アレルギー 子どもの病気 子育て応援隊のズバリ!アドバイス
主人がアレルギー性鼻炎、私がアトピーなので子どもがアトピーにならないか心配です。6ヶ月までに症状が出なければ発症する確率は低いと聞いたことがあるのですが本当でしょうか?今のところは全く症状もなく元気です。
また、離乳食を続けるうえで、一度アレルギー検査をしたほうが良いのでしょうか?ちなみに私は、妊娠出産を機にアトピーの症状は改善し、現在は全く出ていません。
アトピー体質については、確かに遺伝しますが、アレルギー症状が出るかどうかは、その後の環境によります。一般に、アレルギー疾患の発病には年齢依存性があり、乳幼児期の食事性アレルギーやアトピー性皮膚炎、幼児期学童期の気管支喘息、学童期移行のアレルギー性鼻炎という流れになります。
現在、具体的なアレルギー症状がないということは、年齢的に心配な食事性アレルギーやアトピー性皮膚炎について発病し難い環境が保たれているということです。
さて、食事性アレルギーの成立機序は、経時的にみると、
1)妊娠中にお母さんが摂取された食事の内でアレルゲンになりやすい成分(特に牛乳と卵の成分)が経胎盤性に伝達された場合
2)生後、授乳期間中にお母さんが接種された食事の内でアレルゲンになりやすい成分が赤ちゃんの胃腸から吸収される場合、さらに、
3)離乳食開後に、離乳食の内でアレルゲンになりやすい成分が赤ちゃんの胃腸から吸収された場合の3通りとなります。
1)2)では乳児期前半に主として湿疹や蕁麻疹の形で皮膚症状として出現してくることが多いですが、場合によっては、咳や喘鳴等の気道症状、あるいは、嘔吐下痢などの消化器症状としてあらわれることもあります。この場合、本能的に、該当のアレルゲンが含まれる食事を本人が嫌がることがあります。
3)は、特に、胃酸や胃液の分泌が弱く、消化能力の不十分な7-8ヶ月までに起こりやすい現象です。
さて、アレルゲンの代表は卵と牛乳です。卵については、卵白成分にアレルゲン性が高く、特に、オボムコイドと呼ばれる成分は耐熱性で、熱を通してもアレルゲン性が低下しないために、注意を要するとされています。したがって、生か、加温したものか、加熱したものか等の調理条件によっても、出現頻度は異なりますが、生後1年間が過ぎるまでは、極力加温・加熱した状態であげるのが賢明と思われます。
以上の点に留意され、離乳食を進めていかれれば、良いと思います。また、仮に食事によると考えられる湿疹が出た場合でも、長期的に見れば、栄養が重要な時期ですから、外用剤でコントロールできる程度の湿疹については、食事制限などの方法を短絡的にとる必要はありません。
幼児期学童期の気管支喘息については、埃やダニがアレルゲンとなることが多いですから、特に布団の管理に気をつけてください。ダストキャッチャーと呼ばれる絨毯やぬいぐるみ等は極力避けてあげましょう。畳は一畳あたり、20秒程度の時間をかけて吸引してください。
また、最も、気を使うのは布団になるでしょう。特に、しばらく押入れの奥にあった布団は刺激が強いようです。管理としては、天気の良い日によく干す。その後、よく叩く。ここまでで、かなりのホコリは取れますが、アレルゲンになりやすい成分は、この段階で布団の表面にとどまっていることが多いといわれています。そこで、表面を掃除機で吸引するとさらに効果的です。
あとは部屋の換気を時々してください。一般に、ホコリは、床面から約20cmていどの高さの範囲で舞っています。したがって、就寝時にはほとんど全身がほこりに漬かって寝ているようになります。床の管理(畳一畳につき20秒間程度掃除機で吸引しておくと良いようです)が出来ていれば、そう心配はありませんが、約30cm程度の高さのベットで寝ると、ほこりの多い空気から脱出することが出来ます。
布団の上げ下ろしや掃除の後は約2時間程度、ほこりが2mの高さを舞いますので、大人もすっぽりとほこりの中で過ごすことになります。大掃除した後の部屋には2時間程度は入れないようにしてあげた方が良いかもしれません。
結論として、アトピー体質はあるかもしれませんが、発病し難い良い環境を維持されているわけですから、食事性アレルギーやアトピー性皮膚炎、さらに気管支喘息の発病予防を目標として、今のような食事対策や埃対策を地道に続けていかれれば良いと思います。
具体的なアレルギー症状がある場合に、対策を立てるために、検査をされるのは良いと思いますが、何もない段階では、すぐにアレルゲンの検査をする必要はないと思います。
医師 小児科:横山 俊之
2001年2月15日
小児科・アレルギー科・内科医。日本小児科学会専門医。多くの時間を過ごす家庭での保育・看護を詳しく説明。スローガンは「病名よりも病態の理解を!」、座右の銘は「鼻閉と便秘で風邪はこじれる」
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