ママのためのぷち心理学
「ウソをついたらダメよ」と子どもに教えますが、大人が子どもにウソをつくことは珍しくありません。たとえば、子どもを安心させるために体調不良を隠して「ママは元気よ」と言ったり、子どもに夢を持たせるために「サンタさんが来てくれるよ」と言ったりします。こうした思いやりから出たウソは、後でウソだとわかっても、問題はないでしょう。
一方で、しつけのために、次のような脅しのウソをつくこともあるでしょう。
「そんなに聞き分けがないんだったら、ママはもう出て行って帰ってこないよ」
「夜遅くなっても寝ない子は、オバケに連れて行かれるんだからね」
時にはまた、親の都合でウソをついてしまうことも、あるかもしれません。
このように大人が子どもにウソをつくと、どんな影響があるのでしょうか?
発達心理学者のヘイズとレスリーは、次のような実験をしました。まず、子どもたちを2つのグループに分けます。一方のグループには、「隣の部屋にキャンディーがいっぱいあるよ」とウソをついて連れて行き、部屋に入ると、「本当はキャンディーはないんだ。私とゲームをするために来てほしかっただけなんだ」と告げます。他方のグループには、「隣の部屋には楽しいゲームがあるよ」と言い、ウソはつきません。
ゲームの途中で、子どもが見たくてたまらないようなおもちゃを隠しておき、「見てはいけないよ」と言って大人(実験者)は部屋を出ます。戻ってから、正直に答えるという約束のもとで、おもちゃを見たかどうかを尋ねたところ、ウソをつかれたグループでは、本当はこっそりおもちゃを見たのに、「見てないよ」とウソをついた子が多くなっていたのです。
この傾向は、5歳以上の子どもに現れました。3~4歳児は、自分がウソをつかれたと理解できなかったようですが、5歳以上になると、「都合の悪いことは、(大人を見習って)ウソをついて隠してしまえばいいんだ」という、〈よくない学習〉をしてしまうからだとヘイズたちは解釈しています。
このように、大人をまねて、子どももウソをつきやすくなるかもしれません。時には仕方なく子どもにウソをつく場合もあるでしょうが、不要なウソはなるべく避けたいものですね。
Copyright © 2011 Mikihouse child & family research and marketing institute inc. All rights reserved.
この記事にコメントしよう