ママのためのぷち心理学
ファーストメモリー、それは人生における最初の記憶であり、私たちが思い出せる経験のうち、最も古いものです。
一般に、子どもたちが思い出せるのは、3歳頃からの出来事とされています。それ以前のことをうまく思い出せない現象を、心理学では「幼児期健忘」と呼びます。そもそも自分の経験したことをきちんと覚えておくためには、脳がある程度発達を遂げており、ある程度言葉で表現できることが重要です。これが不十分だと、自分の経験を脳にうまく定着させることができません。
幼児期健忘から抜け出した頃、ファーストメモリーができあがるわけです。でも、このファーストメモリーは、とかくぼんやりしていたり、断片的であったりするため、後で周りの大人から聞いた話によって大きく変わることがあります。
たとえば、遊園地で迷子になって泣いたことをうっすらと覚えている場合。動物とのふれあいや観覧車などを楽しんだとしても、迷子になって不安だった印象の方が強く残っていることがあります。ここで、その出来事をママやパパがどんな風に話してあげるかが、実は記憶に大きな影響を与えるのです。次のようにネガティブな話し方をしてしまうと、どうなるでしょうか。
「あの時は本当に大変だったわ。ちょっと目を離した隙に、あなたが勝手にどこかへ行ってしまって、ママもパパも真っ青になったのよ。やっと見つかった時には、ぎゃんぎゃん泣いていたし…」こんな風に話すと、たとえ笑顔の写真やビデオがあったとしても、この言葉で楽しさは消し飛び、「悲しかった記憶」として残ってしまいます。
そこで、たとえば次のように話してあげるといいでしょう。「あなたが迷子になって泣いていた時、親切なお姉さんが助けてくれたのよ。ママもパパも本当にホッとして喜んだわ。ウサギさんやヤギの赤ちゃんとも会えたし、観覧車で高い所に上ったりして、あなたは嬉しそうに笑っていたのよ。あの日の遊園地は、本当に楽しかったね」
ファーストメモリーは大切な思い出。だからこそ、これを明るく温かい言葉で彩ってあげることで、ほのぼのとした幸せな記憶として、子どもたちの心に残すことができるでしょう。
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