ミルク 授乳・離乳食 子育て応援隊のズバリ!アドバイス
母乳やミルクを飲ませすぎているとは思わないのですが、よく吐きます。吐くことに不快を感じているわけではなさそうなので、特に心配はしていないのですが、吐くのは、飲む量とは関係ないのですか?
吐いても、本人が満足するまで飲ませた方がいいのでしょうか?
ミルクや離乳食の摂取量が全体的に適正かどうかは、現在の体重もさることながら、最近1-4週間における1日当たりの平均体重増加が最も重要な目安になります。
6ヶ月の平均体重・身長は7.9kgの69.2cmですので、現在の体重・身長は平均よりも少し小さめ・低めかもしれません。一方、6ヶ月における1日当たりの平均体重増加は15g前後確保できていれば良いです。
最近1-2週間で測定した体重のデータがあれば、今日の体重との差を求めて、経過日数で割り、平均体重増加を求めて見てください。
10gをきっている場合、体重増加不良傾向です。 吐乳については、体重増加不良があれば重要な意味を持つことになりますから、原因を調べることになります。
逆に体重増加が良好であれば、殆どは、一回哺乳量が多いためです。
ミルクや母乳は乳児期前半には絶対欠かせない栄養ですが、50%はカロリー0の水分で、同じカロリーを摂取するのに、倍量を飲まないといけないわけですから、6ヶ月以降の赤ちゃんには、かさばった飲み物となります。
すなわち、ミルクを飲めば飲む程、体重が増えるということはなくなります。その代わりに、量や種類は急には増えませんが、離乳食が進んで、ミルクの摂取量が少しずつ減ることが大切です。
今、一回何cc程度のミルクが飲めるのでしょうか。仮に、150cc飲めるとすると、体重が7kgですから、50kgの成人では、150x50/7=1070cc、すなわち、約1Lを一気飲みしていることになります。通常、成人は一回250cc程度飲めば、一息つけますから、7kgの赤ちゃんが一息つく量は、250x7/50=35ccとなります。
したがって、150ccの内、35ccが脱水を起こさないために必要な量で、残りの115ccが体重を増やすエネルギーになっていることになります。
もしも、吐乳しやすい状態だとすると、例えば、風邪で胃腸が疲れている時などは、この115ccが胃の負担となって嘔吐します。
とりあえずの対策としては、まだ、小さい胃にとって、現在の一回摂取量が負担になっている可能性もありますから、一気に150cc飲むよりも、75ccを2回飲むほうが嘔吐しにくいということになります。
また、飲んだ後の体位ですが、お母さんの左胸に赤ちゃんの頭があるようにして、上体を起こして、お母さんの方に抱き寄せるポジションを出来るだけ維持してください。
飲んだミルクや母乳は胃の幽門部から右下方向に流出して、十二指腸の方に流れて行きます。母乳をあげた時に右胸で飲ませて、そのままの体位でいると、飲んだ母乳が胃を通過し難いために、吐乳しやすくなります。
以上の点に留意して、一日体重増加を1-2週間で評価し、芳しくなければ、かかりつけの先生に相談してチェックを受けてください。
空腹時には、先ず、離乳食(コンパクトな栄養源)を出来るだけ食べてもらい、その後、必要最小量のミルクを飲むことで、ミルク(かさばった栄養源)の摂取量を少しずつ減らしていくこと、吐乳を避けるために、また、確実に栄養をつけるために、大切です。
医師 小児科:横山 俊之
2001年11月16日
小児科・アレルギー科・内科医。日本小児科学会専門医。多くの時間を過ごす家庭での保育・看護を詳しく説明。スローガンは「病名よりも病態の理解を!」、座右の銘は「鼻閉と便秘で風邪はこじれる」
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