予防接種 子どもの病気 子育て応援隊のズバリ!アドバイス
予防接種の日本脳炎についてなのですが、6ヶ月から接種できると聞いて、3歳までに受けさせたいと思っています。今1歳2ヶ月の娘です。3歳までに受けるとなると、ワクチンの量や効果は違うのでしょうか?
もし1歳で受けた場合、2期の接種はどうなるのでしょうか?やはり、早く受けることになるのでしょうか?
1960年代には、届出患者数が年間1000人以上あった日本脳炎は、その後、日本脳炎ウイルスを媒介するコガタアカイエカの主要な発生源である水田が減少していること、日本脳炎ウイルスの主たる宿主である豚の飼育場所か限局していること(周囲1km以内に豚の飼育場がなければ、感染豚からウイルスを運ぶ蚊が飛んでくる危険性が少ない)、さらに、予防接種が普及したこと等により激減し、1990年代の年間届出数は1桁(かなり稀な疾患)となっています。
このような状況で、日本脳炎の予防接種は、標準的には3歳からの接種が指示されています。上記のように、患者数が激減していることが最も大きな理由ですが、その他、一般に、日本脳炎ワクチンのような不活化ワクチンは、低年齢であるほど、抗体産生が芳しくないこと、乳幼児は行動範囲が狭く、蚊に刺されるような場所へ1人で出歩くということは考え難いこと、などもあげられるでしょう。
但し、患者数が0になったわけではなく、また、実際に、ワクチン接種していない子供を追跡すると、小児期に感染し、発病はしないで抗体が上昇している方が認められます。日本脳炎は、ウイルスが感染しても、発病が1000人に一人と低率であるために、目立たたない疾患となっているわけです。
しかし、一旦、発病すると、特別な治療法は依然としてなく、死亡率や後遺症を残す率も高い病気であることも確かです。
現在、3歳から接種することで、特に問題は起こっていませんが、万一に備えてと考えれば、あるいは、海外の日本脳炎の流行地へ転勤するとか、あるいは、旅行で出かけるというような状況があれば、6ヶ月以降に早めに接種しておくことになります。
また、将来的には、地球の温暖化で、流行地域が再度拡大してくる可能性、あるいは、交通機関の発達により、ウイルスを保有する蚊が流行地から航空機に乗って運ばれてくる可能性なども危惧されないわけではありません。
以上のような状況を考慮され、必要と判断されれば、6ヶ月以降で体調の良い時に、接種されれば良いと思います。現在、1歳2ヶ月ですから、1期初回一回と2回は、4週間程度の間隔をあけて、一回0.25mlの接種となります。
約1年後に、1期初回追加の接種がありますが、恐らく、2歳前半(3歳未満)での接種となりますから、その時も接種量は0.25mlです。
学校での集団接種(小4・中3)は、現在、個別化している自治体が多いのではないかと思いますが、定期接種としての接種年齢は、初回接種の年齢に関係なく同じです。また、一回接種量は0.5mlです。
もし、流行地へ転勤するとか、あるいは、旅行で出かけるというような特殊な状況が生じた場合、2期、3期の接種時期を早める必要性が出てきますが、この場合は、任意接種の扱い(有料)となります。
※2005年から2009年まで、日本脳炎の予防接種の案内がされませんでした。その後、新たなワクチンが開発され、通常通り受けられるようになりました。標準的な接種スケジュールは、1期接種計3回(3歳のときに2回、おおむね1年おいて4歳のときに1回)、2期接種1回(9歳のときに1回)とされています。
医師 小児科:横山 俊之
2001年4月13日
小児科・アレルギー科・内科医。日本小児科学会専門医。多くの時間を過ごす家庭での保育・看護を詳しく説明。スローガンは「病名よりも病態の理解を!」、座右の銘は「鼻閉と便秘で風邪はこじれる」
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