであれば再発(正しくは再感染)ですが、無症状であって検査で菌が陽性だったのであればキャリアということになります。
キャリアに対する治療については、次のように考えられています。
(1) これまでに、溶連菌の合併症(リウマチ熱または急性糸球体腎炎)に罹ったことがある場合は、必ず、除菌のために、抗生物質を投与する。
(2) 家族内または居住している地域内で、リウマチ熱または急性糸球体腎炎が多発している場合は、必ず、除菌のために、抗生物質を投与する。
(3) 食品を扱う仕事に従事している場合は、(食品を介する集団感染の防止のため)、必ず、除菌のために、抗生物質を投与する。
(4) 産褥期の女性が入院している病棟の従業員は、(院内感染の防止のため)、必ず、除菌のために、抗生物質を投与する。
(5) (1)から(4)以外の場合、治療は必要ない。
(6) 感受性のある(効くという意味です)抗生物質で一度除菌治療を行なった後の培養検査で菌が陽性であった場合、(5)と同様。
溶連菌は、通常はペニシリン系の抗生物質が良く効きますし、それ以外の系統(セフェム系やマクロライド系など)の抗生物質も一般に有効です。
しかし、近年、薬剤耐性菌が増加しています。たとえば、ペニシリン系もセフェム系もマクロライド系も全て効かない溶連菌が同定された患者さんが、実際にあります。
治療に当たって、薬剤感受性検査という検査を行なって、どの薬剤がきちんと効くか、確認することが重要です。
医師 内科:宮下 和也
2002年1月23日
内科医。内分泌代謝・アレルギー・感染症が専門。親子の健康を守るため親切・丁寧な診療を心がけている。インターネット医科大学教授(甲状腺科および感染症内科)を併任。
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